新障害者基本計画策定に関する声明

2002年度

−意見書・要望書−


文書名

イラク戦争に反対し平和的解決を求める申し入れ

日 付

2003年3月13日

発 番

JD発第02−76号

発信者

日本障害者協議会  代表  河端静子

宛 先

外務大臣 川口 順子

 

 イラク戦争回避にむけて日本国政府に、次のように申し入れさせていただきます。

 私たちは、2001年9月に米国で起こった同時多発テロ事件とこれに続くアフガニスタンへの報復攻撃に対して、平和的解決を求める声明を発表いたしました。
 それは、1979年12月の国連総会決議において採択された「国際障害者年行動計画」に、「障害者のうち多数の者は、戦争及び他の形態の暴力の犠牲者であるという事実」から、国際障害者年(1981年)は、世界平和に結びつけることが強調され、その実現のためにこの20余年、平和と民主主義を願うアジアや世界の人たちとともに運動してきたからです。

 現在、国連を中心にイラク戦争回避への努力がなされています。わが国政府は、大国の視点からだけでなく、全世界の視野から、「平和を維持」し、全世界の人々が、「ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利」(日本国憲法前文)を守るためにこそ、全力を注がなければなりません。

 戦争で苦しむのは、いつも一般の市民です。とくに子どもや女性、お年寄り、そして障害のある人たちです。わが国においてもマスコミ調査では8割以上の人々が戦争を反対しています。私たちは、戦争を絶対に許すことはできません。なんとしても理性的な合意形成にもとづく平和的解決を強く求めるものです。  


文書名

<緊急声明>私たち日本の障害者は、イラク戦争に反対します−理性にもとづく平和的解決を−

日 付

2003年3月11日

発 番

 

発信者

日本障害者協議会

宛 先

マスコミ各社

 

 私たちは、2001年9月に米国で起こった同時多発テロ事件とこれに続くアフガニスタンへの報復攻撃に対して、平和的解決を求める声明を発表しました。

 それは、1979年12月の国連総会決議において採択された「国際障害者年行動計画」に、「障害者のうち多数の者は、戦争及び他の形態の暴力の犠牲者であるという事実」から、国際障害者年(1981年)は、世界平和に結びつけることが強調され、その実現のためにこの20余年、平和と民主主義を願うアジアや世界の人たちとともに運動してきたからです。

 現在、国連を中心にイラク戦争回避への努力がなされています。わが国政府は、大国の視点からだけでなく、全世界の視野から、「平和を維持」し、全世界の人々が、「ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利」(日本国憲法前文)を守るためにこそ、全力を注がなければなりません。

 戦争で苦しむのは、いつも一般の市民です。とくに子どもや女性、お年寄り、そして障害のある人たちです。わが国においても、マスコミ調査では8割以上の人々が戦争を反対しています。私たちは、戦争を絶対に許すことはできません。なんとしても理性的な合意形成にもとづく平和的解決を強く求めるものです。

2003年3月11日
                          日本障害者協議会

  

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文書名

緊急要望書

日 付

2003年1月10日

発 番

JD発第02−65号

発信者

日本障害者協議会  代表  河端静子

宛 先

厚生労働大臣 坂口 力

 


 貴職におかれましては日頃より障害者施策にご尽力され、心より感謝申しあげる次第です。

 本協議会は4月からのこの支援費制度導入にあたって要望を数度にわたりさせていただきました。最も重要な視点は、障害の重い人たちの地域生活基盤の充実であり、自己選択・自己決定の原理を確立することであると認識しています。さらには生活施設等におきましては、現行の生活水準を維持させ、個室化などの環境改善に努めていき、権利擁護システムを確立させていくことであります。

 ところで、障害の重い人たちの地域生活を支える目的である支援費制度の居宅生活支援サービスに、1カ月あたりの上限を設定する議論がされていると伺っており、強い危惧感を抱かざるを得ません。障害の状況により、必要であれば必要を満たすだけの介護サービスが提供されていくことが支援費制度の狙いであったはずです。

 また、市町村障害者生活支援事業や地域療育等支援事業の一般財源化問題についても、多くの自治体の現状を見わたすときに、障害の重い人たちの地域生活を退行させかねません。
これらの動きは、新障害者基本計画や新障害者プランの理念に照らしても逆行するものと言わざるを得ません。
以上の認識にたち、下記の事項について、ご高配賜りたくお願い申しあげます。

1.居宅生活支援サービスの上限設定の動き、その背景と内容等について、納得のいく十分な説明を行うこと。その上にたって、介護サービスについては、障害の重い人たちの社会参加と社会的自立の実現という観点に立ち、必要にみあう量と質を提供できるシステムとすること。

2.施設サービスの水準の低下を招くことがないように、十分な措置を講じること。

3.市町村障害者生活支援事業や地域療育等支援事業の一般財源化は撤回し、引き続き補助金事業で行うこと。

以上

 

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文書名

新障害者基本計画策定に関する声明

日 付

2002年12月25日

発 番

 

発信者

日本障害者協議会  代表  河端静子

宛 先

主要マスコミ(朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、共同通信、東京新聞、産経新聞、時事通信、福祉新聞)、内閣府政策統括官(総合企画調整担当)付障害者施策担当参事官室、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課

 


 12月24日、政府は2003年からの新障害者基本計画を閣議決定した。

 日本障害者協議会は、半年間にわたる「新しい障害者基本計画に関する懇談会」の場を通し、障害者差別禁止法や総合的な障害者福祉法の制定、民法における扶養義務の範囲の見直しなど、法制度の整備を強く訴えてきた。
しかし残念ながらこれらの重要な課題については、新障害者基本計画の中では具体的なかたちで盛り込まれず、基本的な課題を先送りとした。

 一方、「入所施設は、地域の実情を踏まえて、真に必要なものに限定する」という方針が打ち出されたことは、これまでの入所施設偏重施策からの脱却をめざすものとして画期的である。障害の如何に関わらず、誰もが地域社会の中で、地域の人々と交流しながら生活したいのはいうまでもない。しかし、不安の声も多い。現状においては、地域施策が脆弱な中、施設にさえ入所することができず、極限的な生活を送らざるをえない障害の重い人たちの数は少なくない。この現実を踏まえ、十分な財政措置を行い、グループホームや介護体制など地域社会における支援体制をきちんと確立することや、施設のあり方の抜本的な見直しが基本的な前提であり、急務である。

 本協議会は、新障害者基本計画ならびに新障害者プランについて、その進捗状況を注視していき、多くの障害者団体と連携しながら、その見直しも含めて積極的に意見を提起していく考えである。


文書名

心神喪失者等医療観察法案の衆議院可決に対する抗議声明

日 付

2002年12月11日

発 番

 

発信者

日本障害者協議会  代表  河端静子

宛 先

主要マスコミ(朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、共同通信、東京新聞、産経新聞、時事通信、福祉新聞)、自由民主党・公明党・保守党・自由党、参議院法務委員会(委員長、理事、委員)

 


   2002年12月10日、「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行なった者の医療及び観察等に関する法律(案)」の自民党塩崎泰久議員による修正案が、自民・公明・保守の与党と自由党の賛成多数によって、衆議院本会議で可決され、参議院に送られることになった。

   私たち日本障害者協議会は、この事態を、日本における障害者政策の歴史において、大きな禍根を残すものと認識し、強い憤りを覚え、抗議をする。
本協議会は、12月9日、この法案の12月6日における衆議院法務委員会での強行採決に対する抗議声明を出した。

   「再犯予測」を前提とするこの法案は、多少の字句修正を行ったとしても、その本質は変わることはない。

   本協議会は「障害者差別禁止法」の一日も早い法制化を求めている。しかし、この法案はその対極にあるものであり、徹底的な検証が求められる。反対の声をよそに、力で押し切ろうとする姿勢は絶対に許されない。

   本協議会は、この法案の参議院での可決成立の阻止に向け、全国の関係者と協力して、全力で取り組むことを誓う。

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文書名

平成15年度障害者関係予算等に関する要望について

日 付

2002年12月11日

発 番

JD発第02−59号

発信者

日本障害者協議会  代表  河端静子

宛 先

自由民主党内閣部会長・松下忠洋、障害者特別委員長・八代英太、厚生関係団体委員長・田村憲久

 


 去る12月6日、衆議院法務委員会において、「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(案)」に係る自由民主党塩崎恭久議員による修正案が、自民・公明・自由の3党によって強行採決された。

 私たち日本障害者協議会は、この事態に対して強く抗議する。
 本協議会はすでにこの原案の段階で反対の意思を表明し、廃案を求めてきた。修正案においても、その本質は「再犯予測」を前提とした中身となっており、精神障害者に対する人権侵害と差別を強化していくものに他ならない。多くの障害者団体、人権団体、そして人々がこの修正案に対し反対運動を繰り広げている。合意をめざす冷静な議論こそ求められている。

 今必要なのは、社会防衛的な法律ではなく、精神障害者が人間らしく地域社会で生活することを可能とさせる、地域福祉施策の創造であり、医療のあり方の根本的な見直しである。

 ここに私たち日本障害者協議会は、改めてこの法案の撤回を強く求める。


文書名

心神喪失者等医療観察法案の強行採決に対する抗議声明

日 付

2002年12月9日

発 番

 

発信者

日本障害者協議会  代表  河端静子

宛 先

主要マスコミ(朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、共同通信、東京新聞、産経新聞、時事通信)、自由民主党・公明党・自由党、衆議院法務委員会(委員長、理事、委員)

 


 去る12月6日、衆議院法務委員会において、「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(案)」に係る自由民主党塩崎恭久議員による修正案が、自民・公明・自由の3党によって強行採決された。

 私たち日本障害者協議会は、この事態に対して強く抗議する。
 本協議会はすでにこの原案の段階で反対の意思を表明し、廃案を求めてきた。修正案においても、その本質は「再犯予測」を前提とした中身となっており、精神障害者に対する人権侵害と差別を強化していくものに他ならない。多くの障害者団体、人権団体、そして人々がこの修正案に対し反対運動を繰り広げている。合意をめざす冷静な議論こそ求められている。

 今必要なのは、社会防衛的な法律ではなく、精神障害者が人間らしく地域社会で生活することを可能とさせる、地域福祉施策の創造であり、医療のあり方の根本的な見直しである。

 ここに私たち日本障害者協議会は、改めてこの法案の撤回を強く求める。

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文書名

新しい「障害者基本計画」の策定に関する意見−新障害者基本計画骨子案について−

日 付

2002年11月28日

発 番

 

発信者

河端静子(日本障害者協議会代表)

宛 先

内閣府政策統括官(企画調整担当)障害者施策担当

 


