16年6月21日更新
VOL.36-3 通巻NO.432
NPO法人日本障害者協議会理事/(福)日本社会福祉士会理事 市川 知律
現在日本社会福祉士会においては、後見・保佐・補助を合わせ、全国で15,155件の法定後見を受任しております。合せて任意後見は376件、後見監督は97件です(2015年1月末現在)。これは成年後見制度利用者全数の約1割にあたります。また、2010年に年間件数が1,500件を超えてから、新規受任件数は毎年1,600~2,000件ずつ増加しています。
さて、4月に成年後見制度の利用の促進に関する法律が成立しました。それに伴い、今後成年後見制度の利用はますます増加すると思われます。同法では成年後見制度の利用の促進は、①成年被後見人等が成年被後見人等でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障されるべきこと[=ノーマライゼーション]、②成年被後見人等の意思決定の支援が適切に行われるとともに、成年被後見人等の自発的意思が尊重されるべきこと[=自己決定権の尊重]、③成年被後見人等の財産の管理のみならず身上の保護が適切に行われるべきこと[=身上の保護の重視]等の成年後見制度の理念を踏まえて行われるものとされています。
この理念を遵守することにより、今までの「代理、代行決定型」の支援から、本人の意思を重視した「支援付き意思決定型」の支援になることが期待されます。
我々社会福祉士は、ソーシャルワーカーとして常に本人の意思に基づく支援を展開しています。今回の同法の基本理念は、それが法に位置づけられたと言えましょう。本法律の中に「意思決定の支援」が明文化された意義は、非常に大きいと言えます。
日本社会福祉士会では、平成27年度事業として「権利擁護人材育成・活用のための都道府県の役割と事業化に関する調査研究」の中で、「意思決定支援に配慮した成年後見制度活用のための手引き策定に関する研究」を実施しました。そこではツールの開発を行い、地域における権利擁護の推進について取り組みました。
どのような障がいの状態であっても、自分の意思に基づいて、自分の望む場所で、自分の望む生活を送ることが保障される社会が当たり前でなければなりません。障害者権利条約にあることは実は当たり前のことでしかないはずです。
私たちは、権利擁護の視点からパターナリズムに陥ることなく、常に本人の意思に寄り添い、権利条約の条文に書かれていることが当たり前である社会を作っていかなければなりません。現行の成年後見制度はまだまだ不完全な部分もありますが、私たちソーシャルワーカーは、常に本人の意思に基づく支援を展開するという理念に基づき、これからも様々な関係団体とともに理想の社会の実現のため活動してまいります。
第5回総会「はじめに」より一部加筆
JD第5回総会開催 2016年5月27日(金)於:戸山サンライズ 午後の政策会議では分散会で活発な討論!
《JD政策会議2016……権利条約を学び、活動発信の機会に!パラレルレポートに向けて》
第7回 沖縄戦によるトラウマ・ストレス症候群 蟻塚 亮二
第3回 障がいのある人の「生きる」を保障すること 田部井 恒雄
第15回 隔離と身体拘束(その3) 長谷川 利夫
谷口 真大
障害者アートとアートビリティの活動 髙橋 宏和
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