2001年度

−意見書・要望書−


文書名

第3種・第4種郵便制度の存続について(お願い)

日 付

2002年3月29日

発 番

JD発第01−83号

発信者

日本障害者協議会  代表 河端静子

宛 先

1)総務大臣  片山虎之助
2)衆・参議院総務委員会(委員長、理事、委員)
3)衆・参議員厚生労働委員会(委員長、理事、委員)
4)関係議員

 


   日頃より、わが国の障害者施策の発展と充実にご尽力を賜り、厚くお礼申しあげます。

   さて、昨年末に公表された「郵政事業の公社化に関する研究会」の「中間報告」を受けて、一部マスコミでは「第三種・第四種郵便の割引制度が廃止」との報道がなされており、障害者及び障害関係団体等では大きな不安を募らせています。

   第三種・第四種郵便は「郵便の役務をなるべく安い料金で、あまねく、公平に提供することによつて、公共の福祉を増進すること」を目的とする郵便法に鑑みて、その果たしてきた歴史的経緯と現状からすれば、今後も特別な配慮が必要な制度であると認識しております。

   とくに、障害者団体等の啓発・普及にとっては、かけがえのない役割を果たしてきており、今後においてもその社会的な必要性にご理解をいただき、存続されるべき制度としていただきたいと考えております。
   つきましては、下記の事項について特段のご高配を賜りたく、お願い申しあげる次第です。

  1. 障害者団体の発行する定期刊行物を内容とする低料第三種郵便物は、現行の趣旨にそって存続していただきたいこと。

  2. 第四種郵便物における盲人用点字・録音物等郵便物の無料扱いについても、現行の趣旨にそって存続していただきたいこと。

文書名

「重大な触法行為をした精神障害者の処遇に関する法律案(仮称)の概要」に関する要望

日 付

2002年3月8日

発 番

JD発第01−82号

発信者

日本障害者協議会  代表 河端静子

宛 先

1)厚生労働大臣  坂口  力
2)法務大臣  森山真弓
3)自由民主党  総裁  小泉純一郎
4)公明党  代表  神崎武法
5)保守党  党首  野田  毅
6)与党心神喪失者等の触法及び精神医療に関するプロジェクトチーム座長  佐藤剛男
7)民主党  代表  鳩山由紀夫
8)日本共産党  中央委員会  議長  不破哲三
9)自由党  党首  小沢一郎
10)社会民主党  党首  土井たか子

 


   貴職(党)におかれましては、日頃より障害者の人権尊重の政策立案にご尽力されていることに、心から感謝を申しあげます。

 私たち日本障害者協議会は、近年、社会問題となっているいわゆる触法心神喪失者の問題について大きな関心をよせています。

 昨年、与党3党が設置したこの問題に関するプロジェクトチーム及び自由民主党(貴党)のプロジェクトチームに対し、緊急要望書を提出させていただいております。
 
   私たちは現状の中で精神障害者問題の所在のあり方について考えたとき、地域医療・福祉施策の充実、「保護者制度」の撤廃、そして触法心神喪失者への対応については、人権と合意の尊重が何よりも大切であるとの立場で、要望をさせていただきました。

 与党3党のプロジェクトチームの報告においても、触法心神喪失者等の処遇の改革とともに、精神障害者医療及び福祉の充実強化が提言されています。精神障害者に対する社会の支援システムは、他の障害者に比べ、制度的な施策等においてはるかに未整備な状態にあります。

   この度政府が出した法律案の概要をみますと、触法精神障害者の処遇のあり方のみが論じられており、本質的問題の解決に触れられていないことは、憤りさえ覚えます。また、精神障害者の人権という観点から、批判や問題の声も少なくありません。
 
   法律案の名称についても、仮称とはいえ、精神障害者全体が触法行為をおかす存在かのような印象を与えます。

   本協議会は以上の認識に立ち、下記の事項について、国会審議等を通じて、特段のご高配を賜りたく、よろしくお願い申しあげる次第です。

  1. 法律の名称については、精神障害者に対する偏見や誤解を助長させないものとするため、「重大な触法行為をした心神喪失者等の処遇に関する法律」としていただきたいこと。

  2. 与党3党のプロジェクトチームの報告でも指摘されている通り、精神障害者に対する地域医療と地域福祉のあり方について、早急かつ抜本的に見直していただきたいこと。

  3. 法の制定、施行にあたっては、精神障害当事者を含む関係者・家族の意見を十分に汲み取っていただきたいこと。

  4. 精神障害者の社会的自立や社会参加の促進にむけ、「ダイヤモンドプラン(仮称)」等の年次計画を策定していただきたいこと。


文書名

国際生活機能分類(ICF)に関する意見

日 付

2002年2月28日

発 番

JD発第01−81号

発信者

日本障害者協議会  代表 河端静子

宛 先

厚生労働省  社会・援護局  障害保健福祉部  企画課長  仁木  壯

 

