2002年「JDジャーナル」10月号

2002年「JDジャーナル」10月号表紙 VOL.22-7 通巻NO.268
作 家 夢村(むそん)
作品名 チビッコ会議
解 説  会議をしている子どもたちは、いつだって真剣です。何をして遊ぼうか?どこの広場に行こうか?大人にっては他愛もない内容・・・。「会議」と称してはいますが、本当は単純な「話し合い」なだけ。
 でもね。子どもたちは「会議」をしている自分がカッコよくて好きなんです。自分の子ども時代を思い出してください。あなたも、そうではなかったですか?
 しかし絵は変化球ではなく、直球で勝負すべきと常々肝に銘じているのですが。

(東京コロニー・アートビリティ提供)

* Contents *

巻頭言 変化の時代に対応する運動を
・・・JD副代表 吉本 哲夫
特 集 <座談会>誰もが使いやすい福祉サービスとは
―自立のニーズに応じられる福祉用具のありかた―
行動するJD 障害者を対象にしたIT講習会に係るアンケート調査
・・・東京コロニー/社会福祉士/
JD情報通信ネットワークプロジェクト 堀込真理子
パラボラアンテナ 11 AP十年の先にみえるもの
・・・俳人 花田 春兆
Information 12 団体・地方・行政の動き、トピックス、お知らせ
・・・小野 隆
加盟団体紹介 15 社会福祉法人日本盲人社会福祉施設協議会
・・・理事長 本間 昭雄
16 次号予告・活動日誌(8、9月)

* 巻頭言 *

変化の時代に対応する運動を

JD副代表 吉本 哲夫


 今年、「激動の21世紀」を実感させる障害者に関わる大きな出来事が起きている。

 大阪で開催された「アジア太平洋障害者の十年」最終年記念フォーラムでは、10年間の生かと残された課題を確認し、引き続く新「アジア太平洋障害者の十年」は、障害者権利条約採択にむけて各国の関係機関および団体の強力な推進活動の展開によって、世論形成と政府に行動を促すことを呼びかけた。わが国でも、「障害者基本計画」と「障害者プラン」推進の最終年にあたり、新たな十年に実感すべき課題としての新「障害者基本計画」の検討が取り組まれているが、障害者施策の不十分な現状の改善と基本的人権を保障する制度の確立が強く求められている。

 来年4月から「支援費制度」によって措置制度から契約制度へと福祉制度が根本的に変わる。必要な制度が自由に選択・契約できると宣伝されてきた支援費制度は、「選択」どころか利用できる社会資源の絶対数が不足し、障害者の求める制度利用が担保できないなど、自立と社会参加の「支援」には程遠く、利用しにくくなるのではないかという不安は拡大されるばかりである。8年前国会で決議された無年金障害者の「救済」も、精神障害者の雇用率制度適応も放置されたままである。障害者は、国民だれもが平等に享受すべき法・制度から除外され、障害者のための制度からも障害者の一部が排除されている現状は変わらない。

 年末に策定される「障害者基本計画」は、21世紀はじめの長期計画である。それだけに、国際障害者年以来の歴史的な前進をさらに発展させ、障害者権利条約の採択をめざす国際的動向に立脚して、障害者・家族の切実な要求実現、基本的人権を保障する法・制度の確立を具体的に示さなければならない。そして、「障害者総合福祉法」「障害者差別禁止法」の創設をはじめ、障害者にかかわる法・制度を全面的に見直すための「障害者施策検討委員会」を障害者の参画によって、国と地方自治体に設置することを提案したい。

 経済的な厳しさや社会保障制度の全面的な見直しの中で、制度実現を図ることは容易なことではないが、あきらめて済ますことはできない。21世紀を人権が保障される新しい時代とするためには、JD参加団体はもとより、障害者団体が共同して取り組むならば可能となると確信したい。大切なことは障害者自身が主張することである。「国連・障害者権利条約特別委員会」でも「アジア太平洋障害者の十年」最終年記念フォーラムでも、NGOの代表が「障害者にかかわる制度は障害者の参画によって成立される」と強調していたことを忘れない。


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