12年5月18日更新
VOL.32-2 通巻NO.383
NPO法人日本障害者協議会理事
社団法人日本社会福祉士会(茨城会長) 竹之内 章代
私が障がいがある方たちとかかわる仕事を始めて二十数年がたち、さまざまな制度や障がいへの
意識や考え方も少しずつではありますが変わりました。しかし、この変化は十分であるのかと思うこと
があります。
たしかに、20年前に比べれば格段にサービスは増えました。たとえば、仕事を始めた当初は、家族に
不幸があって障がいがある子どもをそこに連れて行けないとき、すぐに対応ができるところがなく、相談
を受けた私たちも右往左往しながら、泊まる設備はないけれど布団を事務所に持ち込んで、泊まったこ
ともありました。今は、量的な整備が不十分だとしても、以前ほど困ることは少なくなりました。また、暮ら
しの場が限られ、入所施設が唯一の選択肢と考えられていた頃から比べれば、地域で暮らすことについ
て、量的には十分とは言えないまでも整備がされてきました。
しかし、「地域移行」と「地域生活」とは何かを改めて考えさせられることがありました。Aさんは入所型
の施設から老人保健施設(以下、老健)へと住まいの場を移しました。老健は、地域にある住まいから
一定の期間を区切って入所する施設です。ですから、地域移行と言えば地域移行という見方もできる
のかもしれません。しかし、私には障害福祉計画に基づいて都道府県から入所者の数を減らせといわ
れた結果、目標数達成のために住まいの場を移したとしか思えませんでした。それは、Aさんと話すと
「(以前に比べ)何もすることがない」、「ここは入ったら(一度入所したら散歩にも行けず)ずっと入った
きり」と思い描いていた暮らしとのギャップが出てきたからです。施設側は、Aさんが望んだから老健に
移行したといいますが、Aさんの真の意向をくみ取った結果だったのでしょうか。数十年にわたる施設
生活をしてきたAさんに対して、地域生活とは何か(具体的にどのような生活であるのか、現在との違
いはどこなのか、どのような人たちの支援があり、自分を生かせる生活はあるのかなど)を丁寧に伝え
本人のペースで地域移行を進めていくことが必要ではなかったでしょうか。
だれのための制度か、だれのための支援か、だれのための・・・と考えると、20年前から足踏みしてい
る部分もあります。少しでも前へすすめるよう、「だれのための」を問い続けることが改めて必要であるこ
とを感じています。
藤井 克徳
地域生活定着支援センター― 47都道府県設置でネットワーク化 ―
赤平 守
こころの健康政策構想実現会議
増田 一世
報告1.学習会 憲法から考える障害者差別禁止法(JDF差別禁止法制小委主催)
報告2.当事者の声を反映した共生社会を実現する法の制定を目指して(日弁連主催)
難病をもつ人々と障害者制度改革 第12回 (総論)
まとめ─障害者総合支援法案と患者家族のねがい
水谷 幸司
差別禁止法の論点─差別禁止法の制定に向けて─ 第2回 川島 聡
障害のある人の被災死亡率 全体の4倍以上に 小野 浩
JD加盟団体訪問 いってみよう、聞いてみよう 38
全国ことばを育む会
しののめ終刊
花田 春兆
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