15年6月17日更新
VOL.35-3 通巻NO.420
NPO法人日本障害者協議会 理事
若年認知症社会参加支援センタージョイント所長 比留間 ちづ子
認知症は、認知機能の障害と、様々な心理・行動障害を生じる、複合的な生活障害でありながら、ICF
(国際生活機能分類)からの解釈・把握がなされていません。
認知症の実態は十分に把握されていませんが、認知症本人の理解については若年性認知症の存在
は大きなものです。作業所的な環境で作業をし、地域貢献活動をするなかで、本人が認知症状の体験
や生活行動の困難さが語られます。外出や買物などの際の同行援護の給付もなく、話すきっかけがあ
れば十分に話せるのに、その機会や職場や家庭での立ち位置を失い、憤りとふがいなさで深刻な不安
に襲われるといいます。認知症を受容しつつ、社会で共に生きていくことを願い、普通に付き合ってくれ
ることが支援になるとの訴えは、意見を表出できなくなった高齢認知症者の理解への道筋となっています。
認知症への対応手法にICF概念の不在は問題です。若年性認知症でみると、まず【社会参加】と同時
に【活動】を奪われ、BPSD(妄想、徘徊、感情変化、意欲低下など)を含む【機能障害】の増悪という負の
循環で進行が重度化します。したがって、社会の構成員として【社会参加】の環境と共に【活動】を再構
築することで【機能障害】のレベルを維持し得る、と考えることができるでしょう。
先日、北海道北竜町の老人保健施設にNさんを訪ねました。8年前、東京から家族で移住し、当時50
歳台半ばで妻が施設職員として働き、本人はデイサービスへ通い、手伝える作業は多くありました。地域
のサポーターが野菜づくりやハーフゴルフに誘い、登校拒否になっていた娘さんに料理を教えるなど、地
域ぐるみの付き合いを続けてきました。久々に会うNさんは困惑した表情でしたが、家族会での話や彼
が得意だった野球のことなどを話すうちに自然体のにこやかさをみせ、うまく話せないながらも元気な再会
を分かち合えました。町のサポーターたちは、Nさんが楽しめているのか、コミュニケーションはこれでいい
のかと悩んでいましたが、日常生活の些細な配慮で自立できる部分も多く、BPSDもなく暮らせている実績
をたたえ、Nさん本人の思いを確かめながら支援しようと語り合い、ICFの視点からみても心強い思いでした。
国の新オレンジプランは市町村の特質を活かした公助・自助の総体施策で、まだ公助の諸端を示したに
過ぎません。介護保険の運用だけではなく、ICF概念を活用した目標設定への対応実践が必要であり、本来
の社会保障と人権保障の視点から多くの施策の連携によって、公助を推進する必要があると考えます。
郡 信子
第2回 パラレポの効果 韓国の場合 佐藤 久夫
福山 博
池添 素
小林 ちひろ
天上界へ
花田 春兆
▼お申し込みは下記JD事務局へメール、電話、FAXなどでご連絡ください。
〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 日本障害者協議会
TEL:03-5287-2346 FAX:03-5287-2347
○メールでのお問合わせはこちらから office@jdnet.gr.jp
○FAXでのお申込み用紙はこちらから 【賛助会員申し込みFAX用紙】
※視覚障害のある方向けのテキストデータ版もございます。
※ご不明な点はJD事務局までお問い合わせください。
フッターメニュー