 
  日頃より、障害者施策の拡充にご尽力を賜り、厚くお礼申しあげます。

   さて、標記の問い合わせにつきましては、本協議会はとりあえず下記のような意見を表明いたします。

   なお、今回の意見聴取は「翻訳」についての意見聴取を念頭に置いているものと存じますが、本協議会の「意見」はその「活用」を含めたものとなったことをあらかじめお断りします。

   また、本件をめぐっては「翻訳」だけでなく、「普及」、「活用」、「さらなる改善に向けてのWHOへの提言」など、多様な取り組みが必要とされますが、障害者自身、家族、関係者などの民間団体がその取り組みに積極的に参加し、貢献できるように、今後一層の配慮をされるよう要望いたします。

  1. タイトルの訳語について
     2つの意見が出されました。1つは、正確に「生活機能・障害および健康の国際分類」とし略称を「ICF」とするもので、もう1つは、障害の見方の大きな変更(および高齢者なども含めた広範囲の活用)を意識させるためにも「国際生活機能分類」とし、略称を「ICF」とする、というものです。

  2. 実際の活用を経た上での訳語の見直しを
     実際に活用した上で、日本語としてより適切な訳語の必要性がはじめて感じられる場合が多いものです。そのための修正の計画をたて、どのような方法でいつまでに意見を出し、どのような機関が見直しを行うのか、明確にしてください。

  3. ICFを活用すべき分野について
     平成14年1月28日付けの仁木企画課長名の「意見聴取のお願い」は、この活用について次のように記しています。
     「これを活用することによって、障害者の問題点やニーズを総合的に捉えたり、医療機関や福祉施設等で行われるサービスの計画や評価、記録などを体系的に実施したり、障害者に関する様々な調査や統計について、国内はもとより国際的にも比較検討することができることとなると期待されています。」
     上記の分野に加えて、「法律や国・自治体の政策・制度・計画の決定や見直し」、「障害者に関する国民啓発や各種専門職教育」などでも、部分的にはすでに使われ役立っていると思われるので、いっそう積極的に活用すべきです。

  4. ICFの普及について
     旧厚生省が諸外国に先駆けて1984年に「WHO国際障害分類試案(仮訳)」を出版したことは評価されますが、その後の普及・宣伝にはほとんど取り組みませんでした。
     新しいICF英語版はショートバージョンとフルバージョンの2分冊とするなど普及と活用に配慮されています。
     今日、市町村レベルでの障害者施策の推進が重要になっていますが、担当職員の中には障害や障害者に関する基本的理解を持っていない人も多くいます。保健・福祉・教育関係者にも古い理解に基づいて「障害の治療と訓練」のみに関心を向け、「参加」と「環境」の意味を理解していない人が多くいます。早急に普及と活用のために計画的に取り組む必要があると考えます。

  5. 「活動」と「参加」のリストの区別について
     1980年の国際障害分類の意義の一つは、「病気」と「病気の諸帰結」(障害)を区分したこととともに、「障害」を3つの次元に区分し、とくに第3の次元として「社会的不利」という概念を明確にしたことですが、残念ながら今回のICFでは、第2の次元(活動)と第3の次元(参加)の分類リストは一本化されてしまいました。そのため社会参加の促進のために活用しようとすると混乱が予想されます。
     早急に障害者団体等の意見も聞きつつ、なにが第2の個人の次元でなにが第3の社会の次元なのか、日本としての独立した分類リストづくりを進めるべきです。WHOも各国の経験を持ち寄り、独立した分類リストを作成する可能性を追求するとしています。

  6. 障害者のエンパワーメントとICF
     ICFは「障害者の機会均等化に関する基準規則」(Standard Rules on the Equalization of Opportunities for Persons with Disabilities)と相互に補完的な関係にあるとされています。また日本では障害者の自己決定・選択がますます重視されるようになっています。
     こうした国際的、国内的な動きにもかかわらず、障害者の中には日本ではICFが、専門家・行政による「ニーズの客観的で公平な判定」につかわれ、障害者の個別の事情や要求を軽視することになるのではないかという不安があります。
     ICFが個別のニーズ評価やリハビリテーションプランづくり、サービス計画づくりにどのように生かされるのか、明確にすることを要望します。

  7. 障害認定制度・等級制度の見直しについて
       わが国における障害認定制度・等級制度について、今般のICFを基調に、早急に見直しに着手してください。

  8. 新障害者基本計画の策定にあたって
       新障害者基本計画(2003年度から2012年度)の策定にあたって、ICFに十分、配慮してください。

  9. ICF中間改定に向けて
       今般のICFについては、WHO加盟各国で活用した上で、さらなる改善が求められます。日本政府として、総会決定後、5年間(2006年)を目途に、中間改定を行うようWHOに働きかけてください。

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文書名

基調提案

日 付

2001年12月9日

発 番

 

発信者

日本障害者協議会  情報通信委員会

宛 先

 

 


