障害の種別や立場、考えの違いを乗りこえ、障害のある人々の社会における「完全参加と平等」や「ノーマライゼーション」の理念を具体的に実現することを目的として、各種事業を全国的に展開しています。

14年1月21日更新

2014年「すべての人の社会」1月号


2013年「すべての人の社会」12月号

VOL.33-10  通巻NO.403

合理的配慮の事例づくり

 NPO法人日本障害者協議会代表 田中 徹二 



 2014(平成26)年が明けました。今年は国連の障害者権利条約の批准と、2016年4月から
施行される障害者差別解消法に向かって準備する年となります。JDとしましても、加盟団体
の意見を広く聴き、どんな調査をし何を提言していくのか、正念場です。

 こうした動きを踏まえて、私が委員をしているある国際機関では、これからの障害者対応を
どうしていくのか指針を作成しようとしています。従来のように障害者だけを対象にして支援
するという観点ではなく、途上国の地域開発の一環として、障害者問題もとらえていこうという
姿勢を強調しようとしています。国連やWHO(国際保健機関)等の動向をしっかり反映させ、
障害者を取り巻く国際状況や途上国の障害者環境に詳しい研究者や関係者の意見を取り入れ、
すばらしく立派な指針を作ろうとしています。これだけあらゆる方向から、しかも的確に障害者の
課題を分析した指針は、他にはとても見られません。

 ただ、私が気になるのは、こうした指針はいかに立派でも、理念にすぎないという点です。幅広い
国際活動を展開する同機関の職員にとって、目の前に表れた障害者の課題に出会ったとき、あわ
ててこの指針を読んでもすぐにはその本質を理解できないはずです。日ごろから障害者に接して
いないと、具体的にどう対応すればいいのか、どう処遇すればいいのか悩むに違いありません。

 それと同じことが、社会のいろんな分野で障害者の処遇にあたって、障害者差別解消法を運用
していくときに起きます。どこまでが合理的配慮であり、どこまでがそうでないのか?障害者を知ら
ない人たち、全く関心がなかった人たちにとっては、なんの判断材料も持ち合わせていません。
その人たちにとっては目前の課題をどう処遇すればいいのか、具体的な事例が示されるのが最も
わかりやすいのではないかと思います。

 昨年の12月4日に開かれたJDFフォーラムでも、内閣府の東障害者制度改革担当室長や藤井
JD常務理事が指摘していましたが、これから2年3か月、障害者差別解消法が施行されるまでに、
みんながわかる合理的配慮の事例を積み上げていくことが望まれます。それを実行するのがJDの
役割だと思います。JDは多くの当事者団体、関連団体が加盟している組織ですから、それぞれの
加盟団体が、それぞれ周辺の事例を取りあげ、それらを検証して提案していくのがJDの使命では
ないでしょうか。

 勝又和夫さんの突然な旅立ちに、代表を仰せつかることになりました。身分不相応なことは百も
承知しています。みなさんのご支援を切にお願いいたします。

2013年12月の活動記録


視点

内閣府障害者週間行事の再考を
         東川 悦子           




新春鼎談

権利条約批准で暮らしをどう変えていくか-若者が社会を変えていく-
         大野更紗×安藤史郎×藤井克徳           



連載 罪を犯した障害者の背景にあるもの
―生きにくい社会での生き直しの支援―

第5回 生まれたときからの生きにくさ~福祉から隔絶される少年たち その1~
            赤平 守           



連載 障害者支援の現場から…第3回

「豊かな子どもの成長・発達」が 「お金」に左右される制度に抗して
~放課後等デイサービス事業と利用者負担の問題~
                  真崎 尭司           

いまだ解決されていない応益負担・家族負担問題
-社会保障制度改革を方向転換させる運動を!-
                    家平 悟           

障害者自立支援法訴訟の基本合意の完全実現をめざす会ニュース(42)

「障害者権利条約」批准承認にあたっての訴訟団声明

トピックス・読書案内


第10回私の生き方


                         天畠 大輔           


連載 JD加盟団体訪問 いってみよう、聞いてみよう 57

全国救護施設協議会



エッセイ パラボラアンテナ〔133〕 

年逝く

花田 春兆           




JD〈連続講座〉
国連・障害者権利条約の批准! ゴールでなく、新たなスタートに!
あらためて障害者の権利とその保障を考える!



賛助会員大募集中!
毎月「すべての人の社会」をお送りいたします。

■個人賛助会員・・・・・・・1口4,000円(年間)
■団体賛助会員・・・・・・1口10,000円(年間)

▼お申し込みは下記JD事務局へメール、電話、FAXなどでご連絡ください。
〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 日本障害者協議会
TEL:03-5287-2346 FAX:03-5287-2347

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※視覚障害のある方向けのテキストデータ版もございます。
※ご不明な点はJD事務局までお問い合わせください。



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