   内閣府におかれましては、「新しい障害者基本計画に関する懇談会」の場を通して、2003年以降の新障害者基本計画の策定にご尽力されていることに心より敬意を表する次第です。
   この「新しい障害者基本計画に関する懇談会」には、小職も参加し、さまざまな角度からご意見申しあげている次第です。
   しかし、新障害者基本計画骨子案(骨子案)を拝見する限りにおいて、本協議会が強く要望しております「障害者差別禁止法」や「総合的な障害者福祉法」の制定など、法制度の整備については具体的な言及がなされておらず、遺憾の念を禁じえません。
   障害の重い人たちが、施設や病院ではなく、地域社会の一員として暮らしていける社会基盤や環境を具体的につくりあげていくためには、上に述べたように法制度の整備を欠かすことができません。
   骨子案は、考え方においては、「共生社会」や「バリアフリー」、そして「利用者本位」などという先進的な理念が強く打ち出されていますが、それを具体化する道筋が明らかにされていません。また、施策を進めていくうえで、重要な部分である数値目標も未だに示されていません。
   以上の認識に立ち、改めて下記の通り、ご意見申しあげる次第です。 


1.障害者の権利、障害を理由にした差別禁止の法制化を図る。それらは理念的にとどまらず、実効的かつ具体的なものとする。

2.これまで、身体障害・知的障害・精神障害というように、障害の種類別に法・施策が展開されてきたが、障害の種類別ではなく、総合的な障害者福祉法の制定を具体的に検討し、障害の種別間あるいは制度間などの谷間でサービスを受けられないという状況をなくし、公平でニーズが反映されたサービスが提供されるようにする。

3.昨年5月、WHOはICIDH(国際障害分類)を改定し、ICF(国際生活機能分類)としたが、現行の障害認定基準は、日常生活動作の状況などに偏りすぎ、社会的障害や職業的不利益を的確に反映するものとはなっていない。したがってICFの考え方に基づき、障害認定基準の見直しを早急に図る。

4.障害の重い人たちに対する所得保障の確立や民法の扶養義務の全面的な見直しを進め、成人した障害者の人格を独立した存在として認めていく。

5.サービスの給付単位を世帯単位のものについては個人単位に改めていく。

6.課題ごとの数値目標を早急に明らかにし、障害者及び関係者との協議を行い、合意を得る。

7.障害者の政策立案決定過程への参加の保障という観点から、新障害者基本計画及び新障害者プランの進捗状況など障害者施策全般を総合的に検討す
ることを目的に、省庁をこえる横断的な、政府と障害関係団体の代表者で構成される専門的な協議の場、あるいは機関を設置する。また、その実効性をはかるという観点から、「懇談会」のような曖昧な性質にするのではなく、位置づけを明確にしたものとする。

8.新障害者基本計画及び新障害者プランについては、必要に応じて、その期間の途中においても見直しを図る。

【骨子案に対する個別的意見】


<A 基本的な方針>の(考え方)について
   この理念は賛成できる。ただ抽象的理念過ぎて、これらを実現していくにはすでに指摘している通り、各種法制度の整備が重要であり、そのことをここに入れておく必要がある。

<A 基本的な方針>の(横断的視点)について
○<1.社会のバリアフリー化の推進>について
   基本的に支持したい。現在、「交通バリアフリー法」や「ハートビル法」があるが、完全なバリアフリーは実現していない。この分野においても「障害者差別禁止法」の制定は必要条件である。また、バリアフリーの考え方をさらに一歩進めていき、「ユニバーサルデザイン」の理念を普及させていく必要がある。

○<2.利用者本位の支援>について
   基本的に支持したい。ただ「利用者本位」よりも、「利用者主体」であってほしい。利用者のことをまず第一に考えて行うという意味の「利用者本位」は、いうまでもなく社会政策の原点である。「利用者主体」は、どこで暮らすか、どういう活動をするのか、などという、日常生活における主体性や考え方をより尊重していくのである。

○<3.障害の特性を踏まえた施策の展開>について
   基本的に支持したい。しかし、これについても「総合的な障害者福祉法」や「障害者差別禁止法」などという法整備が欠かせない。

○<4.総合的かつ効果的な施策の推進>について
   その通りではあるが、今後の財源をどのように調達していくかという見通しも具体的に立てていく必要がある。また、ここでも「総合的な障害者福祉法」の制定を課題としていく必要がある。

<B 重点的に取り組むべき課題>について

<1.活動し参加する力の向上>
○<疾病、事故等の予防・防止と治療・リハビリテーション>について
   考え方は概ね支持できる。ただ医学の発達により胎児の段階で障害を発見できるようになり、現実問題として、「産む」「産まない」の問題が生じている。障害があってもなくても生命の価値は同じという考えに立ちながら、啓発活動をすすめていく必要性と、障害があっても安心して暮らせる政策を推し進めていく必要がある。
○<福祉用具等の研究開発とユニバーサルデザイン化の促進>について
   考え方は概ね支持できる。「障害者一人一人のニーズに合わせた福祉用具」とあるがそれも重要であると同時に、「一人の障害者の一日を通した生活場面に合わせた福祉用具」ということも求められている。例えば車いすにしても用途別のニーズがある。
○<ITの積極的活用>について
   重要な課題である。

<2.活動し参加する基盤の整備>
○<自立生活のための地域基盤の整備>について
   具体的な数値目標に基づいて早急な整備が必要である。「障害者の自立に重要な役割を担う家族に対する支援策を充実する」とあるが、その中味をきちんとしていく必要がある。目的は障害者の自立への支援の一環であるべきである。成人に達した障害者の親による扶養を固定化させてはならない。
   また、6000ヵ所を超えている無認可の小規模作業所について、補助金制度の改善を当面の課題とし、施設制度体系の見直しとも関連させながら、制度的な対応について本格的な検討に着手すべきである。
○<経済的自立基盤の強化>について
   とくに所得保障の具体化が求められる。

<3.精神障害者施策の強化>
○精神障害者施策は、福祉・医療あらゆる面で他の領域に比べて格差が厳然として存在し、厳しい状況に置かれている。「総合的な障害者福祉法」を制定し、精神障害者に対する地域生活支援サービスを強化していく必要がある。「社会的入院」の解消をめざした数値目標に基づく計画的な施策の実行が求められている。また福祉ホームB型については、医療法人ではなく、当事者や家族会などが運営することが望ましく、それを可能とさせるような制度・施策を確立し、支援していく必要がある。

<C 分野別施策の基本的方向>について

○<1.啓発広報>について
   基本的に賛成であり、具体的な施策の実行を求めたい。

○<2.生活支援>について
1)基本的に賛成であるが、<(2)施策の基本的方向>の< ○利用者本位の生活支援体制の整備>の<a.身近な相談支援体制の構築>において、障害をもつ当事者による相談体制の役割をきちんと位置づけてほしい。
2)<(2)施策の基本的方向>の<b.権利擁護の推進>であるが、ここで述べられているふたつの制度の促進のほか、施設や居宅生活支援等における虐待や人権侵害等を監視することを目的とした権利擁護機関の設置が必要である。
3)<(2)施策の基本的方向>の<c.障害者団体や本人活動の支援>は重要な課題である。具体的な中味が必要である。
4)<○在宅サービス等の充実>の中味と数値目標が問題である。社会資源の整備や人材育成に力をいれ、数値目標を策定すべきである。たとえば5年後には今の5倍の社会資源やヘルパーなどの人材が育成されている、等。また、「ダイレクトペイメント方式(介護手当直接本人支給方式)」の導入を検討し、多様な自立生活のあり方を模索していくべきである。所得保障等の必要性が指摘されているが、具体案が示されていない。無年金者問題の解決と、障害基礎年金の大幅な改善(生活保護生活扶助基本生計費1類+2類プラス障害者加算相当)は重要で具体的な課題である。
5)<○福祉用具の研究開発・普及促進と利用支援>はきわめて重要。当事者の視点に立った研究開発などが期待され、地域の中に支援機器(福祉用具)センターをつくっていくことを目標とし、障害者が必要な自分にあった支援機器(福祉用具)を使えるようにし、自立生活に役立てていくことが重要な課題である。
6)<○専門職種の養成・確保>はとても急がれる課題である。「脱施設」や地域社会での自立生活の条件整備を考えていくときに、これらの職種の人たちの大幅な増員、地域社会での配置が求められる。さらに、この中には一定の割合で障害をもつ当事者の人たちが専門職種につくことが求められる。また、これらの職種の養成の課程においては障害をもつ当事者を講師とするプログラムが必要とされる。
7)<○施設サービスの再構築>は、大いに支持したい。地域への移行促進は重要な課題であり、具体的に進めていってほしい。障害関連の法定施設ならびに事業に関しては、障害別・機能別等によって40種類以上に分立している。現行プラン策定時に統合化・再編の方向が示されていたが、実際には着手されていない。早急に制度体系の抜本的な見直しを図るべきである。

○<3.生活環境>について
1)<(2)施策の基本的方向>の<○住宅、建築物のバリアフリー化の推進>を具体化してほしい。自立生活を営もうとする多くの重度障害者には単身者が多いことから、障害者向け公共賃貸住宅の供給にあたっては、単身者用を念頭に置き、かつ単なるバリアフリーではなく、様々な障害が考慮された住宅が需要に見あった供給がなされるように、数値目標を設定することが求められる。
また、建築物においては、小規模店舗のバリアフリー化の一層の推進が求められており、更なる制度の見直しを検討することが必要とされている。神社・仏閣などの宗教施設、および伝統的文化的な建築物で保存を必要とするものについても、障害者が利用できるように最大限の配慮が求められることをふまえて、外観との調和をはかりつつ個別的に検討をすすめる必要がある。
2)<○公共交通機関、歩行空間等のバリアフリー化の推進>については、5年後を念頭に完全バリアフリーの目標を立てる必要がある。特に交通関係では、航空機や空港のバリアフリーに力を入れていく必要がある。また、「障害者等すべての人が快適に利用できるよう、公園、水辺空間等におけるバリアフリー化を推進する」とあるが、重要であり具体的な施策の実行を求めたい。
3)<○防災・防犯対策の推進>についても重要な課題であり、一層の施策の充実が求められる。

○<4.教育・育成>について
   障害を持った子どもの教育のあり方の選択肢として、インクルーシブ(環境面に配慮し、個別的な支援を兼ね備えた障害を持たない子どもとの統合的な)教育をきちんと位置づけていくべきである。
1)<(2)施策の基本的方向>の<○社会的および職業的自立の促進>では、後期中等教育における就学を支援することがうたわれているが、高等教育において手話・ノートテイク・点字・介助など具体的な支援策が求められており、重度障害者の高等教育の機会を多くの市民と同程度にさらに拡大させていく必要がある。
2)<○施設のバリアフリー化の推進>は、義務として位置づけ、障害のある子どもが普通学校での教育を受けられるようになるための環境整備をしていく必要があり、数値目標の設定が求められる。

○<5.雇用・就労>について
   これらの課題を具体化させる数値目標の設定が必要である。精神障害者を雇用義務制度の対象にすることについては早急に具体化を図っていく必要がある。
   また、授産施設などで長期にわたり「就労」している障害者の労働権のあり方や社会雇用のあり方を抜本的に検討していく必要がある。