1)地域に広がり、根づくパソボラ

   「パソコンボランティア」をキーワードにインターネットで検索すると3690件がヒットしました。日本障害者協議会が運営するPSVメーリングリストの登録者は、500名を超えています。「やってみたいボランティア」の第6位で初登場です。97年3月にはじめてこのカンファレンスが開催されてから、わずか5年。パソコンボランティアは大きく広がり「普通名詞」となりました。

  「つながらない」「設定できない」「どうしたらいいかわからない」。障害者のIT活用は、自立と社会参加への強力なパワーになるものの、その習得には障害ゆえのさまざまなバリアが山積します。パソコンボランティアはそんな一人一人の障害者の「助けて」の声に応えて、パソコンの利用やインターネットへの接続や環境設定の手助けをするボランティア活動の総称です。

  確認できている40数団体にしても活動や形態は多様です。月に1度の相談会や講習会をとりくむところもあれば、在宅訪問がメインのところもあります。地域のIT講習会で障害者へのサポートを依頼されている団体、継続的な安定した活動のためにNPO法人を取得するところもあれば、小規模作業所での運営を模索するところもあります。全国の自治体で実施されているIT講習会でも、パソボラ団体や個人が、少しでも役立てるならと、献身的な活動をしています。

  ともすれば、日々の多忙さや団体運営の煩わしさなどから、ため息をつくときもあります。しかし、障害者のパソコン利用への熱意にふれ、「できた!」という喜びを共有できる嬉しさ、支えているはずの自分が、じつは支えられていることを実感できた喜び。そして、日常では考えられないような、新しい人たちとの出会い。そんな小さな喜びが私たちの「パソコンボランティア」の原点、とりくみの源泉ではないでしょうか。パソコンボランティア・カンファレンス2001(PSVC2001)のメインテーマを「原点を見つめ、ITの世紀をともに」としました。それぞれの原点を再確認しながら、つながりあって、このとりくみを大きくすすめていきましょう。


2)障害者とITをめぐる激動の1年

  この1年、ITと障害者にとって激動の1年でした。大きな山が動いています。
 
  「IT国会」といわれた第150国会では、高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(IT基本法)をめぐって、すべての人のためのIT社会実現のために、障害者を含めた情報格差是正の問題がクローズアップされました。参考人9名中、PSVCに関わる2名が、情報保障はIT時代の基本的人権という考えで、障害者問題の視点から意見を述べました。
 
  策定されたIT基本法が、第3条で「すべての国民が情報通信技術の恵沢を享受できる社会の実現」を掲げ、第8条で「地理的な制約、年齢、身体的な条件その他の要因に基づく情報通信技術の利用の機会または活用のための能力における格差が、高度情報通信ネットワーク社会の円滑かつ一体的な形成を著しく阻害するおそれがあることにかんがみ、その是正が積極的に図らなければならない」と規定しているのは大事なポイントです。
  今年3月に高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部が策定した「e-Japan重点計画」も、「横断的な課題」としてデジタルデバイド(情報格差)の是正を位置づけています。この「重点計画」策定に際して、PSVCを主催している日本障害者協議会は、緊急提言「すべての人のための『愛と手(あいてぃ)』 推進のために」を提出し、講習体制の継続、障害を配慮した講習の場の確保、重度の障害者へのサポート体制を指摘し、「だれもが参加できるための」諸条件整備を求めました。同時に、「もの」だけでなく「ひと」(=専門的力量ある)の育成、省庁の枠をこえた当事者参加による総合的な検討体制づくりを大きな柱とする、単年度限りでない中長期的な見通しに立っての政策立案を提言しました(資料参照)。

  こうした動きの中で、注目する2つの報告書が出されています。

  一つは、総務省と厚生労働省の「高齢者・障害者の情報通信利用を促進する非営利活動の支援等に関する研究会」報告です。報告は、「高齢者・障害者のIT利用を促進する非営利活動として、全国で62のシニアネット、47のパソコンボランティアを確認」し、「求められる当面の方策」として、「団体の組織化」「情報提供の場」「講師・指導者の育成」「拠点となる施設・機材の確保に対する支援」を指摘しています。

  もう一つは、総務省のIT推進有識者会議です。この会議の第2ワーキンググループは、障害者などの情報格差是正をテーマにして、「使いやすいIT機器・サービスの普及」「使いやすいホームページや放送の普及」「人的サポートのための非営利活動の支援」「人材育成の強化」を柱に検討し、「講習・指導活動を行う地方公共団体などへの支援」として、「重度・重複障害者など一定の条件下で講習を行う地方公共団体などを支援」を指摘しています。

  そうした中で、厚生労働省は「パソコンボランティア育成」「パソコンリサイクル事業」を来年度予算に計上しました。実施にあたっては、市民としての立場からも、厳しいチェックが必要でしょう。

