17年3月30日更新
○JDは、3月30日、精神保健福祉法改正案についての意見を厚生労働省および、衆参厚生労働委員会委員へ送付しました。
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2017年3月30日
精神保健福祉法改正案についての意見
特定非営利活動法人
日本障害者協議会(JD)
2017年2月28日、政府は法案の改正趣旨に相模原市の障害者支援施設での殺傷事件と同様の事件が発生しないことと明記し、精神保健福祉法改正案を閣議決定した。改正案には、措置入院者が退院後に医療等の継続的な支援を確実に受けられる仕組みの整備、それに伴う精神障害者支援地域協議会の設置などが盛り込まれた。
当会では、改正案の閣議決定、国会上程までの過程に課題があると考えており、合わせて法案内容においても、精神障害者の差別・偏見を助長し、さらに権利侵害が起こっていくことを懸念し、以下の点について意見を述べるものである。
1.当事者参加のもとに相模原事件の徹底究明こそが求められる
相模原の事件を発端に措置入院制度の改正を行う本法案であるが、法改正の前に、この事件がなぜ起こってしまったのか、容疑者の動機や背景など、全く究明されていない。なぜ防ぐことができなかったのかについても未解明である。厚生労働省に設置された事件の検証及び再発防止対策検討チームの報告書は発表されたが、措置入院制度に偏る内容であり、総合的な検討は全くなされていない。
人権侵害に触れる危険性がある法改正を拙速に進めるのではなく、当事者の参加を得ながら徹底的に事件の検証を行うべきである。
2.今回の精神保健福祉法改正は根拠が見当たらず、再考すべき
精神保健福祉法改正案は、先般の事件が、「精神障害に起因するもの」と世論を誘導するものであり、さらに措置入院制度を強化していくことで再発防止を目指すということは、二重に精神障害のある人への差別・偏見を助長することに他ならない。
措置入院制度のあり方を変更させていく今回の改正の根拠が見当たらず、法案内容を再考するべきであろう。
3.強制入院における権利擁護の仕組みの創設を求めたい
障害者権利条約は、強制入院の全廃を求めている。しかし、日本の精神科医療においては、隔離収容や身体拘束が増え続けており、国際水準と照らし、精神科医療の抜本改革が求められている。今回の改正案では長年の懸案である強制入院(措置入院や医療保護入院)の際の権利擁護の仕組みは設けられなかった。それどころか、権利擁護に逆行するように、法案で示されている精神障害者支援地域協議会には、警察官の参加は示されているものの、本人・家族の参加は"必要に応じて"とされており、本人不在での個別ケース検討会議が想定されている。こうした仕組みづくりは、障害者権利条約を批准した国の法制度としては矛盾が大きく納得できるものではない。権利擁護の仕組みの創設を求めるものである。
以上
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