○<6.保健・医療>について
1)<(1)基本方針>も重要な課題であり、<(2)施策の基本的方向>の<○障害の原因となる疾病等の予防・治療>も重要である。しかし、これらはデリケートな問題も含み慎重を期する必要もある。障害問題は多面的なアプローチによって解決されるものであり、「障害(疾病)それ自体が不幸である」という一面的な価値観を人々に植え付けさせないような注意を払いながら行われる必要がある。
2)<○障害に対する適切な医療の充実>のところで、重度化や二次障害問題が触れられているが、当事者からすればこれらは痛みが伴う深刻な問題である。この問題については解決がはかられるよう研究の具体化が望まれている。
3)この分野においてもインフォームドコンセントが徹底されるよう関係者に対する意識の啓発を行っていく必要がある。

○「7.情報・コミュニケーション」について
1)重度障害者のIT利用を促進するような具体的な施策が求められている。
2)参政権については、実態を把握し、電子投票だけでなく、広報などの情報や投票場等の建築物のバリアフリー化を促進することが重要である。
3)<○コミュニケーション支援体制の充実>では、「手話通訳者等の養成・派遣を推進」とあるが、要約筆記者についても同様の考えで施策の推進を図っていく必要がある。

○<8.国際協力>について
   経済大国日本の果たすべき役割は実に大きい。「国連や各種の国際的な非政府機関における障害者問題についての行動計画やガイドラインの作成等の取組等に、関連する既存条約等との関係にも留意しつつ、積極的に参加する」とされているが、世界の障害者の生活状況や、それに基づく障害者の切なる要望を鑑みれば、「障害者権利条約」の策定に向かって日本政府はリーダーシップを発揮すべきである。

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文書名

新障害者基本計画策定に対する意見書

日 付

2002年10月29日

発 番

JD発第02−50号

発信者

日本障害者協議会  代表  河端静子

宛 先

新しい障害者基本計画に関する懇談会   座長   京極高宣

 


   「新しい障害者基本計画に関する懇談会」(懇談会)の議論も5回を終了し、問題点や課題の共通認識も深まってまいりました。
 去る10月2日、懇談会事務局が「新障害者基本計画骨子(案)」を提示されました。いくつかの点で新たな方向が示されていますが、全体としては懇談会席上で出された意見の扱いは不十分であり、不本意な感を覚えるものです。
 このままの形で、わが国におけるむこう10年間の障害者施策を規定する新障害者基本計画(新基本計画)、それに基づく新障害者プラン(新プラン)が策定されてしまうことに危惧感を強く抱くものです。障害者団体及び関係団体の参加に基づく実質的な政策立案こそ今日的課題であります。
 以上の認識に基づき、大詰めの段階ではありますが、本協議会として下記の諸点について強く要望いたします。
後世に誇れるような新基本計画及び新プランとしていくために、特段の配慮をお願い申しあげます。


○基本的事項

1.国連ESCAPによる「びわこミレニアム・フレームワーク」の精神や障害者権利条約の採択にむけての動向を踏まえ、新基本計画及び新プランの策定にあたっては、引き続き障害者団体及び関係団体の意見を十分に反映させた内容のものとすること。

2.新プランについては、その水準が注目されるところである。とくに、安定かつ質の高い地域生活が可能な目標値の設定が求められ、これら目標値の内容や具体的な方策についても懇談会や障害者団体及び関係団体との協議の対象としていただきたいこと。

3.長引く不況の影響は、障害のある人とその家族に重くのしかかっている。中長期視点で論じている懇談会ではあるが、当面の対応策として、新基本計画及び新プランの初期段階で特別策を講じていただきたいこと。

○具体的事項

   本協議会としての重要事項については、これまで提出した意見書で示した通りであるが、懇談会事務局より発表のあった「新障害者基本計画骨子(案)」にはほとんど反映されておらず、ここに改めて再掲するものである。
   少なくとも計画期間中(2003年度〜2012年度)の検討への着手を含め、なんらかの形で新基本計画及び新プランに反映されるよう、重ねて要望するものである。

1.障害者の権利、障害を理由にした差別禁止の法制化を図る。それらは理念的にとどまらず、実効的かつ具体的なものとすること。

2.これまで、身体障害・知的障害・精神障害というように、障害の種類別に法・施策が展開されてきたが、障害の種類別ではなく、総合的な「障害者福祉法」(仮称)の制定を具体的に検討し、公平でニーズが反映されたサービスが提供されるようにすること。

3.昨年5月、WHOはICIDH(国際障害分類)を改定し、ICF(国際生活機能分類)としたが、現行の障害認定基準は、日常生活動作の状況などに偏りすぎ、社会的障害や職業的不利益を的確に反映するものとはなっていない。したがってICFの考え方に基づき、障害認定基準の見直しを早急に図ること。

4.地域での自立生活を実質化するために、所得保障制度の確立ならびに成人した障害のある人の独立を尊重する視点からの扶養義務制度の見直しを図ること。また、知的障害者の入所施設偏重政策や精神障害者の社会的入院問題についても、明確な打開策を示すこと。

 


文書名

新障害者基本計画「分野別施策の基本的方向骨子(素案)」に対する意見

日 付

2002年9月24日

発 番

 

発信者

日本障害者協議会  代表  河端静子

宛 先

内閣府/新しい障害者基本計画に関する懇談会(第5回)資料

 


   本協議会では、7月3日に開催された第2回懇談会において、すでに意見書(新たな「障害者基本計画」と「障害者プラン」の策定にむけて)を提出しているところでありますが、先般開催された第4回懇談会にて、新障害者基本計画における「分野別施策の基本的方向骨子(素案)」(以下「素案」とする)が提示されましたので、あらためてここに意見書を提出させていただく次第です。
   この素案に対する個別的な意見を示させていただく前に、本協議会として、この中に盛り込まれなかったいくつかの重要な課題を提起いたしたく考えます。
   つきましては新障害者基本計画の策定にあたって、ご検討のうえ、反映していただきたく、何卒よろしくお願い申しあげます。


1.障害者の権利、障害を理由にした差別禁止の法制化を図る。それらは理念的にとどまらず、実効的かつ具体的なものとする。

2.これまで、身体障害・知的障害・精神障害というように、障害の種類別に法・施策が展開されてきたが、障害の種類別ではなく、総合的な障害者福祉法の制定を具体的に検討し、公平でニーズが反映されたサービスが提供されるようにする。

3.昨年5月、WHOはICIDH(国際障害分類)を改定し、ICF(国際生活機能分類)としたが、現行の障害認定基準は、日常生活動作の状況などに偏りすぎ、社会的障害や職業的不利益を的確に反映するものとはなっていない。したがってICFの考え方に基づき、障害認定基準の見直しを早急にはかる。

4.民法の扶養義務の全面的な見直しを進め、成人した障害者の人格を独立した存在として認めていく。

5.サービスの給付単位を世帯単位のものについては個人単位に改めていく。

【素案に対する個別的意見】

・【啓発・広報】については基本的に賛成であり、具体的な施策の実行を期待したい。

・【生活支援】について、基本的に賛成であるが、<U 施策の基本的方向 1.利用者本位の生活支援体制の整備 (1)身近な相談支援体制の構築>において、障害をもつ当事者による相談体制の役割をきちんと位置づけてほしい。
・<(2)権利擁護の推進>であるが、ここで述べられているふたつの制度の促進のほか、施設や居宅生活支援等における虐待や人権侵害等を監視することを目的とした権利擁護機関の設置が必要である。
・<(3)障害者団体や本人活動の支援>は重要な課題である。具体的な中味を明らかにしてほしい。
・<2.在宅サービス等の充実>の中味と数値目標が問題である。社会資源の整備や人材育成に力をいれ、数値目標を策定すべきである。たとえば5年後には今の5倍の社会資源やヘルパーなどの人材が育成されている、等。また、「ダイレクトペイメント方式(介護手当直接本人支給方式)」の導入を検討し、多様な自立生活のあり方を模索して行くべきである。
・所得保障の充実に取り組むとあるが、無年金者問題の解決と、障害基礎年金の大幅な改善(生活保護生活扶助基本生計費1類+2類プラス障害者加算相当)が必要である。
・<3.施設サービスの再構築>であるが、既存の生活施設にもっと医療ケアなど濃密な支援の必要な重度の障害のある人を受け入れるような体制整備も課題である。一方、施設を地域に分散化するという視点のモデル事業も奨励していくべきである。
・<5.福祉用具の研究開発・普及促進と利用支援>はきわめて重要。当事者の視点に立った研究開発などが期待され、地域の中に支援機器(福祉用具)センターを作っていくことを目標とし、障害者が必要な自分にあった支援機器(福祉用具)を使えるようにし、自立生活に役立てていくことが重要な課題である。
・<7.専門職種の養成・確保>はとても急がれる課題である。「脱施設」や地域社会での自立生活の条件整備を考えていくときに、これら職種の人たちの大幅な増員、地域社会での配置が求められる。さらに、この中には一定の割合で障害を持つ当事者の人たちが専門職種につくことが求められる。また、これら職種の養成の課程においては障害を持つ当事者を講師とするプログラムが必要とされる。

・【生活環境】の<U 施策の基本的方向 1.住宅、建築物のバリアフリー化の推進>を具体化してほしい。自立生活を営もうとする多くの重度障害者は単身者が多いことから、障害者向け公共賃貸住宅の供給にあたっては、単身者用を念頭に置き、かつ単なるバリアフリーではなく、障害者仕様で設計されたものを需要に見合うだけの数値目標を設定することが求められる。
・また、建築物においては、小規模店舗でのバリアフリー化の一層の推進が求められており、更なる制度の見直しを検討することが必要とされている。神社・仏閣などの宗教施設、および伝統的文化的な建築物で保存を必要とするものについても、障害者が利用できるように最大限の配慮が求められることをふまえて、外観との調和をはかりつつ個別的に検討をすすめる必要がある。
・<2.公共交通機関、歩行空間等のバリアフリー化の推進>については、5年後を念頭に完全バリアフリーの目標を立てる必要がある。特に交通関係では、航空機や空港のバリアフリーに力を入れていく必要がある。歩行空間等においては、国立公園の遊歩道のバリアフリー化も重要な課題である。
・<3.防災・防犯対策の推進>についても重要な課題であり、一層の施策の充実が求められる。

・【教育・育成】では、障害を持ったこどもの教育のありかたの選択肢として、インクルーシヴ(環境面に配慮し、個別的な支援を兼ね備えた障害を持たないこどもとの統合的な)教育をきちんと位置づけていくべきである。
・<U 施策の基本的方向 4.社会的および職業的自立の促進>では、後期中等教育における就学を支援することがうたわれているが、高等教育において手話や点字・介助など具体的な支援策が求められており、重度障害者の高等教育の門戸をさらに拡大させていく必要がある。
・<5.施設のバリアフリー化の推進>は、義務として位置づけ、障害のあるこどもが普通学校での教育を受けられるようになるための環境整備をしていく必要があり、数値目標の設定が求められる。

