15年9月16日更新
VOL.35-6 通巻NO.423
NPO法人日本障害者協議会 副代表 石渡 和実
2010年1月に設置された障がい者制度改革推進会議では、障害者権利条約の批准に向けて、国内法の整備が当事者主体で進められた。これまでの審議会では見られなかった委員のエネルギッシュな活躍を、今、JD副代表である薗部英夫氏が、「揚子江と黄河が一緒になったような、大きな、すさまじい流れ」と称していた。「納得!!」で、誰もが興奮させられていた。画期的な議論を経て、なお課題は多いが、障害者基本法が改正され、障害者自立支援法が障害者総合支援法に変わり、2013年6月には障害者差別解消法が成立した。この障害者差別解消法は2016年4月1日から施行され、そのための準備が、国でも地方自治体でも、今、着々と進められている。
筆者は、横浜市障害者差別解消法検討部会の部会長として、横浜市での検討に参加している(http://www.city.yokohama.lg.jp/kenko/shogai/suishinkyo/kaisyou/)。この検討部会では、あの「すさまじい流れ」が再現している。当事者委員の活躍に目を見張らされる。2014年11月に第1回の会議が開催され、2015年9月の第9回で終了予定である。どの回でも当事者委員の発言に圧倒させられた。障害があるがゆえに体験させられた「差別」、感じさせられた「痛み」を、今、自分達でなければ伝えられない、貴重なメッセージに変えて発言を続けている。障害者の視点だけでなく、誰もが包み込まれて生き生きと暮らせるインクルージョン、「すべての人の社会」の実現をめざしての活躍である。
委員は全部で19人。障害者自身が11人、家族が2人、支援者や弁護士などが6人という構成である。肢体不自由、視覚障害、聴覚障害、内部障害、知的障害、精神障害、発達障害…。さまざまな障害のある人が、それぞれに情報を保障されて、自分ならではの意見を明確に主張している。会議が終わると、障害がある人もない人も、誰もが多くの発見・学びがあったと興奮気味である(筆者が一番かも)。それは、会議の運営や資料作成にさまざまな工夫があるからの成果である。知的障害や精神障害がある委員には、事前・事後の説明や打ち合わせが綿密になされ、会議では、どの委員の声も聞き洩らすまいといった緊張感にあふれている。回を重ねるにつれ、どの委員も自信をもって貴重な体験を語り、それらを共有しているという連帯感も強まっている、と筆者は感じている。
2015年1月26日から2月28日まで、市民に向けて差別事例を募集したところ、最終的に993件が寄せられ、また良い配慮がされたという事例も139件あった。これらについて、勤務先、学校、お店など、差別された場面ごと、また、障害種別での分類がなされた(http://www.city.yokohama.lg.jp/kenko/shogai/sabetsu-kaisyou/jirei/)。その過程でつくづく感じたのは、同じような場面であっても障害の種類や個人の受け取り方で、1つの言動の意味合いが違ってくる、ということである。一人ひとりの個別性を踏まえ、差別を受けた立場の声をしっかり受け止めることが重要であり、まさに「多様性の尊重」が求められる、と言うこともできようか。
検討会もまとめの段階に入り、差別を解消していくために、行政・事業者・市民に何が求められるか、が議論されている。会議終了後、当事者委員にいつも山のような「宿題」が課せられるが、誠実に答えてくださり、事務局はそれを丁寧に分類・整理してくれる。こうした部会全体の団結の成果として、行政の「対応要領・対応指針」といった形式的なものではなく、「共生社会実現」のための具体策がまとめあげられようとしている。今回は経過の紹介のみであったが、その成果を、「続編」でお伝えできたらと考えている。
石野 富志三郎
古賀 知夫
わたしたちには聴こえます!戦争の足音が・・・ 障害者のしあわせと平和を守ることを一つにして
第7回 知的・発達・精神障害のある方の安心、安全なまちづくり 沼尻 恵子
赤平 守
山下 裕幸
宇都宮 かおり・京子
期待の星「まほろば」
花田 春兆
▼お申し込みは下記JD事務局へメール、電話、FAXなどでご連絡ください。
〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 日本障害者協議会
TEL:03-5287-2346 FAX:03-5287-2347
○メールでのお問合わせはこちらから office@jdnet.gr.jp
○FAXでのお申込み用紙はこちらから 【賛助会員申し込みFAX用紙】
※視覚障害のある方向けのテキストデータ版もございます。
※ご不明な点はJD事務局までお問い合わせください。
フッターメニュー