障害の種別や立場、考えの違いを乗りこえ、障害のある人々の社会における「完全参加と平等」や「ノーマライゼーション」の理念を具体的に実現することを目的として、各種事業を全国的に展開しています。

17年6月23日更新

2017年「すべての人の社会」6月号



2017年「すべての人の社会」6月号

VOL.37-3  通巻NO.444

巻頭言 「地域包括ケア強化法案」成立に思うこと

NPO法人日本障害者協議会理事 白沢 仁 


 第193回通常国会において、「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案」、いわゆる「地域包括ケア強化法案」が可決・成立した。当初、社保審介護保険部会で審議され、まとめられた介護保険法改正案の上程が予定されていたが、障害者総合支援法・児童福祉法・社会福祉法など30以上もの法律が「地域包括ケア強化」を口実に一括法案として提出され、十分な審議もなく(衆議院22時間、参議院16時間)強行された。

 なぜ、介護保険改正ではなく「地域包括ケア強化」だったのか。法案提出側の意図をしっかり掴む必要がある。増え続ける社会保障関係予算の削減・抑制、アベノミクス・「規制改革」「競争力強化」による社会保障・社会福祉分野への企業参入の促進、そして「社会保障の基本は自助・互助・共助」とする社会保障「改革」とそれに基づく連続的な社会保障関連法の「改正」。これら一連の動きは、単に厚生労働省の枠に止まらず、「骨太方針」「一億総活躍プラン」等にも明記され、財務省主導の国家戦略の感を呈してきている。

 今回の「地域包括ケア強化法」は、こうした政府の政治的政策的な動向を背景に、とりわけ、この間の社会保障制度改革推進法・改革プログラム法に基づく社会保障関連法の「改正」が『「我が事・丸ごと」地域共生社会』実現の方向に束ねられ、その実現のための第1弾の法改正として位置づけられていることを軽視することはできない。本来、政府が保障すべき「我が事」としての社会保障・社会福祉の責任を「丸ごと」「他人事」であるかのように地域住民や福祉・医療に携わる関係者(「法人改革」による「地域公益事業」の責務化)に「助け合い」(互助)として強制されることは、絶対に許されることではない。地域住民等の「助け合い」を否定するものでなく、「善意」を法律で縛ることの問題を指摘せざるをえない。

 「我が事・丸ごと」の当面する改革工程では、2020年代初頭までに公的サービスだけに頼らない社会の実現が示されている。引き続く社会保障「改革」の中で公的サービスから除外される人々がさらにつくり出されようとしている。お金を持っている人は営利企業、持ってない人は「助け合い」、こんな方向が許されるわけがないし、障害者・家族が簡単に受け入れられるわけがない。社会保障・社会福祉は誰の責任なのか、憲法・障害者権利条約に照らし合わせて、あらためて問い直す必要がある。

2017年5月の活動記録

一人ひとりが幸せに生きられる社会のために

JDのうごき

JD第6回総会開催 新任役員、団体の活動紹介も
午後の政策会議ではパラレルレポートに向けて学習


国際潮流 障害者権利条約と「国家人権機関」 その1

馬橋 憲男


What's New  認知症新時代、共生・共助の時代へ

第32回アルツハイマー病協会国際会議報告原 等子


What's New  社会保障・社会福祉は国の責任で! 憲法25条を守る5・18共同集会に3,500人

多田 薫

      
団体のうごき 「耳マーク」のより一層の普及のために

一般社団法人 全日本難聴者・中途失聴者団体連合会

                           
連載 体験的メディア論

第3回 公共性迫田 朋子


私の生き方

第47回鷺原 由佳


連載エッセイ 障害・文化・よもやま話

第2回 パラリンピック東京大会について(2)荒井 裕樹


トピックス

インフォメーション

日本国憲法施行70 年と障害者 障害者に生きる価値はないのか!

-真に共に生きる地域社会の実現をめざして-


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○FAXでのお申込み用紙はこちらから 【賛助会員申し込みFAX用紙】

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