・【雇用・就労】についてはこれらの課題を具体化させる数値目標の設定が必要である。精神障害者を雇用義務制度の対象にすることについては早急に具体化をはかっていく必要がある。
・授産施設などで長期にわたり「就労」している障害者の労働権のあり方や社会雇用のあり方を抜本的に検討していく必要がある。

・【保健・医療】の<T 基本方針>も重要な課題であり、<U 施策の基本的方向 1.障害の原因となる疾病等の予防・治療>も重要である。しかし、これらはデリケートな問題も含み慎重を期する必要もある。障害問題は多面的なアプローチによって解決されるものであり、「障害(疾病)それ自体が不幸である」という一面的な価値観を人々に植え付けさせないような注意を払いながら行なわれる必要がある。
・<2.障害に対する適切な医療の充実>のところで、重度化や二次障害問題が触れられているが、当事者からすればこれらは痛みが伴う深刻な問題である。この問題については解決がはかられるよう研究の具体化が望まれている。
・この分野においてもインフォームドコンセントが徹底されるよう関係者に対する意識の啓発を行なっていく必要がある。

・【情報・コミュニケーション】においては重度障害者のIT利用を促進するような具体的な施策が求められている。
・参政権については、実態を把握し、電子投票だけでなく、広報などの情報や投票場等の建築物のバリアフリー化を促進することが重要である。
・<4.コミュニケーション支援体制の充実>では、「手話通訳者等の養成・派遣を推進」とあるが、要約筆記者についても同様の考えで施策の推進をはかっていく必要がある。

・【国際協力】においては経済大国日本の果たすべき役割は実に大きい。障害者同士の国際交流が一層進展するよう、政府として協力していく必要がある。
・障害者権利条約については、日本政府としてその制定が実現されるよう国連などに対し強く働きかけるなど努力をする必要がある。

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文書名

精神障害者の地域社会での自立生活を可能とする施策を求める要望書

日 付

2002年8月20日

発 番

JD発第02−38号

発信者

日本障害者協議会  代表  河端静子

宛 先

自由民主党 社会部会  精神保健問題検討小委員会(委員長、委員)

 


   日頃より、わが国の障害者施策の発展と充実にご尽力を賜り、厚くお礼申しあげます。
   さて、本協議会は、障害者の「完全参加と平等」の実現にむけて、総合的な障害者福祉法の制定をはじめとする障害者施策の改革について、長年にわたり主張し続けています。
   現在、内閣府では、新しい障害者基本計画及び障害者プランの策定にむけた検討が進められておりますが、本協議会では、新しい障害者基本計画及び障害者プランの策定にあたっては、精神障害者が地域社会で暮しやすくなるような施策に力点が置かれるべきだと考えています。
   わが国は、先進工業国の中でも精神障害者の入院患者数が33万人と多く、そのうち1/3の人々は入院の必要がないいわゆる「社会的入院」とされています。ノーマライゼーションの理念に基づいて、社会の偏見をなくし、精神障害者が地域社会の中で、人間としての尊厳を持って生きられる制度的基盤の確立が急がれています。また、それにむけた具体的な数値目標が設定される必要があります。それは言うまでもなく、住居、所得保障、相談、介護サービス、就労の場、そして地域の中で気兼ねなく通院できる医療機関等の諸施策の整備です。
   しかし、現在もなお、精神障害者に対する差別と偏見は根強く、地域社会ではとても生きにくい環境となっています。また、身体障害者等にむけた施策に比べても大きな遅れをとっています。
   以上の認識にたち、新しい障害者基本計画及び障害者プランの策定にあたっては、精神障害者施策の改善を図るため、下記の事項を重点施策として位置づけていただきたく、何卒よろしくお願い申しあげます。


1.精神障害者の地域社会での自立生活を可能とするため、市町村等に相談やケア(介護等)にあたる専門職を十分に配置するとともに、その人材育成に努めてください。

2.精神障害者の地域生活において、当事者や家族会等が中心となって運営する小規模作業所やピアサポートセンター等が大きな役割を果たしており、これら日中活動の場に十分な助成を行ってください。

3.地域生活の一つの形態であるグループホーム及び精神障害者福祉ホームの増設に努めてください。とくに、医療施設化しつつある精神障害者福祉ホームについては、本来の目的に沿って、地域社会の中に設置してください。


文書名

銃砲刀剣類所持等取締法施行令の一部を改正する政令試案について

日 付

2002年8月1日

発 番

 

発信者

日本障害者協議会  代表  河端静子

宛 先

警察庁生活安全局銃器対策課

 


   日本障害者協議会は、障害をもつ人の当事者団体および関係者団体により構成される全国団体です。(現在70団体加盟、http://www.jdnet.gr.jpをご参照ください)。

   当会は、以前より政府および関係省庁に対して、障害にかかわる欠格条項の抜本的見直しを求めており、銃砲刀剣類所持等取締法の改正に際しても、パブリックコメントを提出いたしましたが,不十分な改正にとどまり大変遺憾に思っております。

   さて、今回の銃砲刀剣類所持等取締法施行令の一部の改正につきましては、本来、銃刀法の改正において、銃砲刀剣類の安全な管理能力に着目すべきところ、「病名」を欠格事由としており、その下位法で改めてこの問題を論議することはできないと考え、あえて現状を少しでも改善するという観点から意見を述べます。

   「病名」をもって一律に欠格とすることの不合理性は、度々申し上げたところでありまが、施行令の欠格事由で病名を出して制限するのであれば、これらの疾患にかかり「銃砲刀剣類の安全な管理能力にかける者」としていただき、その判断は医師の診断書で行なうようご検討願います。

   当会としては、もとより「病名」を出すこと自体が、国民の誤解と偏見を拡大し、「精神保健福祉法」の理念とも矛盾すると考えております。

   この間、数回の警察庁担当官の方との意見交換において、当会の考え方に一定ご理解いただき、今回の「病名」をもって一律に欠格とするのは、現状において変わる明確な基準がない以上致し方ないが、ベストとは考えていないという趣旨のご発言をいただきました。当会としては、この発言が単なるその場のものではなく、ご担当官として真摯にこの問題に取り組まれた証と受け止めております。よって、今回の銃刀法および施行令の改正で見直しを終了するのではなく、精神障害にかかわる関係機関と継続協議を行い、一定期間を経て見直す旨の規定を入れていただきますよう、切にお願い申し上げます。

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文書名

新障害者基本計画・プラン(雇用・就労分野)に関する要望事項

日 付

2002年7月24日

発 番

 

発信者

日本障害者協議会

宛 先

厚生労働省障害者雇用対策課

 


1.雇用・就労施策に関する「数値目標」の設定について
   現行の障害者プランでは、「障害者の社会的な自立に向けた基盤づくり」として、「障害の特性に応じたきめ細かい教育体制を確保するとともに、教育・福祉・雇用等各分野との連携により障害者がその適性と能力に応じて、可能な限り雇用の場に就き、職業を通じて社会参加することができるような施策を展開する。」という考え方に基づき、
 ○各段階毎の適切な教育の充実
 ○法定雇用率達成のための各種雇用対策の推進
 ○第3セクターによる重度障害者雇用企業等の設置の促進 等
が具体的施策目標として掲げられている。そして、「当面緊急に整備すべき目標」として
◎第3セクターによる重度障害者雇用企業等の全都道府県域への設置を促進すること
があげられていた。
   しかしながら、障害者雇用率の状況や重度障害者の就労状況を見ると、雇用・就労分野においても具体的な数値目標がないと、雇用就労施策は進展しないことは障害者プラン最終年度を迎えるにあたり明らかである。そのため、新障害者基本計画・プランでは、以下の事項について具体的な数値目標を設定する必要がある。

(1)障害者雇用率について
   法定雇用率については、近年横這い状態が続き、これまで一度も達成されてはいない。しかも達成されない状況が長期化し、法定雇用率自体が形骸化してしまっている。そのため、新障害者基本計画・プランでは、達成に向けて段階的な数値目標を設定し、積極的な取り組みを行うことが必要である。

(2)除外率について
   雇用率算定にあたっての除外率は、障害者の雇用の場への参加を結果的に制限するものである。廃止に向けて段階的に縮小されることになったが、こちらについても、さらに縮小・廃止に向けての数値目標を設定し、速やかに見直しを進める必要がある。


2.障害者の雇用の促進等に関する法律への精神障害者の完全適用等について

(1)障害者の雇用の促進等に関する法律において、精神障害者は、雇用義務の対象になっていないだけでなく、現に雇用されていても「雇用納付金」の減額 対象として捉えられていない。
   精神障害者を雇用義務の対象にしないことは、障害者施策の基本理念を定めた障害者基本法の考え方にも合致しないほか、国際基準であるILO第159号条約にも反するものである。
   精神障害者の雇用義務化にあたっては、精神障害者であることの確認が必要なことや、適切な雇用管理手法の確立・普及が前提条件であると言われる。しかしながら、具体的な雇用目標が設定されてこそ、それらのノウハウも蓄積されるものと考える。精神障害者への雇用率適用に向けたいっそうの取り組みが必要ではないか。

(2)現行の雇用率算定にあたってのダブルカウントは、重度障害者の雇用の促進に一定の効果をあげているが、実雇用率によって雇用の実態が見えにくい状況がある。さらに、職業的な観点からの「重度」を前提としてはいないことも考えると、実態をより適切に反映するような雇用率の提示方法を検討する必要がある。ダブルカウントや重度障害者である短時間労働者を算入しない「雇用率」を先ず提示し、現行の「実雇用率」を参考に示すような方法が求められる。


3.雇用と福祉の統合化の効果を具体化する施策の展開について

(1)厚生省と労働省の統合の効果が最も期待される分野のひとつが障害者の雇用・就労である。就業支援と生活支援を総合的に行う取り組みが図られているが、根本的に障害者の雇用・就労施策を検討するためには、壁を取り払ったいっそう包括的な取り組みが必要である。いわゆる福祉的就労の問題についても、労働行政からのアプローチが積極的に取られるべきである。
   また、就業・生活支援センター等についても、具体的な数値目標をもってその設置を推進していくべきである。

(2)重度障害者の雇用・就労対策の充実について
   職業的に重度な障害を持つ人々が、充分に一般雇用の可能性を検討することなく、いわゆる「福祉的就労」の場にはじめから位置づけられてきたことは問題である。障害のある人の機能的、能力的側面だけで雇用の可能性を決定するのではなく、環境的な側面への働きかけ、改善を前提とした職業リハビリテーションサービスの充実が望まれる。また、現在は福祉的就労の場にある障害者の中にも、一般雇用の可能性が高い者も少なくないと考えられる。
   現行の障害者職業能力開発体系を見直し、より職業的に重度の障害のある人が一般雇用へと移行できるような仕組みを構築すべきである。


文書名

支援費制度について

日 付

2002年7月4日

発 番

JD発第02−25号

発信者

日本障害者協議会  代表  河端静子

宛 先

自由民主党政務調査会  障害者特別委員長  八代英太、内閣部会長  鴨下一郎、組織本部厚生関係団体委員長  木村隆秀

 