  一方、自治体では、たとえば千葉県のように、IT講習の実施に際して、視覚障害者も受講できるように働きかけ、受講生の障害程度やレベルに応じた、マンツーマン方式の講習を要望、県とともにパソコンボランティアの組織化をすすめています。それぞれの地域の実情に応じた積極的な政策提言と具体的な活動がますます求められます。


3)障害者を対象にしたIT講習会の実態

  日本障害者協議会は、IT講習会の実態を重視し、関東地方に限定して471市区町村を対象に、緊急アンケート調査を実施(回収率53%)しました。その調査結果から見えてくる実態と課題を何点か報告します。

(1)障害者を対象としたIT講習会を行っているのは57市町村で23%。都市部に偏りがあることから、全国的にはさらに低い数値が予想されます。

(2)障害別の受講者数では、肢体不自由、視覚、聴覚障害関係は進んでいるものの、知的障害、精神障害になると前者と比べて特別な配慮や福祉的、専門的な知識を必要とするため、ぐっと受講者も少なくなっています。

(3)講師は業者委託がトップだが、パソコンボランティアがそれに次ぎ、パソボラが担当する場合、補助具や障害者向けのテキストを準備している例が高い。障害当事者が講師となっているところもあります。

(4)会場の設定では、段差、車いす用トイレが留意されています。

(5)講習会後の支援については、どの自治体も終了後の継続をポイントとしているが、パソコンボランティア団体への期待度がハッキリと見えます。

(6)自由記述では、意外にも「募集人数が集まらない」がトップ。そう答えた自治体のほとんどは自治体のみの広報中心の告知でした。

  その他、 「12時間の受講時間では短い」「全盲の方への資材が必要」「講習会後のフォローが必要であり、持続的に活用するレベルになるまでが大変」などが寄せられました。


4)だれもがITを活用できるための提案

  私たちは、障害のある人たちのIT利用には、以下のような「もの」と「ひと」による本格的な支援が必要と考えます。また、障害理解や福祉制度などを学ぶなどパソボラ自身のパワーアップも必要でしょう。

  「パソコンボランティア支援センター」(http://www.psv.gr.jp)による、PSVメーリングリストとPSVホームページの活動を軸にして、次回のPSVCお会いできるまで、ともに、楽しくパソボラにとりくみましょう!


提 案

1)障害者が参加できるIT講習体制の実現と継続を

2)当事者の参画による、IT関連機器、インフラの本格的な普及を
  ・「日常生活用具」にパソコンや周辺機器、携帯電話含めた「IT関連機器」を
  ・ハード、ソフト、ホームページ、携帯電話などのアクセシビリティの確保
  ・公共施設に設置される関連機器のアクセシビリティの徹底
  ・PHSなどの医療機器への影響を明確にし、長期人院患者のためのインフラ整備

3)「ひと」による支援活動の推進
  ・専門家の人材育成
  ・当事者や支援者が相談できる専門機関の設置
  ・組織形態を問わないボランティアなどによる支援活動への支援


<参考>「障害者を対象にしたIT講習会に係るアンケート」について
・内容及び方法
  昨年の「情報通信技術(IT)講習推進特例交付金」により都道府県、市区町村で実施されているIT講習において、障害者を対象にしたIT講習の現状(実施ヵ所数や内容等)を把握するため、「選択式アンケート設問方式」(一部自由記述)により実施。回答用紙を郵送し、ファクスまたは郵送にて回収。
・送付先
  関東圏域(1都6県)の市区町村 471ヵ所(障害者福祉担当者宛)
  ※1 政令指定市の行政区及び三宅村は除く
  ※2 「全国市町村要覧(平成13年度版)」(市町村自治研究会編集)掲載のデータ使用
・送付日及び締め切り日
  2001年11月1日(木)郵送、同月22日(木)締切

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文書名

支援費制度に関する要望

日 付

2001年11月29日

発 番

JD発第01−67号

発信者

日本障害者協議会  代表  河端静子

宛 先

厚生労働大臣 坂口  力

 


 貴職におかれましては、ノーマライゼーション社会の実現に日頃よりご尽力されていることに心より敬意を表する次第です。

 さて、「措置から契約へ」をスローガンとする社会福祉基礎構造改革の象徴ともいえる支援費制度がいよいよ2003年よりスタートとなります。より利用者本位の社会福祉制度の改革の一環として支援費制度が導入されるものと、期待的観測もありました。しかし、支援費制度に関する具体的な内容が明るみにされるにつれ、今までの措置制度との違いの不明瞭さが増していき、しかも弱い立場に立たされている人ほど、厳しい生活を強いられる状況が生まれやすい仕組みとなりつつあることが浮き彫りにされています。新しい制度導入を前に、私たちの不安と懸念はふくらんでいく一方です。

 私たちは、原点にたちもどり、利用者の権利が本当に守られ、ノーマライゼーションの実現に寄与する支援費制度を望む立場から、下記の諸点についてご高配を賜りますよう心よりお願い申しあげます。

