障害の種別や立場、考えの違いを乗りこえ、障害のある人々の社会における「完全参加と平等」や「ノーマライゼーション」の理念を具体的に実現することを目的として、各種事業を全国的に展開しています。

11年11月15日更新

2011年「すべての人の社会」11月号


12011年「すべての人の社会」11月号

VOL.31-8 通巻NO.377

若年性認知症対策の現状

日本障害者協議会理事(日本作業療法士協会)
全国若年認知症家族会・支援者連絡協議会顧問
                     比留間 ちづ子  



 全国若年認知症家族会・支援者連絡協議会が1周年を迎えた。ささやかに自主
活動をしている25グループが、情報交換と、今後の方向性を共有する趣旨で出発し、
フォーラムなどを開催してきた。

 若年性認知症対策が、厚労省の老健局、社会・援護局、雇用促進関係の合同で
2008年3月に通知されたものの、「認知症」それ自体が介護保険法の対象で相談
窓口が地域包括支援センターとなっており、高齢認知症対応に組み込まれるという
大きな混迷が続いている。若年認知症の発症は40歳台後半だが行動上の発見か
ら受診・診断の時期は50歳台半ばとなり、この間の差別、診断後の偏見、社会的孤
立の苦痛は大きい。休職や配偶者介護のため経済的に断絶し、子どもの教育やス
トレスなど、家族ぐるみの社会的救済の対策はない。早期発見への検診、診断技術、
医療者の認識改善、リハビリテーションの設置は急務であり、行政担当者が若年認
知症の課題と対応を専門的に研修する機会が早急に必要である。

 東京都ではモデル事業を開始し、産業医との連携を強く訴え、発症から地域生活へ
のソフトランディングへのシステムを試行しているが、委託事業者が介護保険施設で
あることで成果の危惧は大きい。この状況の中、今年度、日本作業療法士(OT)協会
は、医療保険補助金による「若年認知症の作業療法研究事業」を行い、実践事例を
集積して対応の在り方を研究し、研修会を行う予定である。OTが医療現場に多い現
実ながら地域生活支援での課題に取り組めることへの期待は大きい。

 一方、自主活動や地域市民活動において本人活動は活発である。公園や町の掃除、
保育所の砂場整備、児童の登下校の交通安全や見守り、イベント要員などのボランティ
アがアルバイトとなり、弁当の宅配や事務手伝いなどで雇用につなげる動きもある。
仕事と責任、役割がある生活の規律が必要なのは、人間みな同じである。制度的には
生活障害としての認定が必要であり、私たちは手帳の取得を勧めている。障害者雇用や
地域支援につなげるために手帳取得が必要で、自分の可能性を認識し広げていただく
ためである。もちろん障害者サービスの内容が個別の生活支援として充実されることが
前提ではある。最近はリハビリ期間の限定によって若年層の脳疾患後の高次脳機能障
害者も「若年性認知 症」とされその範囲が拡大してきている。谷間の障害の課題を今一
度整理し、団体として経済的に工面してJDにも参画したいと考えているところである。

10月の活動記録

視点 NPO法人と協議員制度

田中 徹二            


障害者自立支援法訴訟の基本合意の完全実現をめざす会ニュース(18)

報告 創ろう みんなの障害者総合福祉法を!10.28JDF大フォーラムに1万人!

連載

難病をもつ人々と障害者制度改革 第6回 各論5
すべての膠原病患者に公平な福祉制度を 森 幸子             


難病をもつ人々と障害者制度改革 第6回 各論6
関節リウマチ患者の現状 長谷川 三枝子    


連載

障害のある子どもたちのいま 第8回
障害のある子どもを育てる「放課後等デイサービス」を!村岡 真治            


骨格提言を深く学び、新法に息づく運動を

新井 たかね            

資料

障害者自立支援法を確実に廃止し、障がいのある当事者の
意見を最大限尊重し、その権利を保証する総合的な福祉法の制定を求める決議


報告 欧州議会議員 アダム・コーサ氏 講演会

連 載

JD加盟団体訪問 いってみよう、聞いてみよう 32
日本社会福祉士会


トピックス

・JD東日本大震災被災障害者支援活動資金状況


エッセイ パラボラアンテナ〔108〕 

新旧世代

花田 春兆            


 
JDF全国フォーラム
「障害者権利条約と制度改革の最新動向
~内外の関係潮流と私たちに問われるもの~」


賛助会員大募集中!
毎月「すべての人の社会」をお送りいたします。

■個人賛助会員・・・・・・・1口4,000円(年間)
■団体賛助会員・・・・・・1口10,000円(年間)

▼お申し込みは下記JD事務局へメール、電話、FAXなどでご連絡ください。
〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 日本障害者協議会
TEL:03-5287-2346 FAX:03-5287-2347

○メールでのお問合わせはこちらから office@jdnet.gr.jp
○FAXでのお申込み用紙はこちらから 【賛助会員申し込みFAX用紙】

※視覚障害のある方向けのテキストデータ版もございます。
※ご不明な点はJD事務局までお問い合わせください。



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