   日頃より、障害者施策の発展と充実にご尽力を賜り、厚くお礼申しあげます。
   さて、来年度より施行される「支援費制度」につきまして、下記の諸点について特段のご配慮を賜りたく、お願い申しあげる次第です。


1.利用者負担について
   利用者負担につきましては、利用者本人と負担能力に応じて扶養義務者からの負担を求めるものとなっています。
   障害者の個人としての社会的自立という観点から、現行の施設サービスの費用負担制度と同様に、居宅生活支援・施設サービスについても、扶養義務者の範囲から親や兄弟を外してください。

2.居宅生活支援における支給量について
   介護を必要とする障害の重い人たちの社会参加・社会的自立を支えるものとなるような支援量の基準を設定してください。
また、自治体が実施している「全身性障害者介護人派遣事業」などは、自立生活に重要な役割を果たしており、その制度を維持したうえで制度の普及に努めてください。

3.障害程度区分について
   先般開催された支援費制度担当課長会議におきまして、「障害程度区分の考え方」が明示されました。しかし、実際に支給される支援費の数値については示されておらず、今後の行方が心配です。現行の措置費基準を下回ることが決してないように取り計らってください。
 また、制度開始に伴う事務処理上の混乱を招くことがないような、対策を講じてください。

4.社会資源の充実について
   介護を必要とする障害者にとって、サービスの自己選択を可能とさせるために、新しい障害者プランの中で、多様な社会資源整備と、その数値目標の設定に努めてください。

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文書名

新たな「障害者基本計画」と「障害者プラン」の策定にむけて

日 付

2002年7月3日

発 番

 

発信者

日本障害者協議会  代表  河端静子

宛 先

新しい障害者基本計画に関する懇談会(第2回)

 


【概要】

   本協議会では、新しい障害者基本計画・障害者プランは、20年後を見据えたものにしていかなければならないと考えています。
   今求められているのは、格差の解消と言えます。障害の違いや地域毎のサービスの格差は厳然として大きく存在しています。差別禁止の法制化も重要な課題ですが、それ以前に、このような格差を解消していく方策が必要であり、次期計画の中に盛り込んでいくことが重要です。具体的には総合的な「障害者福祉法」の制定であり、市町村障害者計画を全市町村に策定することが求められます。身体障害者手帳などの手帳が無ければサービスが受けられない問題は改善していく必要があります。手帳の交付を受けることができない障害のある人は大勢います。そういった谷間にある人へのサービス体制を整備していくことが強く求められています。
   本協議会としては、以上述べたような「格差の解消」を次期計画の重要な柱に据えながら、別紙<新たな「障害者基本計画」と「障害者プラン」の策定にむけて>のとおり、基本的な方針を明らかにし、新しい障害者基本計画や障害者プランに反映させていただきたいと考えています。重複するかもしれませんが、ポイント(項目)は次のとおりです。

1.差別禁止の法制化(権利法)
2.民法における扶養義務の範囲の見直しと個人単位を基本とする法制度の整備
3.全ての市町村における障害者計画策定の実現
4.就労困難な障害の重い人たちへの所得保障の確立
5.雇用就労の場の創出
6.地域での自立生活を可能とする基盤整備
7.精神障害者が地域社会で暮らせる福祉と医療の充実、人権の尊重
8.医療と福祉の谷間におかれた人たちの問題
9.障害児者に対する特別教育支援の整備とその質的向上
10.情報・コミュニケーションの保障
11.バリアフリーの推進
12.障害者のリハビリテーションの充実、補助機器・支援機器の新たな開発研究及び補装具の補助金体制の合理化
13.国際協力

   なお、今後の議論の過程の中で、数値目標のあり方など具体的な事柄についても問題提起したいと考えています。

   先程も述べましたように、総合的な「障害者福祉法」の制定や地域間格差の是正などは最重要課題として捉えていますが、その他本協議会として長年訴えてまいりました雇用や就労困難な人たちの所得保障制度の確立や、各種サービスを世帯単位から個人単位へと切り替えていくことの課題は、それに勝るとも劣らない重要な課題と認識しています。
   21世紀における日本の障害者福祉のあり方を模索するとき、個人の尊重、あるいは個人に対する生活保障の観点は大変重要であり、障害のある人誰もがハンディを感じることなく、日本のどこで暮らしていても平等に生活できる社会を実現するための計画にしていただきたいと考えます。


【本文】

   日本障害者協議会として、新しい「障害者基本計画」及び「障害者プラン」の検討にあたり、以下のとおり意見を申し述べます。
 本協議会としましては、21世紀にふさわしい「完全参加と平等」、ノーマライゼーションの理念を具体化・現実化させるための、20年後を見据えた計画を立てていく必要があると認識しています。
 本協議会では、1998年8月に「障害者に関する総合計画提言」をまとめ、これを基本政策としています。4年経った現在、その中で指摘している事項について、まだ実現に至っていない課題が多く残されています。一方、4年という歳月は、時代の流れが急速になっている昨今、そう最近の事とはいえません。社会福祉基礎構造改革や、国レベルにおける経済・財政の「構造改革」の只中にあり、本協議会の施策も社会経済の動きに呼応し、さらに変わりいく人たちの価値観を敏感に察知した内容としていく必要があると考えています。

総 論
 これからの10年で最も力を入れなければならないのは、差別禁止の法制化、あるいは障害者の権利の法制化と考えます。これはとりもなおさず「完全参加と平等」ノーマライゼーションの理念の具体化実効化なのです。そのような観点にたったとき、障害者施策のあり方を根本から問い直す必要性が認識されます。それは、"脱施設化"の目標を明確にさせ、数値的な目標を策定することです。その意味は、施設や病院での生活を余儀なくされている人たちの、地域生活を可能とさせるような、社会基盤や社会サービスの確立とその充実であり、それにむけた種々のサービスの数値目標の設定です。
 さらに個の確立にむけた法整備も重要です。具体的には民法の扶養義務の範囲の見直しをはじめ、諸制度を世帯単位から個人単位へと改革していくことなどがあげられます。
 少子高齢化社会が到来するなかで、障害者のみならず、誰もが安心して暮らせるセーフティーネットの確立と活力ある福祉社会の創造が今求められています。それは一人ひとりが主権者として発言し、様々な施策に関与する参加型福祉社会の実現でもあります。「社会福祉サービスは政府から自然に与えられるもの」という認識から人たちがどう脱皮していけるかについても重要なポイントです。年金や医療保険の財政問題も深刻化しており、障害者分野をはじめとする社会福祉サービスの財源のあり方についても積極的な議論が期待されます。その中には付加価値税(消費税)の税率の見直しも含まれるであろうし、サービスに対する負担のあり方の議論も避けて通れないと考えます。負担が増すことによって文化的な生活の維持が困難になるような事態は避けなければなりませんが、一方負担することによって利用者の発言権が担保されるという視点も重要です。
 さらに、社会福祉サービスにおける国・自治体、企業、そしてNPOなど市民団体の役割と責任を明確化させ、連携を緊密化させる必要があります。21世紀の新しい福祉社会は全ての構成員が参加する中で、障害者が(障害がなくても)「失敗をおそれず、挑戦できる社会」であると考えます。

各 論
1.差別禁止の法制化(権利法)
   障害を理由とする差別の禁止の法制化は急務です。労働、教育、住居、交通などあらゆる場面で、障害を理由とする差別が常態化しています。各国の立法に学びながら包括的な差別禁止の法制化、あるいは権利法の制定が必要です。

2.扶養義務の見直しと個人単位を基本とする法制度の整備
 障害のある人たちの独立と自由を妨げている原因の大きな理由として、日本の家族主義と、それに基づく各種の制度の存在があります。とくに民法の扶養義務規定はその象徴的存在ともいえ、障害のある人たちの独立への最大の障壁ともなっています。先進欧米諸国の多くがそうであるように、子に対する親の扶養責任は、原則として子が成人に達するまでとし、それ以降については社会が共同の責任を負うという考え方に変えていく必要があります。具体的には、民法の改正、各福祉法はもとより、税法など関係する法律を、世帯単位から個人単位へと変えていくことが重要であると考えます。

3.市町村障害者計画の策定
   障害のある人に対する各種の支援サービスならびに現実の障害者の暮らしの在り様を見たとき、地域間格差は目に余るものがあります。介護サービス、医療、交通アクセス、そして住宅のあり方など、市町村によってその施策が大きく異なっています。
   障害者自身の策定過程への参画のもと、全市町村に障害者計画が策定され、地域に根ざした障害者施策が取り組まれていくことは重要な課題です。

4.所得保障の確立
 差別禁止法の制定や、障害者雇用施策や職業リハビリテーション施策の充実を通し、障害の種別や程度に関係なく、できるだけ多くの障害者の就労が実現されることが望ましいことはいうまでもありません。しかし、現状においては障害者にとって雇用環境は厳しく、働いて所得を得ることができない障害者が十分生活できる年金制度の確立が急がれています。家族に依存することなく、十分に生活できるだけの障害を原因とする年金制度の確立です。年金の改訂時期が2年後に迫っており、障害基礎年金の1級の水準を、生活保護の基本生計費(1類+2類)プラス障害者加算をあわせた額相当に引き上げていく必要があります。
 また日本の国籍を有していないことや、学生時や主婦時に障害を持ったことによる無年金者の解消は、次期年金改訂で絶対に解決させる必要があります。

5.雇用
 日本においては障害者雇用促進法において、障害者雇用施策がすすめられています。最大の問題は、雇用率から精神障害者が除外されていることです。一方重度障害者のダブルカウント方式は重度障害者の雇用促進に一定寄与している反面、実雇用率をわかりづらいものとさせてしまい、本来の法の主旨に照らして、その改善にむけた検討が必要です。
 今後より多くの重度障害者が就労できるような施策が求められています。パソコンを使った在宅就労の普及と理解、勤務日数や勤務時間の柔軟化、専門性を発揮できるための大学教育や企業との連携なども検討されるべきです。またジョブコーチシステムや援助つき雇用に対する理解や普及も一層求められています。経済状況が厳しく労働市場の深刻化が進み、「ワークシェアリング」という言葉も飛び交っています。このことをチャンスととらえ、きちんと企業が要請する業務をこなす技能や専門性さえあれば、毎日長時間仕事をしなくてもすむ社会が到来しつつあると理解すべきです。そのような観点に立った職業リハビリテーション施策、あるいは障害者雇用施策の検討が求められています。

