障害の種別や立場、考えの違いを乗りこえ、障害のある人々の社会における「完全参加と平等」や「ノーマライゼーション」の理念を具体的に実現することを目的として、各種事業を全国的に展開しています。

14年5月15日更新

2014年「すべての人の社会」5月号


2013年「すべての人の社会」5月号

VOL.34-2  通巻NO.407

障害者と災害

 NPO法人日本障害者協議会 理事 矢澤 健司 



 1995年1月17日の阪神大震災と2011年3月11日の東日本大震災と、16年間に、100年に1度起こる
かどうかという未曽有の大震災が2度も起こりました。阪神・淡路大震災から3年後の1998年に設立
された障害者放送協議会(事務局・日本障害者リハビリテーション協会内)は、放送・通信における
著作権問題の提言、字幕や手話等のバリアフリーの実現及び障害のある人に対する緊急災害時の
情報提供のあり方の提言活動などを活動の目的に含んでいます(筆者は災害時情報保障委員会委
員長)。多くの調査やシンポジウムなどを企画し、提言や障害者別の対応した災害マニュアル(障害
者と災害)を作り普及啓発に努めましたが、防災の関係者からは、これまで行なってきた国の施策が
ほとんど役に立たなかった、と言われています。東日本大震災における障害者の被害者が一般の2倍
になっている状態は見過すことができません。

 この原因の一つとして、災害時の情報保障が問題になっています。津波の被害にあった沿岸には50人
規模の老人福祉施設がいくつもありました。ある施設では車で避難して間に合わずほとんどの入所者と
職員が被害に遭いましたが、別な施設では、車で避難している途中でラジオ放送から予想以上の大きな
津波が来ていることを知り、引き返して近くの仙台空港の屋上に避難することができ、ほとんど被害者が
無かったという事例があります。このことから、適確な情報と人のネットワークがあれば多くの犠牲者は
助かったはずです。

 徳島県美波町の阿部地区は周りを山に囲われた良港ですが、南海トラフの巨大地震で起こる津波の
暫定浸水予測では阿部港が最大20.2メートルと県下最大との発表があり、全国でも最悪の地のような
不安感がありました。そこで、住民は立ち上がり自前の防災対策を行いました。近隣の集落への古い
山道の岩を手作業で省き、崩れた所に石を積み、立ち木に古いロープを張り手摺にし、自分たちの
“マイ避難路” を作りました。積極的に行政からのモデル事業を取り込み、徳島県・美波町の防災事業
を阿部地区で展開し、県や町の予算を活用しました。

 モデル事業の一つ、日本テレビが開発したJoinTown構想(災害発生時に個別のテレビに個人名を
表示して、最適な避難道を示す新しいシステム)を使った避難訓練が1月19日に阿部地区全町民参加で
行われました。このシステムは通常時に遠隔地からの安否確認として活用できるもので、今後の新しい
防災システムとして大いに期待できます。

2014年4月の活動記録


視点

谷間は深く広くなっている
      東川 悦子      


障害者自立支援法訴訟の基本合意の完全実現をめざす会ニュース(45)


追跡 安永健太さん死亡事件の経緯と今後

             古賀 知夫          

連載 罪を犯した障害者の背景にあるもの
―生きにくい社会での生き直しの支援―

第9回 出口のない孤独~生きにくさを生きる人たち
            赤平 守           



障害者支援の現場から… 第6回

障害児学校卒業を控えて〜保護者の不安、子どもの行き先
                高橋 徹朗          

新連載・東京都・障害のある子どもの希望者全員就学40周年に思う

第2回 希望者全員就学実現までの道のり -運動の力-
               横田 滋          



トピックス


第14回私の生き方


                         モハメド・オマル・アブディン 


連載 JD加盟団体訪問 いってみよう、聞いてみよう 61

日本病院・地域精神医学会



What's New!

続報 精神科病院「病棟転換型居住系施設」問題
医療・介護一括法の中で病床転換費用が想定!

増田 一世          




JD政策会議 2014 ―権利条約批准の意義と課題―


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