14年6月30日更新
VOL.34-3 通巻NO.408
NPO法人日本障害者協議会 理事 岩崎 晋也
昨年、勤務校の学生の研修に同行してスウェーデンに行った。スウェーデンでは、障害者
施設を含めさまざまな福祉関係の施設や機関を見学したが、特に印象に残ったのが難民
支援である。スウェーデンでは、政治的な難民を積極的に受け入れている。現在はイラク
からの難民が多いが、時代に応じて、トルコ、ソマリアなどさまざまな紛争地からの難民を
受け入れてきた。難民に対しては、住宅支援、語学習得支援、教育・就労支援などのほか、
迫害を受けたことに対する心理的ストレスへのケアなどが行われていた。
ストックホルムの郊外のティエンスタは、難民としてスウェーデンに来た住民が多く集住し
ている地域であり、そこの難民の当事者団体、行政のソーシャルワーカーから話を伺うこと
ができた。
活動として印象的だったのは、街の環境保全活動である。難民となった人がまず気にかけ
るのが、自分の生命に関することであり、定住できるところが見つかれば次には仕事に関する
ことである。自分が住んでいる街の環境問題などは、最後の問題になってしまう。その結果、
ティエンスタも以前は落書きやゴミにあふれた街だった。そこで低額であるが補助金を出し、
各難民団体で地域を分担して、清掃活動を行なってもらい、この街が安心して暮らせる場所
であり、愛着を持ってもらう活動を始めた。その結果、街はきれいになり、治安もよくなり、自分
たちの街に誇りを持てるようになってきた。こうした活動は、EUから表彰され、高く評価されて
いるとのことである。
ソーシャルワーカーのアブラクマンさんは、自らも小学6年生の時にソマリアから来た難民
であった。その後、ティエンスタの高校を出た後に、アメリカの大学に行き、国連で働いた後、
ティエンスタに戻って難民支援のソーシャルワーカーをしている。彼は、自分の仕事は難民と
スウェーデンとの間に橋を架けることであると語っていた。
もちろんスウェーデンでも難民に対する偏見や差別がある。実際、難民の失業率も高く、
そのことが難民の不満につながり、暴動に発展することもある。それでもスウェーデンは世界
各地の難民に対して積極的に手を差し伸べ続けようとする意志を持っている。自分たちと異
なる文化や生活習慣を持つ人であっても、必要があれば受け入れようとする意志である。
こうした社会としての寛容性を維持しよう努めている点が、スウェーデンの強みなのではないか。
このことが、今回の研修で最も考えさせられた点であった。
障害者権利条約元年-条約の価値を高める運動を
代表就任にあたって
藤井 克徳
JD第3回総会を開催 午後は政策会議~2014.5.31(土曜)~
第10回(最終回) 無知と罪
赤平 守
浅田訴訟に見える高齢障害者にふりかかっている問題~介護を受ける権利の視点から~
吉野 一正
第3回 多数決で選ばれた子どもたち
藤井 克徳
原田 昌代
日本整形外科学会
医療・介護の根幹を突き崩す総合確保推進法案
林 泰則
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