  1. 「支給量」や「障害程度区分」の基準作成にあたっては、能力障害に着目するのではなく、障害のある人の社会参加と社会的自立を支える観点で行うこと。また、「支給量」が居宅生活支援、「障害程度区分」が施設サービスの認定基準というように、性質は異なるものの、同程度の障害の場合、このふたつの認定基準に著しい階差が生じないものとすること。
  2. 支援費は、本来利用者に支給され、それを契約に基づきサービス提供事業者に支払い、利用者の自立と主体性を確保していくことをねらいとしていたはずだが、運用としては、利用者から委任を受けたサービス提供事業者に市町村から直接支払われる「代理受領方式」が一律的に考えられている。希望する利用者などに対しては、当初の考え方の通り、利用者本人に支援費が直接支給できるような仕組みをつくること。
  3. 上記2を前提に、既存の行政窓口だけでなく、民間団体の取り組みによるものを含む種々の地域における権利擁護に関する相談援助体制の充実を図ること。
  4. 利用者の権利の明確化を図る観点から、利用者とサービス提供事業者が交わす契約は文書によるものを基本とすること。 
  5. 授産施設については、障害の重い人たちの就労の場としての側面も強いことから、支援費を支給する期間の継続などを前提にした、利用者に不安を抱かせない支援費制度にすること。
  6. 居宅生活支援の「支給決定の際の勘案事項」として、「介護を行う者の状況」があげられているが、障害者の家族からの独立、あるいは社会的自立の必要性の観点から、利用者個人のニーズと希望に着目した支給決定を行うこと。
  7. 同じく居宅生活支援の「支給決定の際の勘案事項」として、「当該指定居宅支援の提供体制の整備の状況」があげられているが、この指定居宅支援の提供の整備については自治体等に整備を義務付けること。
  8. 障害者が介護サービスを選択することを可能とさせ、地域間の格差を是正させていくために、新障害者プランの策定などを通して、計画的な基盤整備をすすめること。
  9. 障害者のニーズを的確に把握するために、情報提供・相談の窓口である市町村は、地域の各種障害者団体等との連携を密にし、協力しながらすすめていくこと。
  10. 現在、障害者施策による介護サービスについては、派遣時間の制限を設けることがないように貴省は自治体に指示をだしているが、支援費制度移行後も同様の考え方ですすめること。
  11. 施設サービスの利用者が病気やけがにより入院した場合、退院した際、もとの施設に戻れることを保障すること。また、当該施設に対しては支援費相当分を保障すること。
  12. 施設サービスの水準については、支援費制度移行後についても、現行の水準を絶対に下回ることがないようにすること。
  13. 支援費制度を真の意味で利用者本位の制度としていくために、3年後をめどに障害関係団体の参加を前提に、見直しを行うこと。
  14. 障害者の家族からの独立、社会的自立の重要性という観点から、費用負担については利用者本人のみとし、扶養義務者に対しては求めないこと。

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文書名

来年度予算等に関する重点要望

日 付

2001年11月27日

発 番

JD発第01−66号

発信者

日本障害者協議会  代表  河端静子

宛 先

自由民主党 政務調査会  障害者特別委員会 八代英太、内閣部会長 鴨下一郎、組織本部厚生関係団体委員長  熊代昭彦

 


 貴党におかれましては、日頃より障害者の「完全参加と平等」の実現にむけてご尽力されていることに心より敬意を表する次第です。

 さて、本協議会としましては、多くの障害者に関する政策課題のなかで、とくに、下記の6点につきまして、重要政策課題であると認識しております。

 何卒、ご高配を賜りますようよろしくお願い申しあげます。

  1. 差別と偏見をまねかない触法心神喪失者問題の解決を
     触法心神喪失者に関する問題の立法的解決においては、精神障害者に対する差別と偏見を助長する内容とすることなく、精神障害をもつ当事者をはじめ関係者との充分な議論を重ねてください。
  2. 精神障害者に対する地域医療と福祉システムの充実を
     精神障害者が地域社会で暮らせるよう、地域の医療体制と、福祉システムの充実を強力に推進してください。
  3. 社会的自立を支える支援費制度に
     支援費制度が2003年度より導入されますが、その支給水準については、障害のある人の社会的自立及び社会参加を充分支えるものとしてください。また、社会福祉基礎構造改革の理念である「利用者本位のサービス」を制度構築の際、徹底して追求してください。
  4. 障害者差別禁止法の立法化を
     障害者に立ちはだかる4つのバリア(@建物・交通、A情報・文化、B諸制度、C意識・こころ)を除去するための法的な対応が求められます。米国障害者法(ADA)をはじめ、英国、ドイツ、オーストラリアなど40数カ国で立法化されています。
  5. 障害者基本法の改正を
     1993年に改正された障害者基本法ですが、その後の社会経済情勢や社会福祉基礎構造改革の動きにあって見直しが求められます。例えば、市町村障害者計画は「努力規定」ですが、これを高齢者地域福祉計画同様、「義務規定」にするなど、新世紀にふさわしい基本法とすべきです。
  6. 所得保障制度の確立を
     自立をめざす障害者にとって所得保障が重要です。社会福祉施策利用にあたって契約方式が進む中、平等性や自己選択を尊重するためにも経済基盤の確立が求められます。資産形成ができにくい障害者にとって、所得の問題は非常に深刻です。

