15年9月2日更新
VOL.35-5 通巻NO.422
NPO法人日本障害者協議会 理事 白沢 仁
脳性小児マヒで手も足もほとんど動かすことができず、ベッドにねたまま、一歩も戸外に出たことがなかった「超」重度障害者-新堂広志さん。そんな新堂さんにも例外なく「徴兵検査」の令書が届き、「権威」ある医師の診断書を提出しても免れることはできなかったのです。
『おのづから こころさだまりて この朝は固き膝屈げて 堪えつつ居る我を 扉の陰に来て 児ら覗きをり』
この歌は、意を決して「徴兵検査」に出た時の傲慢な軍人の態度や会場となった小学校の子どもたちの目、そして何時間も待たされた挙げ句の「帰れ!丁種不合格」の命令などなど、この日に人生で最も屈辱を感じたとして詠んだもの。
「1億総決起」「1億火の玉だ!」など、挙国一致して戦争を闘っているとき、国民に世話をかけないように、一人ひっそりと生活するのが、何もなす術のない障害者にとってできる、唯一の国家への忠誠であったと新堂さんはその当時を語っています。
しかし、「徴兵検査の日」を境に生きる姿勢を一変させ、社会運動に積極的に参加していくことになります。新堂さんは手作りの木製ストレッチャーに臥し、それを母親の秀子さんが押して、親子二人三脚で平和を守り、障害者の権利保障を求める運動の先頭に立って奮闘されました。私の所属団体である障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会(障全協)の結成にも参加し、当事者としての重要な役割を担っていました。
残念ながら私自身は、新堂さんに接する機会はなく、残された文献や写真等でその存在を知る限りですが、こうした先人達の屈辱的な体験、それゆえの権利保障運動があって今があることを痛感します。
戦後70年。戦争と平和に関する国民意識が高まりつつあります。なにより、この機に「戦争法案」を国会に提出し、強行成立を企む安倍政権に対する怒りは、廃案を求める国会包囲の運動を日に日に燃え上がらせています。
日本障害者協議会は、8月28日(金)、東京・永田町の憲政記念館でサマースクール2015『戦後70年と障害者』※を開催します。あらためて、障害者の幸せと平和を守ることを一つのこととして追求していくことの大切さを戦争体験者とともに考え合う貴重な機会にしたいと思います。
藤井 克徳
第6回 東日本大震災復興支援における福祉のまちづくり
~被災地における災害ボランティアの受入れ体制に関する
実態調査を踏まえた震災からの教訓、震災からの出発~ 岡 正彦
第4回 障害者権利条約報告書検討会(JD)の取り組み 増田 一世
水谷 幸司
強矢 暢一
鳥越 景行
続・戦争と障害
花田 春兆
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