6.地域での自立生活を可能とする基盤整備
 これまでは、基本的には施設の数を整備することにより、障害の重い人たちの生活問題を解決しようとするのが国の政策でした。これに対して21世紀における福祉社会の目標は、地域での自立生活であると認識しています。それは過去から現在にわたる施設が果たしてきた役割を一概に否定するものではありません。国際障害者年から20年以上の月日がたった今、ノーマライゼーションの理念を本当の意味で具体化させていかなければならないのです。誰も好んで施設や病院で暮らしている人はいないに等しいといえます。新しい障害者基本計画や障害者プランでは、施設整備にかわる様々な支援サービスの重要性をきちんと盛り込み、それらの具体的な数値目標の設定が必要です。それは20年後には現在より生活施設の数が減少可能となるような、地域社会の種々支援サービス整備の数値目標の設定です。
 一方、本当に濃密な医療ケアと介護を必要としながら、制度の谷間で、放置されている障害の重い人たちの存在を見逃がすことはできません。地域での自立生活は、放置を容認するものでなければ、それを進めていくものでもありません。一人ひとりのニーズにあったサービスを可能な限り地域社会が提供できるようにしていくことです。それはケースによっては施設サービスも選択できるようにしていくことをも意味します。いずれにしても、地域での自立生活をすすめることにより、現状の施設に空きが生じることになり、施設サービスの目的や機能、対象者も必然的に変わらざるを得なくなると考えます。
 「市町村障害者生活支援事業」の量的な整備等はもとより、「成年後見人制度」の質的な充実、「障害者地域権利擁護事業」の改善等は大きな課題です。「措置から契約へ」をスローガンに社会福祉基礎構造改革がすすめられていますが、契約システムの中で、とくに発言力の弱い障害者の権利をどう擁護し、しっかりしたシステムを確立させるかが重要な課題といえます。権利擁護は、障害者が地域社会で居住しているか、施設で居住しているかを問わず、きちんとしたものに整備していく必要があります。
 さらに、地域での自立生活をすすめていくにあたって、住宅環境の整備を欠かすわけにはいきません。とくに公営住宅がその役割を担う必要があり、障害のある人が希望すれば入居できるよう、量的な整備を急ぐとともに、一人ひとりの障害の状況を考慮した設計も求められます。自立生活を求める多くの障害のある人たちは単身者が多く、単身者むけ住宅の整備が必要です。
 介護サービスのあり方は、地域での自立生活問題の中心部分をしめます。高齢者に対する介護保険が導入され、一方、若齢の障害者に対しては支援費制度が来年度よりスタートします。現在、国は地方自治体に対して身体障害者のホームヘルプサービスについて、ホームヘルパーの派遣時間の制限を設けないように指示を出していますが、支援費制度に移行後、現状よりさらにきめこまやかに、そして必要なだけ派遣されるようにしていくことが求められます。ホームヘルパーやケアマネージャーの育成が重要になっています。また、ガイドヘルパー事業や全身性障害者介護人派遣事業は、障害の重い人たちの社会参加や社会的自立に大きく寄与しており、これらの事業の拡大や、質的な改善が求められています。いずれにしても、介護サービスを受ける人たちが、どういうかたちの介護サービスを利用するのか、自分で選択し、場合によっては様々なサービスを駆使しながら、生活できる仕組みが大切です。
 介護サービスについては一定の利用費負担は必要であると考えます。その場合、利用者の負担能力とサービス内容を加味した合理的な基準が求められます。扶養義務者とくに親や兄弟の利用費負担については、障害者の独立という観点から行わないことが求められます。
 高齢者に対する介護サービスは介護保険で行われていますが、介護を必要とする高齢者は高齢障害者であるという観点から、今後制度的整合性をはかっていく必要があると考えます。

7.精神障害者施策
 本協議会は、障害種別を越えた総合的な障害者福祉法の制定を提言しています。同じ障害でありながら、身体と知的そして精神の間では施策やサービスの内容が大きく違うという矛盾を抱えています。障害種別にかかわりなく、ニーズがあればそれに対応できる施策の展開とサービス提供が重要です。
 とくに精神障害者については、欠格条項の問題や措置入院制度、保護者制度の問題など、一部は解決したものもあるが、人権面で大きく不利益な立場に置かれてきました。
 障害者に係る欠格条項については、63制度について見直しが行われ、その多くが終了していますが、そのほとんどに相対的欠格が残されており、当初の政府方針から大きく後退しています。根拠のない欠格条項は、人たちに誤った障害に対する認識を植え付けさせるもので、全体的な見直しが必要です。対象範囲の63制度以外にも自治体の条例などにみられるよう欠格条項と思われるものはかなりあり、それらを含めた検討作業が求められます。
 また、「心神喪失者等医療観察法案」の動きも緊迫化している中、精神障害者の人権のあり方があらためて問い直されています。ひとつには、雇用、所得、住居、相談、介護等、社会環境あるいは福祉サービスの根本的な整備が求められています。精神病院の入院者の多くが、地域社会におけるサービスがないことからくる「社会的入院」であり、それを解消していくための諸サービスの整備の数値目標設定が強く求められています。
 そして地域社会において気軽にかかれ、しかも充実した医療システムの確立も重要です。「精神障害者」すなわち「医療の対象者」という偏った意識を変えていくことは必要です。精神保健福祉法は改正される必要があり、とくに、「保護者制度」は精神障害者と家族の人権を著しく侵害するもので、撤廃される方向の検討が求められます。また、措置入院制度のあり方についても見直しの検討が必要です。また、精神医療の地域間格差や他の医療分野との制度的格差が厳然としてあり、とくに医師や看護師の低い配置基準を認めている「精神科特例」は廃止の方むでの検討が必要です。そして他の診療科目と同様に、総合病院の中に精神科を整備していきながら、単科精神病院を減らしていくことが求められています。いずれにせよ精神科において必要な医療サービスを自己選択・自己決定のもと受けられるシステムの構築と整備が求められます。
 総合的な障害者福祉法の制定をにらみながらも、精神障害者が地域社会の中であたりまえに生きていける制度の構築をめざしていくことが必要です。

8.医療と福祉の谷間におかれた人たちの問題
 ニーズに対応した施策とサービスの必要性は、多くの障害のある人たちにとって切実な問題となっています。現行の各福祉法では包含されない「難病」の人たちや、「高次脳機能障害」などの枠組みからはみ出した人たちの医療と生活問題は深刻なものとなっています。「身体障害者手帳」などの手帳が交付されなければ、サービスの多くが受けられないという問題もあり、手帳制度の見直しも検討課題です。
 そしてこれらの谷間におかれている人たちの多くが医療と福祉両方のサービスを受けなければならない状態にあるにもかかわらず、その両方から放置されている場合が少なくないことを見逃すわけにはいきません。他の障害者と同様に、ニーズに応じた各種の支援サービスが実施されるように、早急な解決がはかられる必要があります。


9.教育
   文部科学省は「特別支援教育の在り方に関する調査研究協力者会議」を設置し、障害関係団体や学識経験者を交えて、これからの障害児教育のあり方を議論しています。障害児教育のあり方については様々な議論があるところです。専門性の高い盲・聾・養護学校における教育にしても、地域における普通学校での教育にしても、一人ひとりのニーズや希望にあった教育が保障されるべきです。そのような観点に立ったとき、エレベーターや介助体制などハードやソフト両面の整備が求められます。専門家の育成も重要な課題となります。基本的な部分で、本人や親の学校選択権は尊重されていく必要があります。さらに、大学・大学院など高等教育における一人ひとりの障害のニーズに応じた支援システムも強く求められています。

10.情報・コミュニケーション
 障害のある人が今日の情報化社会で暮らしていくにあたって、他の市民と同様の情報を得ることと、自らの情報を発信できることは基本的な権利です。パソコン・携帯電話などIT機器が一人ひとりの障害者の道具として活用されることが求められています。一人ひとりの障害にあったハードやソフトの開発、人的サポート体制の充実を急いでいく必要があります。また、電子投票の導入に際しては、当事者参加の検討の場をもうけ、選挙広報や手話通訳の保障、投票場のバリアフリー含め、有権者の意志と投票の秘密が守られる選挙制度づくりが重要です。
 コミュニケーション問題としては、手話を言語として位置付けさせ、広く市民に普及させる必要があります。あらゆる場面で聴覚障害者などに対するコミュニケーション保障を確立していくことは重要な課題です。

11.バリアフリー
 「ハートビル法」や「交通バリアフリー法」によって、建築物や交通機関のバリアフリーはかなり進んできています。今後これらの法律の対象範囲を拡大させ、より実効性の高いものにしていく必要があります。交通については日本のどこに行っても、他の市民と同様に不便なく交通機関を利用できるようになることを目標として、施策誘導が必要です。これらの課題については、今後事業者や自治体の責任をさらに明確化させ、違反した場合は罰則を与えることも検討する必要があります。
 そして、障害を持つ当事者が建築設計の段階から、あるいは設備整備の段階から参加し、当事者自身の視点に基づいた整備をすすめていくことが大きな課題です。

12.補助機器・支援機器
 車いすや松葉杖、補聴器など、障害者が自立生活を送るうえで、補助機器・支援機器(福祉用具)の果たす役割は大きなものがあります。これらの機器が、一人ひとりの障害に対応しより役立つものとなるよう、さまざまな器具や機械が開発され、精密度を高めていくことが求められています。これらの機器を障害者が使いこなし生活することは、自己実現の達成感という観点から格別の意味を持ちます。機器の研究開発にあたっては、障害者のニーズは何かをきちんと把握していく必要があり、当事者の参画が重要となります。また、地域に支援機器センターを充実させるなど人的支援も大切です。
 補装具の交付費や修理費の補助金単価についても合理的な見直しが必要で、利用者へのサービス体制の整備等、障害者本人のための補助機器・支援機器の開発と体制の確立に向けての課題は多くあります。

13.国際協力
   今年2002年は「アジア太平洋障害者の十年」の最終年にあたり、これを記念して「アジア太平洋障害者の十年」最終年記念フォーラムとしての国際会議が大阪府(大阪市・堺市)と北海道(札幌市)で開催されます。先般開催された国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)の総会では、日本の他、中国・韓国を含む計29カ国が共同提案国となり、更なる「十年」の延長が採択されました。アジア太平洋地域における障害のある人たちの生活状況を見るとき、戦争・飢餓・貧困などの苦しみの中に置かれている人たちが圧倒的に多く、支援や協力が重要な課題となっています。
   また、国連においては「障害者権利条約」の制定にむけた取り組みが開始されています。
   アジア太平洋地域の国々、そして国連加盟国などとの連携や協力関係を深め、お互いに学びあいながら、障害分野の国際的前進に努めていく必要が、日本政府及び国内の障害関係団体に求められています。

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文書名

獣医師法施行規則及び家畜改良増殖法施行規則の一部改正について

日 付

2002年6月17日

発 番

 

発信者

日本障害者協議会  代表  河端静子

宛 先

農林水産省生産局畜産部衛生課獣医事班(獣医師法施行規則)、畜産技術課総務班(家畜改良増殖法施行規則)

 


