12年6月21日更新
VOL.32-3 通巻NO.384
NPO法人日本障害者協議会理事
社団法人日本発達障害福祉連盟会長 金子 健
障害のある人々を取り巻く環境はいま、大きく変わろうとしている。20世紀中頃の北欧に始まったノーマ
ライゼーションの潮流は、国連の国際障害年やアジア太平洋障害者の十年などの取り組みを通じ、世界
中を巻き込んだ大きな流れとなって広がっていった。そしてその集大成として、2006年12月には国連障害
者の権利条約が採択され、その批准国はいま、100か国を超えている。この世界の流れの中にあって、わ
が国でも内閣府に設置された障がい者制度改革推進会議は、批准に向けた国内法の整備にかかわる議
論を精力的に展開してきた。
しかし、改革には常にその反動や守旧のモーメントが働くことを覚悟しなければならない。これまで十分
に整備されていなかった発達障害のある人々への支援は、当事者とその家族、支援者の努力の結果として
2004年12月に成立した「発達障害者支援法」によって、徐々に理解が進むと共に教育や就労等での取り組み
が進められてきた。ところが、今年5月、「大阪維新の会 大阪市議会議員団」によって提案が準備されてい
た「家庭教育支援条例(案)」の内容を知り、唖然とさせられた関係者は少なくない。
そこに示されている、「乳幼児期の愛着形成の不足が軽度発達障害またはそれに似た症状を誘発する大
きな要因」であるとする記述は、「親の育て方が悪い」という長く当事者を苦しめてきた、現在では完全に否定
された過去の非科学的認識であって、それを払拭するために積み重ねてきた関係者の長年にわたる努力を
踏みにじるものと言わざるをえない。
大阪市でのこの動きの背景には、単なる無知や認識不足という以上の作為的な意図があるようにも思える
のだが、それに対抗するためには、広く一般市民を含めたすべての人々が、人権や障害についての正しい理
解を持つことが不可欠である。子どもの時から、学校や地域社会で、障害の有無にかかわらず共に遊び、共に
学ぶことを通して、お互いの喜びや悲しみを共有することが、相互理解のための必要条件であろう。そのため
にも、インクルーシブな、「すべての人の社会」が一日も早く構築されることを願っている。
太田 修平
国は基本合意・骨格提言を無視するな! 全国一斉集会 共同アピール
園田 尚美
元総合福祉部会長の立場から
佐藤 久夫
訴訟団の立場から
藤岡 毅
全国腎臓病協議会
「医療費無料化の実現をめざす」
吉村 規男
全国精神障害者団体連合会
「また頑張ろう!」
有村 律子
全国知的障害者施設家族会連合会
「国約違反法治国家にあるまじき行為」
由岐 透
全日本ろうあ連盟
「情報・コミュニケーション法と手話言語法の実現をめざして」
小中 栄一
難病をもつ人々と障害者制度改革 PartⅡ 第1回 (総論)
新たな難病対策の検討はどうなっているか
水谷 幸司
差別禁止法の展望─差別禁止法の制定に向けて─ 第3回 棟居 快行
JD加盟団体訪問 いってみよう、聞いてみよう 39
障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会
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