15年9月11日更新
○JDは9月10日、 「国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン(案)」に対する意見をパブリックコメント(パブコメ)として厚生労働省年金局事業管理課 へ送りました。
【PDF版はこちら】
パブリックコメント送信内容
2015年9月10日
特定非営利活動法人
日本障害者協議会(JD)
1.専門家検討会について
本ガイドラインは格差をなくすことが目的だが、検討会では、格差がなぜ生まれたのか原因究明が行われていない。原因究明なく提案されたガイドラインの拙速な運用は、新たな格差を生む危険性を孕む。厚生年金に合わせる形での検討も問題である。
検討会委員9人の内8人が医師で占めることも問題である。障害のある人の暮らしぶりや疾患との関係など、多様な視点を持つ障害関係団体なども含めた委員を再検討すべきである。また、障害当事者にとり障害年金受給の可否は極めて重要であるにもかかわらず、拙速な議論によってガイドラインが作成されたことの問題は大きく、結論も納得できない。
2.「等級の目安」について
「等級の目安」が導入され、年金機構の事務職員の等級振り分けで目安に達しない場合、他の総合判定項目で2級不該当になる可能性が高く、導入すべきではない。
「等級の目安」の基本となる診断書の「日常生活の判定」「日常生活能力の程度」の記載が、診断書作成医の判断に委ねられていることに問題の根があり、医師に大きく依拠する現在の認定の仕組みを抜本的に改革すべきである。また平均値を出すことで、個々人の困難さが明らかになるとは思えない。
提示された障害等級の目安は、第5回検討会の原案から修正されており、程度(3)、判定平均2.5~2.9が2級又は3級とされており、この評価表の導入で多くの人が支給停止になることが予測され、この点からも「等級の目安」は導入すべきでない。
3.総合評価について
考慮すべき要素の例の抜本的な再検討を求める。ことに気分障害の場合、入院を要する水準が2級の可能性があることからは不支給が危惧される。医師の力量不足の露呈でもある。
4.本来あるべき方向性
障害政策の基本的視点に据えるべきは障害者権利条約であろう。条約締約国・日本は、障害者の相当な生活水準を権利とし、そのための不断の努力を約束している。その視点では、今回の検討やガイドラインは、権利条約を無視している。障害についての考え方、捉え方、概念について、権利条約を踏まえ、医師だけでなく障害当事者、家族、支援者の意見を反映させるべきである。障害は社会との関係で考えるべきであり、医師の診断書のみでの判定の仕組みは改めるべきで、早急に多様な関係者による検討会を設け、障害者の権利擁護の視点で再検討すべきである。
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