14年2月17日更新
VOL.33-11 通巻NO.404
NPO法人日本障害者協議会理事 石井 昌明
日本社会福祉士会の理事として、昨年から日本障害者協議会の理事会及び政策委員会に参加
させていただいていますが、日頃は障害者支援施設2施設と2グループホームの統合施設長として、
知的障害者の支援業務に従事しています。
私の勤務する施設は、静岡県沼津市にあり、平成23(2011)年度末に自立支援法の移行期限を
もって、旧法の知的障害者更生施設と同授産施設がそれぞれ、障害者支援施設+自立訓練事業と
障害者支援施設+就労移行支援事業に移行しました。民間の社会福祉施設で生活介護に移らな
かった、全国的にも極めて稀な施設です。自立訓練事業を実施する障害者支援施設(A施設)は入所
定員40人で利用期限は2年間、県内の特別支援学校中等部と高等部の卒業生が主な利用者です。
就労移行支援事業を実施する障害者支援施設(B施設)も入所定員は40人で利用期限は2年間(援護
機関が認めた場合は3年間)、ほとんどがA施設出身者です。
利用者の多くが16歳から20歳前後の中軽度の知的障害者ですが、ここ数年両親が揃っている方の
利用希望者が減少し、母子家庭、父子家庭や養護施設(両親無し)、また矯正施設(親族との関係が
切れている)出身者が全体の7割近くを占めています。
適切な養育を受けず、十分な愛情を注がれずに育った彼等、ネグレクトや虐待を経験して心に深い
傷を負っている彼女等に、私の施設では4年間をかけて、集団生活の中での生活指導と作業訓練に
より、自信をつけ、自己肯定感や自己有用感を育てて、就職による社会参加をめざしています。毎日、
大小多くの問題が噴出する中、生きる力の強さに、元気と楽しさをもらいながら、利用者に関わっています。
30数年の経験から、利用者の就職活動では両親の揃った、中度または重度利用者の援助が最も
容易で、家庭環境に恵まれない軽度利用者はとても大変であると感じていますが、このことは同じ
知的障害者福祉協会の従事者にもなかなか理解されないようです。
障害程度区分が間もなく、障害支援区分に変更されます。障害の重さから、支援の重さへと認定の
枠組みがもしかしたら変更されるかもしれない、と淡い期待を抱いていましたが、期待はあっさりと
はずれました。自己肯定感や自己有用感という、自分を大切な存在であると認める気持ちがなかなか
育たず定着しない、個別的に心理的な援助が何より必要な人たちにかける人手は大変少なく見積もら
れています。
県内各地から来る利用者ですが、戻る地域や家の無い方が多いため、就職活動と同時に居住先を
確保する必要があります。そのため敷地内に地域移行型のグループホームを男女別に運営し、B施設
に通いながら一人暮らしの練習もできるように援助しています。
藤井 克徳
第7回 当事者家族が体験した日本の精神保健医療の不思議
岡田 久実子
第6回 生まれたときからの生きにくさ~福祉から隔絶される少年たち その2~
赤平 守
地域活動支援センターは「法定化された無認可施設」
北條 正志
有澤 智子
日本障害者リハビリテーション協会
長寿の幸
花田 春兆
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