   日本障害者協議会は、障害をもつ人の当事者団体および関係者団体により構成される全国団体です(現在70団体加盟、http://www.jdnet.gr.jpをご参照ください)。
 当会は、以前より政府および関係省庁に対して、障害にかかわる欠格条項の抜本的見直しを求めており、獣医師法及び家畜改良増殖法の改正に際しても、廃止を求めるパブリックコメントを提出いたしましたが、不十分な改正にとどまり遺憾と考えております。
 さて、今回の獣医師法施行規則及び家畜改良増殖法施行規則の改正につきましては、本来不要な欠格条項が残されたことに基づく改正でありますが、少しでも現状を改善するという観点から意見を述べます。
 今回の改正は、「獣医師及び家畜人工授精師としての業務を行う上で必要とされる認知・判断・意思疎通並びに技能に係る心身の機能(視覚、聴覚、音声機能、言語機能、精神の機能並びに上肢の機能)について規定」するとありますが、具体的にいかなる水準の心身の機能まで必要とされるのかが、明らかでありません。ぜひ具体的な基準を明らかにしていただきたいと思います。もし、あいまいな表現のままであれば、恣意的な運用がなされるのではないかと危惧しております。また、行政手続法第5条第2項の点からも、具体的な基準を明らかにしてください。
 さらに、「医師の診断書に係る記載内容の見直し」を検討するとのことですが、その際には、疾患名等は不用であり、改正の趣旨に記された心身の機能を具体的に評価した内容とすることを要望します。もし疾患名を単に記し、それを理由に必要な心身の機能が欠けるとされてしまえば、改正の趣旨をゆがめるものになるからです。今回の改正を、障害をもつ人の社会参加につなげるものとし、安易な人権の制限を回避するものとするために、ぜひご配慮くださいますようお願い申し上げます。
 最後に、今回の見直しは、これで終わるものと考えておりません。本法令において、本当にこの欠格条項が必要なのか、引き続きご検討くださるよう、お願い申し上げます。その際に、今回の改正後、欠格とされた者の人数や、その理由等につきまして、情報公開を求めていく所存ですので、ご開示くだいますよう、重ねてお願いいたします。

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文書名

通訳案内業法施行規則等の一部改正について

日 付

2002年6月17日

発 番

 

発信者

日本障害者協議会  代表  河端静子

宛 先

国土交通省総合政策局観光部旅行振興課

 


   日本障害者協議会は、障害をもつ人の当事者団体および関係者団体により構成される全国団体です(現在70団体加盟、http://www.jdnet.gr.jpをご参照ください)。
 当会は、以前より政府および関係省庁に対して、障害にかかわる欠格条項の抜本的見直しを求めており、通訳案内業法の改正に際しても、廃止を求めるパブリックコメントを提出いたしましたが、不十分な改正にとどまり遺憾と考えております。
 さて、今回の通訳案内業法施行規則の改正につきましては、本来不要な欠格条項が残されたことに基づく改正でありますが、少しでも現状を改善するという観点から意見を述べます。
 今回の改正の趣旨は、「通訳案内業の業務を適正に行うにあたって必要な機能、能力(認知、判断及び意思疎通)が備わっているか」を免許付与の基準とするということですが、いかなる機能、能力が必要とされるのか、あいまいな表現となっており、恣意的な運用がなされるのではないかと危惧しております。このままでは、行政手続法第5条第2項が求める具体的な基準となっていないのではないでしょうか。
 医師の診断書等を参考にされる場合でも、いかなる項目を診断書に求めるのか、規定されておらず、単に疾患名とその程度を記したもので、安易に判断されるのではないでしょうか。
 今回の改正を、障害をもつ人の社会参加につなげるものとし、安易な人権の制限を回避するものとするために、より具体的な基準を規定していただきたく、お願いもうしあげます。当然、その基準には、あくまで「通訳案内業の業務を適正に行うにあたって必要な機能、能力」に限定し、疾患名は不用と考えます。
 最後に、今回の見直しは、これで終わるものと考えておりません。本法令において、本当にこの欠格条項が必要なのか、引き続きご検討くださるよう、お願い申し上げます。その際に、今回の改正後、欠格とされた者の人数や、その理由等につきまして、情報公開を求めていく所存ですので、ご開示くだいますよう、重ねてお願いいたします。


文書名

船員法施行規則及び船員労働安全衛生規則の一部改正について

日 付

2002年6月17日

発 番

 

発信者

日本障害者協議会  代表  河端静子

宛 先

国土交通省海事局船員部労働基準課

 


   日本障害者協議会は、障害をもつ人の当事者団体および関係者団体により構成される全国団体です(現在70団体加盟、http://www.jdnet.gr.jpをご参照ください)。
 当会は、以前より政府および関係省庁に対して、障害にかかわる欠格条項の抜本的見直しを求めており、船員法の改正に際しても、パブリックコメントを提出いたしました。
 さて今回の船員法施行規則及び船員労働安全衛生規則の改正につきましては、「障害を有しているか否かではなく、作業を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができないと医師が認める者を就労禁止とする規定」に改めるとされており、船員法の改正の趣旨が反映されたものと評価しております。
 また、単に船員の診断時の能力に着目するだけでなく、「当該船員の経歴及び職務を考慮」いただいたのは、より実際の就労可能性に着目した総合的な判断を求めるものであり、望ましい改正内容と評価しております。
 ただし、今回の改正の趣旨が実際の運用において、これまでと変わりないものになっては、改正の趣旨がゆがめられると考えます。
 よって医師の判断においては、就労に必要な能力を総合的判断するという趣旨が適切に運用されますよう、医師の診断書の項目等につきまして、明確な規定をおかれますようお願い申し上げます。
 またその際の項目には、疾患等の診断名は不用と考えます。疾患名の特定が必要なのではなく、いかなる疾患によるものであれ、総合的に船員としての業務が適切に行い得るかが問題であり、この点に限定した診断書を求めるべきと考えます。その旨、施行規則等にご明記いただき、あわせて診断を行う医師に対して、研修等の機会を設け、改正の趣旨が徹底されるよう周知願います。

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文書名

火薬類取締法施行令及び火薬類取締法施行規則の一部改正について

日 付

2002年6月17日

発 番

 

発信者

日本障害者協議会  代表  河端静子

宛 先

経済産業省原子力安全・保安院保安課

 


   日本障害者協議会は、障害をもつ人の当事者団体および関係者団体により構成される全国団体です。(現在70団体加盟、http://www.jdnet.gr.jpをご参照ください)。
 当会は、以前より政府および関係省庁に対して、障害にかかわる欠格条項の抜本的見直しを求めており、火薬取締法の改正に際しても、パブリックコメントを提出いたしました。
 さて、今回の火薬類取締法施行令及び火薬類取締法施行規則の改正につきましては、能力に着目し、障害を特定しないという火薬取締法の改正の趣旨を反映したものと評価しております。
 ただし、判定の方法として医師の診断書をあげておりますが、その内容は「@火薬類を取り扱う場所で喫煙、火気の取扱いをしないこと、A災害発生時に現状変更をしないことにつき精神の機能の障害により、的確に理解・遵守」しうるかという能力評価であることを明示し、かつ限定すべきと考えます。疾患名・障害名の特定が目的なのではなく、上記の能力を有しているか否かが問題と考えます。
その意味では、診断名は不要であり、能力評価に限定した診断書が必要と考えます。今回の改正の趣旨が明確に伝わるよう、診断書の項目を施行規則等にご明記くださるようお願い申し上げます。


文書名

放射線障害防止法施行規則(文部科学省令)の改正について

日 付

2002年6月14日

発 番

 

発信者

日本障害者協議会  代表  河端静子

宛 先

文部科学省科学技術・学術政策局原子力安全課放射線規制室

 


   日本障害者協議会は、障害をもつ人の当事者団体および関係者団体により構成される全国団体です(現在70団体加盟、http://www.jdnet.gr.jpをご参照ください)。
 当会は、以前より政府および関係省庁に対して、障害にかかわる欠格条項の抜本的見直しを求めており、放射線障害防止法の改正に際しても、パブリックコメントを提出いたしました。
 さて今回の放射線障害防止法施行規則の改正につきましては、「病名や障害を特定せず、放射線障害防止法において要求される業務を適正に遂行する能力を有するかどうかという観点」から改正されており、放射線障害防止法の改正の趣旨が反映されたものと評価しております。
 ただし、「文部科学大臣は、必要があると認めるときは、申請者に対し、当該申請者(申請者が法人であるときは、その業務を執行する役員)に係る精神の機能の障害に関する医師の診断書の提出を求めることができる旨を定める予定」とありますが、その医師の診断書の内容は、当然「放射線障害防止法において要求される業務を適正に遂行する能力」に
関するものであって、疾患名を特定することを目的とするものでないことを明記し、医師に周知くださるよう要望します。
 医師の診断書の内容が、特定の疾患にかかっていることを診断し、単にそれを理由として、業務遂行が困難とするものであれば,改正の趣旨がゆがめられることになると考えます。疾患名の特定が必要なのではなく、いかなる疾患によるものであれ、「精神の機能の障害により、放射線障害の防止のために必要な措置を行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通」を適切に行い得るかが、重要なのであり、この点に限定した診断書を求めるべきと考えます。その旨、施行規則にご明記いただき、あわせて診断書を求める場合には、書式を指定して、趣旨を医師に周知くださるようお願いいたします。


文書名

「心身障害者団体が発行する第3種・第4種郵便の認可を受けた定期刊行物」の割引に係る緊急声明

日 付

2002年5月1日

発 番

 

発信者

日本障害者協議会

宛 先

政府、マスコミ、関係団体、正会員他

 


   現行の第3種・第4種郵便における割引制度は、教育の普及や福祉の増進などを目的として1948年に定められて以来、自主財源の乏しい障害者団体等の社会啓発・普及活動や会員相互のコミュニケーション及び各種情報の伝達・入手手段等として、かけがえのない役割を果たしてきました。

   私たち障害者及び障害関係団体において、当該制度が後退することは、障害者団体等の活動低下はもとより、その存続自体が危機に瀕するといっても過言ではありません。また、近年の障害者政策における各種バリアフリー施策の流れにも逆行し、障害者基本法で明記された「障害者の自立と社会参加」を阻む、情報分野における新たなバリアにもなりかねません。

   以上の立場から、本協議会としては、いかなる場合においても「心身障害者団体が発行する第3種・第4種郵便の認可を受けた定期刊行物」に対する割引制度について、現行料金水準により存続されることを強く望みます。

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文書名

「人権擁護法案」に対する意見及び要望について

日 付

2002年4月30日

発 番

JD発第02−9号

発信者

日本障害者協議会

宛 先

政党代表者、衆・参議院法務委員会他

 


   日頃より、障害者の人権尊重にむけた政策立案に多大なご尽力を賜り、心から感謝を申しあげます。
    さて、現在国会に上程されております「人権擁護法案」につきましては、独立の行政委員会を設置して人権擁護を進めようとする等、評価できる点も多くありますが、本協議会としましては、なおこの法案について、下記の意見及び要望を提出させていただきます。
   本協議会では、昨年一月、人権擁護推進審議会の「中間まとめ」に対して意見を提出しましたが、この意見がほとんど今回の法案に取り入れられていないことを残念に思っております。
   さらに、障害者の包括的な人権保障という観点に立つとき、この人権擁護法案でははなはだ不十分であるという認識に立ち、「障害者差別禁止法」等の必要性を一層強く実感する次第です。


