13年9月17日更新
VOL.33-6 通巻NO.399
NPO法人日本障害者協議会理事 比留間 ちづ子
障害者総合支援法が本年4月から施行されたが、障害者自立支援法の看板替えと言われている。
障がい者制度改革推進会議総合福祉部会でまとめられた骨格提言(2011年8月30日)の実現への
課題は大きい。法制度改革では多々の手続きや整備が必要なことは承知しているが、日々の生活
存続に取り組んできた障害当事者や協力者の困難・苦闘の重みを踏まえ、あるべき方向性への視
点が必要であろう。
市民生活の便利さは障害者にも恩恵を与えると考えられがちである。しかし、それは逆で、可能な
限り他者に頼らず、生活自立と改善への障害者本人の取り組みこそが起源なのである。2006年バリ
アフリー新法という英断があり、駅や公共施設の段差解消やエレベーターの設置、音声・視覚表示な
どのコミュニケーション手段の増大、そして微力でも操作できるパソコンやリモコン、自動車シートの形
状、机やいすの高さの調整、ペンの握り柄の形状に至るまで多くの日常品への配慮や共用品も開発・
汎用され、高齢者も一般市民もそれを享受している。しかし、この起源となった当事者の苦労や開発
関係者の苦闘の経過が語られることはまずない。それは市民感覚が優先され、障害当事者の充足度
の評価がなされないままになっているからである。
障害者福祉サービスは介護優先とされる。高齢者と障害者では生活充足の目標も方法も異なる。
ICFに示された如く、活動と参加の状況によっても障害の様相が変わり、「ニードにあった支援」という
深さへの配慮が必須である。先日、介護職の研修で「障害者のスムーズなトイレ介助」について質問
があった。答えとしては「本人のペースに合わせ、できない箇所だけを援助する」と基本を伝えた。この
際、現在の一般家庭にあるウォシュレットは、「ペーパーをつかめない人がお湯で洗い、温風で乾かす
方法を考案し自立した」という起源を紹介した。質問者は、介護側の遂行ではなく、「本人なりの自立
への成り立ち」の意を理解したと答えてくれた。
自立支援にはこのような日常的な活動経過を共有し共存することも含まれ、その重みが、骨格提言の
6つのポイントの中の、「障害のない市民との平等と公平」「本人のニーズにあった支援サービス」につな
がる。障害施策は市民生活を豊かに牽引し、社会環境を柔軟にする機能性を持ち合わせているはずである。
新しい障害者基本計画に期待する
佐藤 久夫
学習して1票を投じよう~知的障害者と選挙
新井田 恵子
第3回 海外から見た 日本の精神障害者施策の現状
伊勢田 堯
第1回 人生のやり直しを実感したAさん
赤平 守
連載を始めるにあたって
障害者権利条約批准にふさわしい障害者支援の現場になっているのか
増田 一世
僕の3月11日 ~東日本大震災を体験して思うこと~
すみ としお
安田 真之
JD加盟団体訪問 いってみよう、聞いてみよう 53
日本職業リハビリテーション学会
ゼロ
花田 春兆
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