11年7月15日更新
VOL.31-4 通巻NO.373
日本社会事業大学 社会福祉学部教授 佐藤 久夫
「総合福祉部会」は、障碍者が地域で平等に生活するために必要不可欠な社会福祉の支援が
この法律によって確実に利用できるようにしたい、との方向で検討している。権利法への変更
である。現状では、どのような支援を提供するかについての広い裁量権が市町村に認められ
ていて、予算などの条件を理由に利用できないことが多い。
部会の作業チームのこうした方向に対して、2月15日の総合福祉部会では「厚労省コメント」が
報告され、そこでは「給付法である障害者自立支援法に代わる障害者総合福祉法において、
具体的な権利を規定することについては、日本国憲法との関係や既存の法体系との整合性等
を考慮した検討が必要と考えられます。児童福祉や高齢者福祉といった他の給付法では、給
付種類、給付の対象範囲、給付手続等を主に定めていることも踏まえ、障害者のみ『権利法』
とすることの是非についても議論が必要と考えられます。」とされた。
たしかに憲法で規定している権利を、個別の法律が権利として保障し、それを実現する責務を
国・自治体に課すという法体系にはなってはいないようにも見える。たとえば憲法は働く権利を
保障しているが、これを受けて個別法が実際に個々の国民に職場を「確保」する義務を行政に
課してはいない。これは雇用という民間の契約を行政が強制はできないからであろう。しかし
行政は、国民が働く権利を実現するために必要な、教育・職業訓練・職業紹介などを提供する
義務を負っている。
障碍者が居住(22条)、尊厳(13条)、生存権(25条)、法の下の平等(14条)等の憲法的権利を
実現するには、所得、住居などが必要であるが、同時に「福祉支援」も必要なことが多い。「福
祉支援」は民間活動ではなく国の制度であり、地域での生活に必要不可欠なものについて国・
行政が提供義務を負う(障碍者に請求権を認める)との条文が新法に必要とされるのではな
いか。
何が「必要不可欠」かの判断基準の明確化や必要予算の推計と確保など、一定の時間をかけ
て検討すべき事項は多い。少なくとも、たとえば「地域介護が不足するために施設入所・社会的
入院を長期にわたり余儀なくされている事態は違法であり、地域生活に必要な介護をこの法律
に基づいて請求できる」などは、すべての国民が賛同できる事項であり、こうした方向での新法
作りが期待される。
藤井 克徳
ポスト障害程度区分 第4回
住み慣れた地域で暮らすために必要な支援を 朝比奈 ミカ
東日本大震災と障害者支援
阿部 一彦
被災地に飛んで、心にしみたこと福井 典子
難病をもつ人々と障害者制度改革
第2回 障害者制度改革に向けての課題
水谷 幸司
障害のある子どもたちのいま 第4回
相談の場から見える子ども・親
池添 素
プラビダーコスタリカでの活動から その4 坂下 共
JD加盟団体訪問 いってみよう、聞いてみよう 28
障害乳幼児の療育に応益負担を持ち込ませない会
こころの健康政策構想実現会議 6.25全国一斉街頭署名
花田 春兆
第10回応募要項
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