13年3月18日更新
VOL.32-12 通巻NO.393
NPO法人日本障害者協議会理事
社団法人全国腎臓病協議会理事 俣野 公利
「末期腎不全」「人工透析」と聞いてみなさんはどのようなことを想像されるでしょうか。腎不全
とは腎臓が機能しなくなる病気であり障害です。人工透析とは失った腎臓の働きを補う治療方
法です。治療といっても腎機能が回復するわけではなく生きている限り一生続ける必要があり
ます。人工透析を行わないと尿毒症で数日で死に至ります。そのため延命治療と認識されてい
る方も大勢います。しかし、私たち(全腎協)は、人工透析をただ単に延命のための治療とは思
っていません。健常者と変わらない社会生活を送るために、社会の一員として生きるために透
析をしているのです。
最近テレビなどで終末期の医療についての検討が話題になり、国務大臣の発言が物議をかも
しましたが、人工透析も中止すれば死に至る治療である以上は避けて通れない問題です。日本
透析医学会でも、人工透析が必要な患者が、回復の見込みがない終末期を迎えた場合、本人や
家族が透析を望まなければ、中止も選択肢とする提言案をまとめています。全腎協でも終末期の
腎不全患者に対する透析治療の在り方について、患者の立場から議論を始めました。
透析は中止すれば死に至ります。現在の法律では、治療を開始すれば中止することはできませ
ん。つまり、患者本人やご家族が、透析を中止して静かにその時を迎えたいと希望しても、それは
かなわないのです。
私は今まで透析によって生かされていることに感謝して、人生をどう生きるか、腎機能障害で
透析をしながらでも社会人として生きていくことを考えていました。正直、終末期など考えたこと
もありませんでした。人生の終焉をどう迎えるかは、人生をどう生きるかと同じぐらい重要な問題
です。私たちのように生きるために透析をしている者にとってはなおさらです。生涯治療を続けな
ければならないことによるストレスやプレッシャーを抱える透析患者にとって、「終末期にはどのよ
うな治療を受けたいか」という意思を明確にしておくことは大切なことです。
全腎協では、現在「患者憲章」をまとめようという取り組みを始めています。患者の権利に即し、
患者としてどのようにあるべきかを示したいと考えたのです。今回の動きを受けて、この憲章の中で、
家族や医療者に対し意思を明確にする「事前指示書」の作成を項目の一つにしてはどうかという検
討もなされています。
いずれにしても、今回の動きにより、患者の生き方の選択肢が増えるものとなり、患者としての
権利が広がるものになることを強く望みます。
太田 修平
障害者・高齢者の地震災害の問題点と今後の課題
秋山 哲男
福島・果てしない道はまだまだ続く
郡 信子
岩手・安心して暮らせる生活の提供は、私たちの使命
久保田 博
宮城・被災障害者支援の実態と教訓
株木 孝尚
行政のうごきとJDの対応
てんかんのある人等に関わる法改正のうごき
地方公共団体の障害者雇用の実情
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「"意味のある作業"で障がい者を支える」
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「意思決定支援を核として、自閉症・発達障害者への支援を促進」
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「共生社会の創造をビジョンに」
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難病をもつ人々と障害者制度改革 PartⅡ 最終回(総論)
これからの難病対策のあるべき姿 佐藤 久夫
デンマークでの障害者雇用施策の特徴
─保護雇用施策としてのフレックスジョブを中心に─
磯野 博
JD加盟団体訪問 いってみよう、聞いてみよう 47
長野県障害者運動推進協議会
おかめ余談
花田 春兆
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