障害の種別や立場、考えの違いを乗りこえ、障害のある人々の社会における「完全参加と平等」や「ノーマライゼーション」の理念を具体的に実現することを目的として、各種事業を全国的に展開しています。

16年12月9日更新

「我が事・丸ごと」についての第一次意見

○JDは、「我が事・丸ごと」地域共生社会実現政策についての見解を第一次意見としてまとめました。
【PDF版はこちらから】

参考:第1回「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部 資料 平成28年7月15日(金)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000130501.html


                    「我が事・丸ごと」についての第一次意見

特定非営利活動法人
日本障害者協議会(JD)

 


   今年、厚労省は、「『我が事・丸ごと』地域共生社会実現本部」を立ち上げた。そのねらいは、高齢者・子どもなどの福祉と医療を地域単位で一元化していく、いわば「地域包括ケア」をめざすものとされている。JDは、この政策について、地域福祉という視点や谷間を生み出す縦割りの廃止などの理念的な側面では評価できる点もあるが、全体的には公的責任の後退、地域での支援サービスの縮小と質の低下、地域格差の拡大が確実に予測されるものと考える。福祉も介護も、再び家族責任・家族依存の時代に戻ってしまう恐れがある。
 この政策は、介護保険制度の破たんと社会保障費・医療費の大幅不足を理由に、財政論に強く影響されて生まれてきたことを指摘しておきたい。

 障害者福祉は、コミュニケーション支援や、長時間の見守り、本人の意思に基づく自立生活の支援、社会的・文化的活動への参加の支援など、障害者のライフスタイル全体を支えていくことをめざして発展してきた。その費用負担も、多くの障害者が障害基礎年金あるいは生活保護、家族依存にしか所得の当てがないことから、無償または応能負担とされてきた。
 しかし、2000年の社会福祉基礎構造改革以降、民間活力が推奨され、考え方が大きく転換された。高齢者介護と同じように障害者サービスに1割負担を導入し、介護保険と同じような支給決定システムを導入したのが障害者自立支援法であった。障害者自立支援法の違憲訴訟団と国(厚生労働省)との基本合意において、国は、深い反省の意を表明し、廃止にまで至らしめた。そして「障がい者制度改革推進会議総合福祉部会」による「骨格提言」へと続いた。現在の障害者総合支援法は、「骨格提言」実現への道半ばであることを確認しておきたい。

 したがってJDは、危機的意識を持って「我が事・丸ごと」の政策の流れを注視し、今後も障害者権利条約の理念に照らした「基本合意」と「骨格提言」の完全実現をめざす立場から、個々の障害者政策について具体的提言をしていき、すべての人々がそれぞれの違いを認め合い、支えあい、安心して地域で暮らせる真の共生社会の実現に向けて、幅広く他の分野の人々とも連帯していく所存である。
                                                                    以上              

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