2002年「JDジャーナル」6月号

2002年「JDジャーナル」6月号表紙 VOL.22-3 通巻NO.264
作 家 飯田弘道(いいだひろみち)
作品名 アジサイと帽子と花
解 説  アジサイは、憂鬱な梅雨を和ませてくれます。優しい紫色のグラデーション。緑色の葉にいるカタツムリ・・・。
 雨の中に咲くアジサイは幻想的で美しく、雫が一滴一滴花びらに落ちていくのを見ると、不思議と心が落ち着きます。その時だからこそ美しく、その時だからこそ大切にしたい。四季折々のよさを引き出す魔法を、植物は知っているのかもしれません。

* Contents *

巻頭言 これからの親の会活動
・・・JD副代表/全日本手をつなぐ育成会理事長 緒方 直助
特 集 欠格条項を取り巻く光と影
T.欠格条項の見直し運動の到達点 
・・・法政大学助教授・JD政策委員 岩崎 晋也
U.社会参加はこれからだ〜欠格条項、残る課題
・・・障害者の欠格条項をなくす会事務局長 白井久実子
アジア太平洋障害者の十年 ・「東京フォーラム障害のある人の権利と法制度を考える」参加者募集中
・国連「障害者権利条約特別検討会」へ傍聴団を派遣!
・最終年記念大阪フォーラムへ参加しよう!
団体の動き 10 第29回日本脳性麻痺研究会を聞く
・・・日本整形外科学会/JD広報委員 君塚 葵
11 イベントのご案内
Information 12 団体・地方・行政の動き、トピックス、お知らせ
トピックス 15 いま輝いて生きること(中)―養護学校から女流王将へ―
・・・第21期女流王将 石橋 幸緒
16 次号予告・活動日誌(4月)

* 巻頭言 *

これからの親の会活動

JD副代表/全日本手をつなぐ育成会理事長 緒方 直助


 障害者運動は「アジア太平洋障害者の十年」がさらに10年延長され、国連障害者権利条約を検討する特別委員会の設置が昨年暮れに決定するなど、国際的には新たな展開がみられる。

 国内においても知的障害者福祉にかかわる手をつなぐ親の会の運動は、50年の歴史を経で数多くの実績を重ね、知的障害者の福祉は、その制度整備および内容充実から人権擁護を中心とした運動に大きく一歩を踏み出し、本人の意志の尊重と自己決定の時代に入った。

 しかし、バブル崩壊の影響を受けて、政治の世界では聖域なき財政改革が声高に叫ばれ、障害者の生活に密着する年金・医療の改正が検討されて、福祉・弱者の問題の取り上げ方が従来に比べて薄れてきたような感じがする。

 生活寮・グループホームの増設、小規模作業所法制化、地域生活支援システムの構築など一応の条件整備が行われ、支援者も多くなり、障害者受容の社会的風潮も促進され、障害者の生活環境は着実に好転している。しかし、環境が整備されればよいというものではない。「福祉は人なり、心なり」といわれるように「心の問題」を視野に人れて、薄れかけている印象すらある知的障害者福祉の運動に魂を入れるのが、今からの親の会運動であると思う。

 知的障害者と家族の人権を守り、ノーマライゼーションを実現し、活動範囲を地域に拡大するために、手をつなぐ親の会が地域福祉の先頭に立って、次の3つの事業を行うことを提案したい。

 その1は、民営授産作業所がその地域の就労支援センターの役割をもつこと。その2は、生活寮・グループホームを数多くつくり、地域生活支援の核になること。その3は、社会福祉法人の親の会が老人介護事業等の広範囲な地域福祉活動を展開すること。

 これらの活動をとおして、親の会が障害者の介護・日常生活の支援等に大きな成果を上げることができれば、名実ともに福祉活助の専門性が実証されることになり、民間業者が参入しても、親の会が地域福祉の先頭に立って活動することができる。

 また、これからは地域福祉推進の担い手である区市町村との新しい連携を進め、事業の拡大を図っていく必要があり、関係団体との連携に際しては「和を以って貴しとなす」をモットーに、しっかりと手をつなぎ協力の精神で進みたいと思う。


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