●info0718
障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会(障全協)は、第1回常任幹事会(7/18)において、次の声明をまとめ、関係機関・マスコミなどへ提出しました。
声明では、報道機関に対して、精神障害についての正しい知識と情報に基づいた公正な報道を行うことや、政府に対して、刑法改正などの対処療法的対応ではなく抜本的な精神障害者施策の確立を進めることなどを強く求めています。
障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会・常任幹事会
大阪府池田市で発生した児童殺傷事件は、被害に見舞われた児童、教職員の方々、そしてご家族にとって、そのご心痛ははかり知れないものがあると思います。ここに、心からのお悔やみとお見舞いを申し上げます。
この事件は、社会に大きな衝撃を与えました。また、社会復帰をめざしてがんばっている精神障害者と家族、障害者の生活と権利を守るために力を尽くしている方々にとっても、大きなショックを与えました。
事件発生以来、被疑者の障害の有無や障害と犯罪の関係が明確になっていないにもかかわらず、あたかも精神障害者であるかのような前提で報道されたことは、精神障害者への不安、偏見と誤解を増幅させるもの以外なにものでもありません。社会参加をめざし、社会復帰や治療に精一杯がんばっている当事者は、「まわりの目が怖くて不安でならない」と訴えています。報道機関に対し、精神障害に対する正確な知識と情報に基づいた公正な報道を求めます。
200万人以上といわれる精神障害者の中には、社会復帰し地域で生活している人も少なくありませんし、服薬などの治療によって安定的に生活している人もいます。また入院治療が終わった後、必要な治療を受けながら社会復帰の準備が必要な人も少なくありません。
この事件を機に、刑法改正や特別立法制定の動きもありますが、いま政府がなすべきことは、このような対処療法的な対応ではなく、精神障害者の施策推進の障壁となっている課題の早急な解決と、抜本的な精神障害者施策の確立にあります。
しかし、現状は退院すれば即居宅となり、社会復帰を準備する治療も福祉施設が不十分なために、病状が悪化し再入院する例も多くあります。不十分だと指摘されている障害者施策からも精神障害者は除外され、自立の条件を狭めていることは周知のことです。
精神障害者が地域で安心して生活できるよう、地域医療、精神科救急体制の整備と、社会復帰をめざす者が働く準備を整えられる小規模授産施設等の整備・充実を早急に具体化することを切実に求めます。
国民のみなさんには、精神障害に対する正しい理解と暖かな対応を強く訴えます。
障害者・家族の生活と権利を守り、人権保護をめざして取り組んできた私たちは、精神障害者が人間としての尊厳が尊重され、国民のひとりとして平等に生活できるよう、制度・システムの確立をもとめるものです。
2001年7月18日
障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会
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