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文書名

声明 私たちは、生命が尊重される国際社会の形成を望みます−テロリズムや戦争は許されません−

日 付

2001年10月30日

発 番

 

発信者

日本障害者協議会

宛 先

政府、マスコミ、関係団体、正会員他

 


 9月11日、米国で起こった同時多発テロ事件によって、多くの市民が生命を奪われました。その後、米国による軍事行動が開始され、わが国でも自衛隊の派遣が決定しました。

 1979年12月の国連総会決議(34/154)において採択された「国際障害者年行動計画」では、「障害者のうち多数の者は、戦争及び他の形態の暴力の犠牲者であるという事実」から、国際障害者年は、世界平和の強化にも結びつけなければならないことを強調しました。
 また、「ある社会がその構成員のいくらかの人々を閉め出すような場合、それは弱くもろい社会なのである」とも指摘しています。 

 私たちは、障害がある人もない人も、また民族や宗教の違いも、お互いがお互いを尊重しあい、多様な価値観があたりまえに存在する社会を望んでいます。障害者問題の解決は人類の平和、福祉、社会の進歩、発展とともにあります。テロリズムや戦争は、許されることのない残虐な行為で、障害者が安心して生きていける社会への重大な挑戦です。 

 いまアフガニスタンでは空爆などによって、子どもたちや障害者、高齢者、多くの一般市民が尊い生命を奪われ、餓え、傷つき、希望をなくしています。同時多発テロ事件のあった米国でも、こころの病で苦しんでいる人たちが多数いることでしょう。

 私たちは、世界平和を希求する国際障害者年(1981年)を推進してきたものとして、一日も早く、生命が尊重される国際社会の形成にむけた平和的解決を求めます。

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文書名

精神障害者政策に関する緊急要望書

日 付

2001年8月2日

発 番

JD発第01−37号

発信者

日本障害者協議会 代表 河端静子

宛 先

心神喪失者等の触法及び精神医療に関するプロジェクトチーム各議員宛(与党及び自由民主党)

 


 日頃より、わが国の障害者施策の発展と充実にご尽力を賜り、厚くお礼申しあげます。
 さて、本協議会は、障害者の「完全参加と平等」を実現させていくために、欠格条項の撤廃、差別禁止法の制定など、障害者諸施策の改革を長年にわたり主張し続けてまいりました。そして最も重要な政策課題として、あらゆる障害を包括し、ニーズに対応したサービスがきちんと受けられる、総合的な「障害者福祉法」の提言をしています。

 ノーマライゼーションの理念に基づき、社会の偏見をなくしていき、精神障害者が地域社会の中で排除されることなく、尊厳を持って生きられる社会システムを構築させ、それに基づく具体的な諸計画の策定が急務であると認識しています。本人の立場にたった医療と福祉サービスが展開されていくならば、精神障害者だとされる人々の犯罪も少なくなると考えます。

 いわゆる「触法精神障害者」の処遇についてとりざたされていますが、本協議会としても、ひとつの結論を出していき、何らかの解決が図られるべき課題であるという認識を持っています。しかし、今日の状況にみられるような、議論の急展開については、戸惑い感を否めません。そのようななか、私たちの加盟団体からも「精神障害者の犯罪における個人の責任能力の有無の判断基準をきちんと設け、それを審査していく機関の設置が必要である」という声や、「触法精神障害者問題がクローズアップされているために、普通に暮らしている慢性期の精神障害者の生活が脅かされている」等の声もあります。

 以上の認識にたち、「触法精神障害者問題」だけが先行している傾向に憂慮し、下記の諸点について具体化され、あるいは検討されることを切に望む次第です。

  1. まず地域医療の充実、そして福祉施策の展開を
      精神障害者が地域社会で尊厳をもって生きられるよう、まず地域医療の充実と、地域生活の支援に向けた福祉施策の拡充を図ってください(総合的な障害者福祉法の制定など)。
  2. 「保護者制度」の撤廃を
      精神障害者の人権を制限している精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の「保護者制度」を撤廃してください。
  3. 人権と合意を尊重した議論を
      「触法精神障害者」の処遇については、人権を十分に配慮し、精神障害当事者、関係者、学識経験者等の意見を十分に汲み取り、合意に向け、論議をおこなってください。

 

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文書名

障害者施策に関する懇談会 意見書

日 付

2001年7月23日

発 番

 

発信者

日本障害者協議会 代表 河端静子

宛 先

内閣総理大臣 小泉純一郎

 


