18年4月17日更新
○JDは、2017年12月27日、日本医療研究開発機構(AMED)へ、日本における筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群治療ガイドライン(案)への意見を提出しました。後日、研究班はガイドラインの作成も、出版もしないことになりました。
【PDF版はこちらから】
2017年12月27日
日本における筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群治療ガイドライン(案)への意見
NPO法人
日本障害者協議会(JD)
代表 藤井 克徳
当協議会は、1981年の国際障害者年を成功させようと、「完全参加と平等」のスローガンのもと、その前年1980年、幅広い団体が大同団結して発足しました。現在、国内の62団体(障害・疾患の当事者・家族の団体、専門職の団体、事業所の団体など)で構成しており、 2014年に日本が批准した障害者権利条約が示す社会のありようを実現すべく活動をしております。
今般募集されているME/CFS治療ガイドライン(案)について、障害者権利条約の視点も踏まえて、当協議会の意見を述べたいと思います。
1.患者本人不在の治療ガイドラインの策定の課題
障害者権利条約では、Nothig About Us Without Us(私たち抜きに私たちのことを決めないで)を合言葉に検討が進められてきました。条約でも当事者の参画による政策決定を謳っています。今回出された治療ガイドライン(案)ですが、文献調査研究が主であり、作成委員会には患者団体の代表者の参画もないまま進められ、最も重要視されなくてはならない患者本人の意見が反映されていません。それどころか、患者団体では、この治療ガイドラインが発表されることで、患者に害を及ぼす危険性があると指摘しています。患者にとっては、いのちや生活を大きく左右する治療ガイドラインです。患者団体の納得が得られるガイドラインの再考が必要です。
患者団体の参画(参加しやすさなどを配慮した上で)を求めて、改めてガイドライン作りを進めるべきであると考えます。
2.障害の社会モデルの考え方の反映が求められる
厚生労働省の実態調査では、患者の約3割が寝たきりに近い重症患者であることが明らかになっています。しかし、障害年金の受給や障害福祉サービスを受けることができないまま、孤立している患者たちがいます。障害者権利条約によって、日本でも障害の社会モデルの考え方が導入されています。生活の困難さを軽減するための福祉的な援助の活用も治療ガイドラインに含めていくことが重要であると考えます。
3.病気に対する偏見・差別の除去の必要性
国内では、ME/CFSの診療を行う医師が極めて少ない上、一般的な検査では異常がみつからないため、「気のせい」「怠けている」「性格の問題」などといった、偏見や差別の中で患者たちは生活しています。多くの医師がME/CFSを正しく診断できること、患者が地域格差なく診断治療を受けられること、疾患に対する誤った認識を正し、患者が最も適切な治療を受けられ、生活環境を向上させることができる治療ガイドラインが求められています。海外の最新動向なども踏まえ、治療ガイドラインの再考を望みます。
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