障害の種別や立場、考えの違いを乗りこえ、障害のある人々の社会における「完全参加と平等」や「ノーマライゼーション」の理念を具体的に実現することを目的として、各種事業を全国的に展開しています。

14年3月20日更新

2014年「すべての人の社会」3月号


2013年「すべての人の社会」3月号

VOL.33-12  通巻NO.405

透析患者として生きる

 NPO法人日本障害者協議会理事
 社団法人全国腎臓病協議会理事 俣野 公利 



 全国腎臓病協議会では「透析患者として生きる」ことについて議論をしています。透析患者は
それまで健康で元気だった人が腎臓を悪くして、人工透析を受けなければならなくなった、いわ
ゆる中途障害の方がほとんどです。今まで健常者として元気に生活していた人が透析導入を境に
障害者として生きていかなければならなくなるわけですから導入当初はなかなか障害を受け入れ
ることができません。しかし、障害を受け入れることができればその瞬間から新しい展望のような
ものが開けます。そのサポートが患者会でできないものかと議論を続けています。

 透析患者がいかにして障害を受け入れて「透析患者として生きる」覚悟ができるのか、そのきっ
かけは人それぞれですが、私個人の例で言いますと、自分が社会の一員であり、何も特別なこと
ではないと感じた時に障害を受け入れることができました。

 私は透析導入から4年が経ったころ社会人向けの学校に通い始めました。そこのメンバーは過去
の私のことは知らず、すでに透析を受けている私しか知りません。ある日メンバーで遊びに行く計画
をたてて日程調整をしている時に、ある人は「その日は会社で会議の予定が入っている」またある人
は「出張の予定が入っている」と言い、私は「透析日なので無理」と言いました。それじゃあ別の日に
しようということになりました。不思議に思われるかも知れませんが、その時に私は透析は特別なこと
ではないのだと感じ「透析患者として生きる」覚悟のようなものができたような気がします。

 それまで私の周りの人は私を気遣って社内行事も透析の無い日に設定してくれたり、最初からメン
バーから外してくれたりしていました。そのこと自体は大変ありがたいのですが、そのために私自身も
透析を特別視していて「透析をしているからあれができない、これができない」と考えていました。です
から「今回も透析があるから参加できないだろう」と勝手に決めていました。しかし、それはたまたま
透析日と日程が重なっただけで、会議や出張のために参加できないのと何も変わらないし、周りは透析
を特別なものとは思っていないのだと感じました。

 社会との隔たりを作っていたのは、私自身であって、自分自身で自分を差別していたのかもしれません。
ノーマライゼーションの第一歩は自分で自分を差別しないことではないでしょうか。

2014年2月の活動記録


視点

介護保険と障害者福祉
         佐藤 久夫           


緊急提言 精神障害者の病棟転換型居住系施設の議論は即刻やめるべし!

議論すべきは、病床削減とそのための地域生活支援の充実
                  上野 秀樹           

連載 谷間の障害と言われた精神障害 抜本的な改革に向けて

第8回 当事者から見た精神保健医療福祉  こころの健康社会をめざして
             下山 洋雄          

連載 罪を犯した障害者の背景にあるもの
―生きにくい社会での生き直しの支援―

第7回 「 いや!」と言える自由と幸せ
            赤平 守           



ささえあい つながり わすれない 大震災3年後の今

JDF宮城の活動経過と現状
                池田 裕道          


岩手の被災地はいま
                藤井 公博          


福島県相双地区におけるこころのケアの現状と課題
                須藤 康宏          

障害者自立支援法訴訟の基本合意の完全実現をめざす会ニュース(44)


トピックス・インフォメーション


第12回私の生き方


                           湯浅 恵美子          


連載 JD加盟団体訪問 いってみよう、聞いてみよう 59

全国身体障害者施設協議会



エッセイ パラボラアンテナ〔135〕 

よみがえれ3人の開拓者

花田 春兆          




WIJ&JD共同主催 障害のある人の労働・雇用国際セミナー
英米豪日のリーダーによる最新動向



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