障害の種別や立場、考えの違いを乗りこえ、障害のある人々の社会における「完全参加と平等」や「ノーマライゼーション」の理念を具体的に実現することを目的として、各種事業を全国的に展開しています。

11年12月22日更新

2011年「すべての人の社会」12月号


12011年「すべての人の社会」12月号

VOL.31-9 通巻NO.378

この頃強く思うこと

日本障害者協議会理事 福澤 利夫



 去る11月にブータンの若き国王夫妻が国賓として来日し、震災被災地も見舞われた。

 ヒマラヤの小国ブータンはGNH(国民総幸福)を国是とし物質的豊さより精神的豊さを
重視する政策を進めている。「技術や文明の発達が全てではなく人間のコミュニティの構
築こそ大切」とのご発言に共感し、また国王・王妃の振る舞いには品格があり、人々への
思いやりの言葉も心に残った。

 私は、会社に勤務していた頃ブータンと隣国ネパールに対する日本の無償援助のイン
フラ整備業務に携わったことがあるので両国に対する関心は深い。30年以上前に初めて
ネパールの首都カトマンズに出張した時の印象は、素朴な人々と、牛が町中を悠然と闊
歩する牧歌的で物質文明とは縁遠い雰囲気に魅了された。

 治安も極めて良く、夜の一人歩きも心配がなかった。その後十数年の間に数回訪れたが
次第に物質文明の整備が進み、のどかな首都は喧騒と埃っぽい町に変わっていた。さらに
その後、政変も起こり治安も悪化してしまった。他方、ブータンでは、人間生活に不可欠な
最小限のインフラ整備に止めている。3月11日に東日本に発生した未曽有の大地震の被
害を契機に、人間の生き方の根本が問われている時が来たと自戒も含めて感じたし、ブー
タンのような国の在り方にも共感する点が多い。戦後の廃墟から飛躍的に発展し豊かな社
会を築き上げた日本人の能力は大きい。だが反面、精神的な豊さを失った点はさらに大きい。

 大震災や水害の発生を機に、物欲に満ちた生活を一変させるべきではないか。物質文明
重点の社会は、深刻な格差を生み、特に障害者や病弱者等、弱者の不安を増大させる社会
になってしまった。医療と技術の著しい進歩が障害者・病弱者の命を守り利便性に寄与した
点は確かに大きいが、一方で、進行性難病者の延命の実現によって重度者が増大し病院の
医師不足や看護等種々の対応が大変遅れている現実がある。また、一例であるが視覚・聴
覚障害者や高齢者の方々にとって無音に近い電気自動車の普及は、改善を加えなければ
危険が大きいと懸念する。文明の恩恵を享受するためには多少の不安全や犠牲はやむを
得ないという安易な考えがあるとすれば、被害を被るのはほとんどが弱い立場の人達だ。
実利を重視し真の現実の実態を見ようとしなければ国民総幸福の実現など夢の夢になる。

11月の活動記録

視点 廃止は自明ではなかったのか(上)公開中

藤井 克徳            


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てんかんをめぐる昨今の問題から
適切な治療の継続と法に基づく運転免許の所持が基本です。       田所 裕二           


民主党ワーキングチーム障害者総合福祉法(仮称)に
盛り込むべき事項についてのヒアリングにJD参加


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難病をもつ人々と障害者制度改革 第7回 各論7
血管腫・血管奇形の抱える問題と患者会として望むこと     木村 香織           


難病をもつ人々と障害者制度改革 第7回 各論8
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障害のある子どもたちのいま 第9回
カーテンで間仕切り、特別教室もない障害児学校の実態土方 功           


つながり ささえあい

南相馬での訪問調査でみえてきたこと     古賀 知夫           


丸ごと消えた町の復旧・復興とは―11月・岩手訪問記―
    品川 文雄           


東日本大震災被災地支援 さまざまな支援が広がっています。

連 載

JD加盟団体訪問 いってみよう、聞いてみよう 33
ぶどうの木 ロゴス点字図書館


トピックス・インフォメーション

エッセイ パラボラアンテナ〔109〕 

新旧世代2

花田 春兆            


 
第13回全国障害者生活支援研究セミナー(主催:サポート研)
「意思決定と支援Ⅱ~障害者総合福祉法の時代に~」


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