 「完全参加と平等」をテーマにした国際障害者年(1981年)は、わが国の障害者分野にとって、ノーマライゼーションやリハビリテーションの考え方が本格的に導入された年です。これを契機として、障害者基本法の改正(1993年)や障害者プランの策定(1995年)など、わが国の障害者施策は大きく前進しました。
 しかし、欧米などの先進国やわが国の高齢者・児童福祉と比べると、障害者分野の法制や財政は決して十分ではありません。
つきましては、当面重点をおいていただきたい政策テーマを次のとおり記しますので、ご高配の程よろしくお願い申しあげます。

  1. 障害者差別禁止法の立法化
     障害者に立ちはだかる4つのバリア((1)建物・交通、(2)情報・文化、(3)諸制度、(4)意識・こころ)を除去するための法的な対応が求められます。米国障害者法(ADA)をはじめ、英国、ドイツ、オーストラリアなど40数カ国で立法化されています。
  2. 障害者基本法の改正
     1993年に改正された障害者基本法ですが、その後の社会経済情勢や社会福祉基礎構造改革の動きにあって見直しが求められます。例えば、市町村障害者計画は「努力規定」ですが、これを高齢者地域福祉計画同様、「義務規定」にするなど、新世紀にふさわしい基本法とすべきです。
  3. 所得保障制度の確立
     自立をめざす障害者にとって所得保障が重要です。社会福祉施策利用にあたって契約方式が進む中、平等性や自己選択を尊重するためにも経済基盤の確立が求められます。資産形成ができにくい障害者にとって、所得の問題は非常に深刻です。
     

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文書名

IT(情報技術)機器を含めた日常生活用具給付等事業改善の緊急要望書

日 付

2001年7月9日

発 番

JD発第01−26号

発信者

日本障害者協議会 代表 河端静子

宛 先

厚生労働大臣 坂口  力

 


 日頃より、障害者施策の充実にご尽力を賜り、厚くお礼申しあげます。
 さて、7月5日、新聞各紙が伝えたニュースは、障害者や関係者に大きなため息と深い憤りをよんでいます(資料1)。ワープロのかわりにパソコンを支給された障害者に福島市が始末書を書かせたという内容ですが、これは単に当該市だけの問題ではなく、障害者のIT推進にとって見過ごすことのできない、次のような問題をはらんでいます。

  1. 150回国会参議院経済・産業委員会(2000年11月16日開会)におけ る厚生省大臣官房障害保健福祉部長発言「パソコンにつきましては、それ 自体が汎用性があるということと、障害があるがゆえに必要となる用具であるという位置づけが必ずしも明確にできがたい」とも関連し、今回の報道で掲載された貴省の見解は、ITの時代に大きな時代錯誤です。国会や高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部においても、障害による情報格差是正が大きなテーマとされ、各省庁が障害者のIT利用の促進に努力しています。貴省におかれましてもパソコンの周辺機器を助成する「障害者情報バリアフリー化支援事業」(資料2)を今年度よりスタートさせている中で、日常生活用具では、「ワープロ」のみに限定することは時代への逆行です。  
  2. 「ワープロ」は機能が限定されており、さまざまな障害に対応することは困難です。さらに、ワープロ製造からの各メーカーの撤退がつづき、現在はわずか2社となりました。「ワープロ」はこの2社の数台の機種から選択せざるを得ず、店頭での購入は極めて困難な状況にあります。
  3. 障害者の願いと実態を真正面から受けとめれば、「ワープロかパソコンか」という対比ではなく、障害者の表現能力の拡大、書字機能の確保という視点で捉え、その人に必要なIT機器を柔軟に選択できるような制度への改善が切実に求められています。
                                                                    
  4. 日常生活に必要な機器であれば、専門的な判断によって、どのような機器でも、必要ならば支給すべきです。行政窓口には専門家の指導が必要で、書類だけでの判断だけでなく住宅まで出向き、申請された機器よりも適した対策があればそれを紹介し、導入から設置後のフォローまでも人的に支援するための社会システムが必要なのです。

 ITは、障害者にとって無が有になる希望の道具です。ITの活用で、情報にアクセスし情報を発信するなど、知的障害者、精神障害者を含めどのような障害があっても人生はすばらしいと実感できるような社会参加とノーマライゼーションが実現される可能性が広がっています。
 私ども日本障害者協議会(JD)は、1995年から市民的な障害者支援のとりくみである「パソコンボランティア」を推進する一方で、1998年には「障害者に関する総合計画提言」、2001年には「障害者に関するIT(情報技術)施策への緊急提言」など調査、政策提言を行ってきました(資料3)。
 以上の見地から、下記の事項につきまして緊急に強く要望するものです。

  1. 日常生活用具にパソコンやPDA、周辺機器、携帯電話などを「IT機器」として含めること
  2. 行政窓口に専門家を配置し、IT機器の導入から設置後の講習、フォローまで人的に支援する総合的な地域支援システムづくりにとりくむこと