1.この法律で擁護される人権の範囲に係る問題点
1)範囲の包括性
   この法律による救済の対象となる差別の範囲は、「人種等」として、人種、民族、性別、障害等、かなり包括的なものとなっている(法2条5項。ただし、国籍による差別は除かれている)。とくに、この中に「障害」を位置付けたことは、評価に値する。しかし、わずか5人の委員で構成され(そのうち3人は非常勤)、しかも中央に1つしか設けられない人権委員会(以下、「委員会」という)ではその処理能力を越えることはあきらかである。その結果、障害者はそのなかに埋没して十分な救済を得られないおそれがある。
   そこで委員会は、労働委員会のように、地方にも置かれる必要があり、女性雇用差別についての都道府県労働局や、児童相談所に見合う障害者独自の救済制度が設けられるべきである。

2)公務員の人権侵害に係る規定の弱さ
   明確に公務員の人権侵害が規定された条項は、不当な差別的取扱いに関する3条1項1号イのみであって、これとの対比において、公務員による「虐待」の禁止規定は不明確である。そもそも、この法案提出の動機となった国連規約人権委員会の日本政府報告書に対する最終見解(1998年)9項は、公権力(Authorities)による人権侵害を憂慮したものであるから、とくに公務員による虐待禁止については、差別禁止以上に明確な禁止規定が設けられるべきである。

3)公務員の不作為による人権侵害の問題
   たとえば、警察が被害者側からの申出・相談を受けていても、警察がそれを放置しておくことによる殺人事件の多発にみられるように、公務員の不作為による人権侵害は、作為による場合にまさるとも劣らない。このような不作為による人権侵害の予防、救済措置が明確に規定されることが重要である。

4)マスコミに対する規制措置についての問題
   以上に対し、マスコミに対する委員会の規制措置(42条1項4号)は、マスコミの報道等の自由への配慮やその自主的解決を尊重する旨の同条2項が規定されているとしても、その言論、報道、取材の自由の公権力による抑圧・規制につながるおそれがある。そもそもマスコミの規制は、公務員関係による人権侵害抑止の本法案の本来的趣旨から外れるもので、この部分は削除されるべきである。

5)外国人に対する権利侵害禁止措置の不存在
   国籍による差別禁止が規定されていないため、外国人に対する公権力等による差別、虐待の予防、救済に欠けることになる。このことは、今日の人権の世界的普遍性、それを国際規範として規定した国際人権規約の平等条項(社会権規約2条2項、自由権規約2条1項、26条)に違反する。とくに年金制度にみられるように、障害のある外国籍の人々に対する制度的差別による人権侵害の訴えとその実例は後を絶つことなく、日本国籍を有する人々と同等の人権擁護がなされるべきである。


2.委員会についての問題点
   前記1−1)で触れた「委員会の事務処理能力の限界」以外にも、委員会に関しては次のような基本的問題がある。
1)所属機関の問題
   委員会の行政からの独立性確保の趣旨からは、法務省所管から外すべきである。そして、第三者機関として設立されることが望まれるが、それが現実的に困難な場合については、内閣府所管という選択肢もある。このことは、人権擁護という重要な課題が、法務省という一省庁では収まりきれない、多面的で、しかも人々の生活に直結する問題であることをあらわしている。

2)人員・構成と事務職員の養成の問題
   委員の人数や構成は、救済対象とされる種別ごとにそれぞれを代表する委員がバランスよく任命されるべきである。
また、委員会の事務局職員は、政府から独立機関としての委員会の性格と、その資質の重要性から、固有の職員として採用、養成、配置されることとされるべきである。
   地方に配置される地方事務所においても同様で、その事務を地方法務局長に委任すること(16条3項)は大きな問題である。

3)人権侵害の定義の問題
   救済の対象となる「人権侵害」とは「不当な差別、虐待その他の人権を侵害する行為」とする規定の仕方(2条1項)は、「差別」や「虐待」に重点が置かれており、「その他の人権を侵害する行為」の意味は不明確である。日常介護(生活権)、財産管理(財産権)を必要とする障害者にとっては、差別、虐待からの救済のみでは不十分である。

4)権限の弱さの問題
   委員会の救済権限は、一般救済はもとより、緊急性を要する特別救済においても、委員会の勧告、公表どまりで、労働委員会や公正取引委員会にみられるような直接的禁止命令、排除措置命令にあたる権限がない。このことは制度の存在意義を大きく減殺する。
   また、救済手続は、かなり煩鎖である。地方で起こった事件が中央の委員会で処理、解決が行われるまで、相当の日数がかかることが予想され、とくに緊急に救済を要する虐待救済のケースには間に合わないことは明らかである。
   さらに、救済手続の際、必要と判断される場合については、障害者本人の意思、希望が最大限に反映されるよう、代理人の選任等、本人の権利を守る手だてが必要である。

5)労働関係事件、船員関係事件の処理について、それぞれ、厚生労働大臣、国土交通大臣所管とされていることは、政府から独立の救済制度を設ける趣旨に反するものである。

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文書名

「今国会成立見送りと精神障害者政策の徹底した議論を強く求める−「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案」に対する見解−

日 付

2002年4月26日

発 番

 

発信者

日本障害者協議会

宛 先

政府、マスコミ、関係団体、正会員他

 


■社会的入院を余儀なくされている精神障害者の実態

 私たち日本障害者協議会は、障害のある当事者と、家族、関係者などの団体約70の団体で構成されており、この20年間あまり、障害者の完全参加と平等の実現をめざして、政府、関係者に対して、運動をすすめてきました。
 わが国の障害者施策は、私たちが運動をはじめた20年前に比べれば、相当充実してきました。しかし、地域社会であたりまえに障害者が暮らしていける環境には至っていません。とくに、身体障害者施策と比較すると、精神障害や知的障害のある人たちへの施策のおくれは歴然としています。
 現行の「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」(精神保健福祉法)自体、行政府である都道府県知事による強制的な「措置入院制度」や、精神障害者本人やその家族の基本的人権を無視している「保護者制度」がいまだにあり、社会防衛的な色あいが強く残されています。この精神保健福祉法を精神障害者の人権を守り、社会的自立を支える法律へと変えていくことが急務であると私たちは痛感しています。
 また、この法律の不備により、精神障害者が地域社会の中で生活を送るための制度や社会的資源があまりにも乏しく、多くの人たちがいまだに社会的入院を余儀なくされており、人間としての尊厳を奪われた状態におかれています。そういう状況で、不幸な事件によっていわゆる「触法心神喪失者」問題への対応が浮上し、精神障害者への誤った認識による世論が醸成されていき、そうした世論を背景に、特別立法という形でさらに精神障害者の人権を制限する危険性を大きく孕む法案が、今国会に上程されていることに憂慮の念が堪えません。
 昨年私たちは、与党3党が設置したこの問題に関するプロジェクトチーム等に対し、緊急要望書を提出しました。私たちは現状の中で精神障害者問題の所在の在り方について考えたとき、地域医療・福祉施策の充実、「保護者制度」の撤廃、そして触法心神喪失者への対応については、人権と合意の尊重が何よりも大切であるとの立場で、要望をしてまいりました。

■冷静で多角的な議論を

 さて、今国会に提出されている「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行なった者の医療及び観察等に関する法律案」は、精神障害者問題を解決していくうえでの本質的な政策にはなり得ないと考えます。さらに、専門家の間でも「再犯を予測することは困難」という見方が支配的で、「再犯のおそれ」を理由に、司法判断による強制入院の道をひらくこの法案は、徹底的な検証と充分な議論、そして慎重を期した対応を必要としています。多くの精神障害当事者と、多くの医療従事者、福祉関係者が反対の声をあげております。「不幸な事件」はいうまでもなく繰り返されてはなりませんが、だからこそ、冷静でしかも多角的な視点による議論が求められています。仮に短期間でこの法案が成立する事態が現実のものになるならば、日本の障害者分野における立法上の大きな禍根を残す結果となることは間違いありません。

■法案の成立を見送り、廃案へ

 冒頭でも述べているとおり、精神障害者に対する社会の支援システムは、他の障害者に比べ、制度的な施策等においてはるかに未整備な状態にあります。私たちはまず地域福祉サービスや地域医療サービスを根本的に見直し、身体・精神・知的などを問わず、あらゆる障害者が可能な限り地域社会の中で自己決定が尊重されながら生活できる制度の創設、あるいは充実こそが重要であると考えています。これこそ社会不安を解消できる最大の道のはずです。そして今、精神障害者政策のありよう全般について、当事者の声に耳を傾けながら時間をかけた論議の積み重ねがなされていくことが明らかに求められています。

   私たちは以上の認識に立ち、この法案の成立を見送り、廃案とすることを強く求めます。

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文書名

「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案」への対応について

日 付

2002年4月1日

発 番

JD発第02−1号

発信者

日本障害者協議会 代表 河端静子

宛 先

1)衆・参議院法務委員会(委員長、理事)
2)衆・参議院厚生労働委員会(委員長、理事)

 


 貴職におかれましては、日頃より障害者の人権尊重をめざした政策立案に取り組まれていることに、心から感謝を申しあげます。
 私たち日本障害者協議会は、近年、社会問題となっているいわゆる触法心神喪失者問題の動きに対して、強い関心と懸念を抱いています。
 昨年、与党3党が設置したこの問題に関するプロジェクトチーム等に対して、緊急要望書を提出しました。私たちは現状の中で精神障害者問題の所在の在り方について考えたとき、地域医療・福祉施策の充実、「保護者制度」の撤廃、そして触法心神喪失者への対応については、人権と合意の尊重が何よりも大切であるとの立場で、要望をしてまいりました。
 この度政府がまとめた「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行なった者の医療及び観察等に関する法律案」は、いわゆる触法心神喪失者の処遇のあり方のみが論じられているものであり、この問題を解決していく上での本質的な政策にはなり得ないと考えます。さらに、精神障害者の人権保障という観点から、批判や反対の声も決して少なくありません。
 精神障害者に対する社会の支援システムは、他の障害者に比べ、制度的な施策等においてはるかに未整備な状態にある中、この法律案は時間をかけた慎重な審議が必要です。
 本協議会は、以上の認識に立ち、下記の事項について特段のご高配を賜りたく、よろしくお願い申しあげる次第です。

  1. 学識経験者、関係者の間においても精神障害を原因とする再犯の予測は困難とする見方がある等、いくつかの点で議論のコンセンサスが求められており、この法案の審議にあたっては、基本的人権に関わる極めて重要な問題であるという認識に立ち、精神障害当事者をはじめ関係者・家族等の意見が十分に反映されたものとなるように、必要な時間をかけ、慎重に行なっていただきたいこと。

  2. 精神障害者に対する地域医療と地域福祉のあり方について、早急かつ抜本的に見直していただきたいこと。

  3. 精神障害者の社会的入院の解消はもちろんのこと、社会的自立や社会参加の促進にむけ、「ダイヤモンドプラン(仮称)」とでもいうような年次計画を策定していただきたいこと。


                                                                    

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