16年1月28日更新
VOL.35-10 通巻NO.427
NPO法人日本障害者協議会 代表 藤井 克徳
あけましておめでとうございます。
JD会員のみなさんや本誌読者のみなさんにとって、本年が少しでも明るい年となりますよう心から念じています。
こうした恒例の年頭のごあいさつとは別に、なんとなく晴れない気分にあるのは私だけではないように思います。その理由は明確です。眼前にひらけた「2016年の光景」があまりに重苦しいからに他なりません。障害分野だけでもいろいろと考えさせられます。
想定される主な動きを挙げると、障害者権利条約に関する第1回政府報告書の国連への提出(2月)、障害者差別解消法の施行(4月)、障害者総合支援法の改正(大型連休の前後に審議)などがあり、参院選挙(7月)を挟んだ秋以降は、障害者福祉への影響が懸念される介護保険制度の見直し論議が予定されています。他にも、いわゆる病棟転換問題や障害年金制度がどうなるのか、障害のある人の暮らしに深く関わる生活保護制度のさらなる変更がどんな形で待っているのかなど、重要な法制の審議や施行が目白押しです。
問題は、こうした障害関連や社会保障の動きに、昨夏から矢継ぎ早に出されている財政運営に関する財務省や厚労省所管の政策文書が重なることです。これらには「効率化」「対費用効果」「持続可能」「負担の均衡化」「福祉の産業化」「生産性の向上」などの語句が従来に増して勢いよく踊っています。たとえば、障害者総合支援法の改正と厚労省が提言している「サービスを効果的・効率的に提供するための生産性向上」(新たな時代に対応した福祉の提供ビジョン)を組み合わせるとどうなるでしょう。想像力を働かせばわかると思います。支援者関連の予算が削減され、結果として「生産性」の厳しい障害の重い人が肩身の狭い思いをするのは火を見るより明らかです。
この時期、私たちは避けてはならない論議があります。それは、効率一辺倒政策の温床となっている市場原理論に対峙することです。人が生きる土台になる大気や水、森林、土壌などと同様に、人権にかかわる課題や障害者支援政策もまたその基本は経済優先の市場原理に委ねるべきではないように思います。市場原理の極みがもたらすものは、歴史の中に、また現代世界で進行するいびつな現象や凄惨な争いなどにはっきりと表れています。私たちとして、障害分野らしい切り口と言い回しで、この市場原理論に向き合っていこうではありませんか。こうした論議に大きな流れをつくる2016年になればと思います。
お祝いの言葉・推薦の言葉 花田 春兆、伊野 武幸、田中 優子、炭谷 茂
第11回 医療系学科における「福祉のまちづくり教育」の実践 磯部 友彦
第11回 ドイツの新たな障害者雇用の支援制度~支援付き雇用 高橋 賢司
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