11年8月15日更新
VOL.31-5 通巻NO.374
日本障害者協議会理事 石渡 和実
この1月、家族に思いがけないことが起こり、「生命」と向き合わざるをえない
日々を送っている。まさに「当事者」という立場に立たされ、その厳しさを思い知
らされた、というのが率直な想いである。希望と絶望とが常に隣り合わせに存在
し、「全てを投げ捨てたい」、そんな気持ちに衝動的に、かつ周期的に襲われる。
こんな時、力をいただいたのが、仕事を通して出会ったさまざまな立場の方々で
あった。特に、障害当事者、その家族の声はズシンと響いた。それぞれの体験の
重みが、新たな意味をもって、私の胸に迫ってきた。前に進む力を与えてくれた。
ただただ、感謝の気持ちでいっぱいである。
そんな時、3月11日の大震災が起こった。一瞬にして失われたかけがえのない命、
大切な人を奪われた方々…。「なぜ」「どうして」…。自らの体験とも重なり、震えが
止まらなかった。
改めて、「人権」という言葉が湧きあがってきた。障害分野でも、医療、福祉、教育、
さまざまな「事件」、「人権侵害」が話題になってきた。しかし、こうした極端な出来事
ばかりでなく、毎日の生活が当たり前に送れないこと、それこそが大きな人権侵害
なのである。
自然災害、病気、事故、障害…。原因はさまざまだが、「日常が奪われること」は重
大な人権侵害である。3.11以降、このことを再認識しなければならないと痛感させら
れる。非日常に陥り、生きる力を奪われてしまうことの恐ろしさ、これを、今、被災地の
暮らしから思い知らされる。
ここで、障害者福祉の動向に目を向けてみたい。6月17日、障害者虐待防止法が
参議院で、議員立法で成立した。昨年1月から、障がい者制度改革推進会議の場で、
当事者主体で重要法案が討議されている流れとは異なり、唐突な成立という印象は
否めない。待望されていた法律という面もあるが、これは「事件」レベルの人権侵害を
扱う法律でしかない。
今、求められるのは、やはり障害者差別禁止法である。障害者権利条約に繰り返し
謳われている、「障害がある人が他の者との平等を基礎として」という視点に立ち、「非
日常に陥ることは人権侵害」と認識することが大切である。だからこそ、「当たり前の暮
らし」を確立する基盤として、高い理念に立つ障害者差別禁止法の議論が求められる。
障害者基本法の一部を改正する法律案の概要
藤井 克徳
東日本大震災における障害者自立支援法の問題点
―宮城県を中心に―小野 浩
婆ちゃんの考える脱原発
東川 悦子
相馬市・南相馬市を訪ねて
増田 一世
難病をもつ人々と障害者制度改革
第3回 家族から見た難病の子どもと地域とのつながり
福島 慎吾
障害のある子どもたちのいま 第5回
相談の場から見える子ども・親 ~不登校・ひきこもりの事例から~青木 道忠
プラビダーコスタリカでの活動から その5坂下 共
JD加盟団体訪問 いってみよう、聞いてみよう 29
日本精神保健福祉士協会
・JDF東日本大震災被災障害者総合支援本部 第一次報告会開催
・JD東日本大震災被災障害者支援活動資金状況
"でも"ではなく、"だから"なのだ
花田 春兆
▼お申し込みは下記JD事務局へメール、電話、FAXなどでご連絡ください。
〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 日本障害者協議会
TEL:03-5287-2346 FAX:03-5287-2347
○メールでのお問合わせはこちらから office@jdnet.gr.jp
○FAXでのお申込み用紙はこちらから 【賛助会員申し込みFAX用紙】
※視覚障害のある方向けのテキストデータ版もございます。
※ご不明な点はJD事務局までお問い合わせください。
フッターメニュー