障害の種別や立場、考えの違いを乗りこえ、障害のある人々の社会における「完全参加と平等」や「ノーマライゼーション」の理念を具体的に実現することを目的として、各種事業を全国的に展開しています。

12年1月20日更新

2012年「すべての人の社会」1月号


2012年「すべての人の社会」1月号

VOL.31-10 通巻NO.379

新しい年の課題

日本障害者協議会代表 勝又 和夫                



 新しい年を迎えました。私にとっては昨年の大病がありますが、曇り空でも夜明けの感じが
します。二つの一級障害を抱える身となっているとはいえ、病気でないことや普通に暮らせて
いることのありがたさを実感しての年明けでもあります。多くの障害のある人やその家族・関係
者のみなさんにとって、この年が普通の日常が送れるものであり、少しでも希望が叶う年であ
ることを願って止みません。

 昨年は千年に一度とも言われる東日本大震災や、世界にも類のない大規模な福島原発事
故があった年として記憶や記録に残ると思います。障害分野にとっても被災障害者の支援を
はじめとして、後世、歴史に残る大きな節目の年であったと評される動きが、重なってありま
した。とくに将来に向けたものとして、国連の障害者権利条約批准を睨んだ障害者基本法の
改正、障害者総合福祉法(仮称)制定への基礎となる、障がい者制度改革推進会議(以下、
推進会議)の下の55人からなる総合福祉部会で一致をみた骨格提言の公表があります。
わが国の障害関係団体が一堂に会したJ D F主催の10 . 28大フォーラムに、全国各地から
日比谷野外音楽堂に1万人を超える規模で集結し、開催されたことも画期的でした。

 わが日本障害者協議会(JD)はこれら全てに深く関わっています。障害者基本法の改正につ
いての考え方を審議した、障がい者制度改革推進会議では常務理事が議長代理を務め、総
合福祉部会では個々の立場ではあったものの5人の理事が構成員となり、その中の1人(政
策副委員長)は部会長を務めました。大フォーラムでは組織をあげて下支えをし、全体を仕切
る事務局長には企画委員長が就きました。JDの前身が国際障害者年日本推進協議会である
ことからしても、果たすべき役割を多くのみなさんから与えていただいたと感謝していますし、
JDに加盟している団体に原点の血が流れ続けていたことにも感謝したいと思います。

 JDは今年の4月からのNPO法人化をめざしていますが、法人化のねらいはJDの発足の原点
で、広報誌のタイトルでもある「すべての人の社会」をより確かなものとするもので、遅れの目立
つ障害分野での、欧米先進国並みへの底上げへのさらなる活動ができるようにしたいというもの
です。障害種別を問わず、障害分野に関わる職域団体も参加し、小規模な団体や声を上げるこ
とが困難な障害者団体への支援も視野に入れるJDは、今年の最初の大きな取り組みとして今
通常国会に上程が見込まれる障害者総合福祉法(仮称)の骨格提言での水準を守り、その成立
を多くの団体とともにより多くの一般市民の理解を得て、成し遂げたいと願っています。

 この一般市民を含めた理解の広がりのために、JDとしては、会員拡大はもとより賛助会員と広
報誌の購読者拡大に力を入れていく取り組みを行なっています。

 来年度の政府の概算予算案を見るとき、詳細は不明ながらもある程度の制度改革を見据えた
パイロット事業などが散見されます。この概算予算案がどういう形で成立するかは未定ですが、
大切なことのひとつに障害者自立支援法下の、障害のある人の生活の質の変化や事業者等の
変化を先ず検証すべきだと思います。実態の把握は基礎を確かなものにし、その上に建つ建物
を確かなものにするはずです。 新しい年の始まりにあたって、昨年の東日本大震災や福島原発
の甚大な事故などによって、はかり知れない困難の中にいる被災者の方々への支援を改めて決
意するとともに、国内外でのダメージについて一刻も早い復旧・復興を願うものであります。

 わが国の歴史を辿るとき、粘り強く逞しく、そして決してあきらめない国民性を秘めていると信じ
ています。こうした国民性にあって、先進国のなかでも遅れの目立つ障害分野は、障害者団体の
連携があってこそ多くの国民の理解が得られるものと考えます。昨年のJDF主催の大フォーラムが、
そのための一歩となりこの年の基調として、障害者団体全体をリードするものであってくれること
を期待します。
そんな輝く新年であるように、手を携え合おうではありませんか。

12月の活動記録

新春鼎談 障害者制度改革を本物としていくために

  清原慶子・森祐司・藤井克徳     



障害者自立支援法訴訟の基本合意の完全実現をめざす会ニュース(19)

ニュージーランドにおける障害者権利条約批准のダイナミズムと原動力

    小野 浩           


連 載

JD加盟団体訪問 いってみよう、聞いてみよう 34
日本音楽療法学会


連載

難病をもつ人々と障害者制度改革 第8回 各論9
見た目にはわからない小腸機能障害者     中山 泰男           


難病をもつ人々と障害者制度改革 第8回 各論10
ウエルナー症候群~もうひとつのニッポニアニッポン~          田中 哲           



連載

障害のある子どもたちのいま 第10回
脱『子供の貧困』への処方箋~1.現状の分析   浅井 春夫          


エッセイ パラボラアンテナ〔110〕 

通じ合うもの

    花田 春兆          


 
障がい者のためのわかりやすい東電賠償学習会

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毎月「すべての人の社会」をお送りいたします。

■個人賛助会員・・・・・・・1口4,000円(年間)
■団体賛助会員・・・・・・1口10,000円(年間)

▼お申し込みは下記JD事務局へメール、電話、FAXなどでご連絡ください。
〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 日本障害者協議会
TEL:03-5287-2346 FAX:03-5287-2347

○メールでのお問合わせはこちらから office@jdnet.gr.jp
○FAXでのお申込み用紙はこちらから 【賛助会員申し込みFAX用紙】

※視覚障害のある方向けのテキストデータ版もございます。
※ご不明な点はJD事務局までお問い合わせください。



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