●最新のニュース20041109大な触法行為をした精神障害者の処遇に関する法律案(仮称)の概要」に関して、要望書を提出

改革のグランドデザインに対するJDの意見

 11月8日グランドデザインに関する要望書を厚生労働大臣に提出しました。本文に添えて、6ページにわたる資料も添付しています。

200411月9日

「改革のグランドデザイン案」(厚生労働省障害保健福祉部)への意見

厚生労働大臣
  尾辻 秀久 殿            

                      日本障害者協議会                         代表 河端 静子

はじめに

 去る1012日の厚労省社会保障審議会(障害者部会)において発表のあった「改革のグランドデザイン案」は、「障害福祉サービス法(仮称)」の創設(障害種別の格差・縦割り制度からの転換)、施設単位から個人単位への支払い方式への転換、施設体系の見直しへの着手など、長年の課題を解決する積極的な側面を持ちつつも、下記のように懸念される点や残されている課題が多くあります。
 これらの問題点を解決し、障害者の自立と社会参加を推進していくための真の「政策グランドデザイン」としていかなければなりません。

1 「谷間の障害者」が生じない「障害福祉サービス法(仮称)」にすること
 単に現行の3法の「和」ではなく、発達障害や慢性疾患にともない福祉サービスを必要とするすべての人々を対象とすべきです。そのため現行の障害者手帳所持を絶対要件とはしないこと、ICF(国際生活機能分類)の生活機能と障害を総合的に見る視点を採用すべきです。

2 福祉サービス受給権の明記
 従来の規定は、市町村等は福祉サービスを支給することができる、というものでしたが、新法では、「客観的な評価によりこの法律による福祉サービスの利用が必要であると判断された者はそのサービスを受給する権利があり、市町村はその提供の義務を負う」旨の規定を設ける必要があります。

3 応益負担と所得保障
 十分な所得保障という前提を欠いた「応益負担」はサービス利用を不可能にします。本来的には障害にともなう費用は自己負担なし(社会が支える)とし、食費・住居費等は本人が一市民として100%負担するのが理想で、それを可能にする所得保障が必要です。これが目標となりえず「応益負担」が不可避であれば、所得保障改革と連動して計画的に進めるべきです。

4 扶養義務の完全撤廃
 「扶養義務者の負担は廃止する」としながらも、負担がとくに困難な者に対する減額措置は家族の負担能力を勘案して適用するとしています。これでは、「応益負担」化で扶養義務範囲が実質的に家族全体に広がる上に、減額申請も困難となります。扶養義務を完全撤廃するとともに、精神障害者の「保護者」制度についても撤廃すべきです。

5 「認定審査会」に第3者的な性格の担保を
 市町村でのサービス支給決定にかかわる「認定審査会」は、障害当事者団体の代表が関与する第3者的な性格のものとすべきで、また支給決定への不満を訴えることのできる別の第3者的機関等の支援システムも必要です。

6 相談・調整体制の一元化を
 いずれの社会資源を選択するかについての相談や調整のための機関は、雇用・就労分野と社会福祉分野とを一元化し(窓口の統合)、より総合的な相談や調整ができるような仕組みとすべきです。

7 「障害」の定義、認定方法の改訂を
 現行の「障害」の定義や認定方法は、いわゆる医学モデルを基調としたもので、さまざまな歪が生じています。ICF(国際生活機能分類)に基づいて、生活機能や環境要因を含めたより総合的な「障害」の定義や認定方法とすべきです。

8 社会資源の量的な整備
 支援費制度によって「自己決定」や「選択」が当然のこととされるようになりましたが、複数候補から選択できるほどに社会資源のある市町村はごく一部で、通所施設やグループホームがひとつもない市町村が大半です。ホームヘルプサービスも知的・精神・障害児では約半数で実施していません。市町村と障害保健福祉圏域で必要な資源を計画的に整備する仕組みを急いでつくる必要があります。

9 「自立支援型システムへの転換」の転換を
 全体として「グランドデザイン案」構想の中心に旧態依然の支援観からなる「自立支援型化」があるという印象を受けます。そうであれば訓練中心の「自立支援型」の強化なら現行の障害種別の縦割りが効果的であって「総合化」は不必要ですし、「更生」を「自立」に書き換えただけの過去50年間を繰り返す危険があります。「授産・更生施設」が「保護型」となってしまったのは、自立支援訓練が弱かったからではなく、その主因は「地域生活支援型」サービスの不足と企業を含む社会全体の支援体制の弱さにあったのです。この視点での施策の充実が必要であります。


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