<資料>
1−1 朝日新聞「障害者がパソコン買ったら始末書」
   2讀賣新聞「パソコン購入の障害者作業所に反省文書かせる」

2.「障害者情報バリアフリー化支援事業」について
  視覚障害者や上肢の肢体不自由者が、パソコンを使用する際に必要となる画面音声化ソフトなどのアプリケーションソフトや大型キーボードなどの入力サポート機器などの周辺機器を助成する制度。上限10万円まで。

3−1「障害者に関する総合計画提言」
   2「障害者に関するIT(情報技術)施策への緊急提言」 

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文書名

大阪・小学校児童殺傷事件とこれにまつわる一連の動きを憂慮する声明

日 付

2001年7月4日

発 番

 

発信者

日本障害者協議会 代表 河端静子

宛 先

(報道関係各社)朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、共同通信、東京新聞、産経新聞、時事通信、点字毎日、福祉新聞、NHK、TBS、テレビ朝日、日本テレビ、フジテレビ、テレビ東京、TBSラジオ、ニッポン放送、ラジオ日本、文化放送、J-WAVE
(政府)内閣総理大臣、法務大臣、厚生労働大臣
(国会)衆・参議院の内閣委員会、法務委員会、厚生労働委員会
(政党)自由民主党、民主党、公明党、日本共産党、社会民主党、自由党、保守党

 


  去る6月8日、大阪・池田市で起きた小学校乱入殺傷事件は、あまりにも悲惨で、言葉に言い表しようのない衝撃的な出来事でした。亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈り申しあげるとともに、遺族の方々に対し深く哀悼の意を表する次第です。また、刺傷を負われた児童ならびに教職員、さらには精神面・心理面で大きな痛手を被られた児童ならびにご家族、教職員のみなさまの一日も早い回復を心からお祈り申しあげます。

 日本障害者協議会は国際障害者年(1981年)を契機に設立されたもので、障害当事者、その家族、そして関係者の団体(70団体)によって構成され、「完全参加と平等」の実現、ノーマライゼーション社会の確立を目指し、この20年間余にわたり活動を続けてきました。わけても、政府に対する政策提言やその具現化に向けての要望活動、そして障害のある人々に対する偏見や誤解を取り除く活動に力点を置いてきました。

 私たちは今回の事件によって、精神障害者を含む多くの障害者が、この日本社会に住みづらくなるのではないかという危惧の念を強く抱いています。

 まず問題として指摘したいのは、「精神障害者は危ない」の偏見を助長しかねないマスコミ報道の姿勢です。連日かつ大量のテレビや新聞などを通した報道によって、多くの精神障害を有する当事者は辛苦にさいなまれ、周囲の目が気になり家から出られなくなってしまった人も少なくありません。犯罪と精神障害者とを結びつけるような、あるいはそうしたイメージを感じさせるような報道のあり方については厳しく反省を求めるものです。

 次にこのような社会的風潮の中で急浮上してきた「触法精神障害者問題」等の論議です。この問題に関連して政府・与党からは、入退院の決定権を裁判所に付与するなどを含めた特別立法の制定が取り沙汰されていますが、これについては慎重であってほしいと考えます。少なくとも、今回の事件の現象面のみに影響されるような形での政策検討は、ややもすればエキセントリックなものとなりその結論が部分的で短絡的な内容となりがちです。今大切なことは、総合的で本格的な精神障害者施策を打ち立てていくことであり、そのための論議が可能となるような検討体制をつくることです。貧寒な精神医療施策や福祉施策を放置したまま「触法精神障害者施策」が一人突出するというのは、不十分な施策体系に新たな歪を持ち込むだけではなく、その拡大施行が懸念されるのです。

 本協議会は、かねてより障害種別間の施策格差を問題視し、とくに他の障害者施策と比較して大きな遅れをとっている精神障害者施策については憂慮していました。格差是正策の一環として、すべての障害を網羅した「障害者福祉法」の制定なども提言しています。精神障害の分野で最も重要な視点は、良質の医療を受けられるための地域医療体制の確立であり、地域社会の中で生活することが可能となるような福祉施策の充実です。また緊急の課題としては、人道的に見ても由々しき問題となっているいわゆる社会的入院問題の解消や欠格条項の改正などがあげられます。国会や政府の検討にあってはもちろん、マスコミの報道のあり方にあっても、こうした精神障害者施策全体の改革の必要性を基調とすべきであり、くり返しになりますが「触法精神障害者問題」や特別立法の制定、刑法改正論議の先行だけでは、決して根本的な解決にはならないことを強調しておきます。


 「一部の構成員をしめ出す社会はもろくて弱い社会である」、これは国際障害者年にちなんで記された国連決議の一節です。不幸な今回の事件を、隔離収容一辺倒と偏見・誤解の歴史に決別を告げ、障害者一人ひとりが市民の一員として胸を張れるような社会づくりの新たな端緒とすべきです。本協議会は、ここに改めて国会ならびに政府の精神障害者施策全般にわたる責任ある政策対応を強く求め、マスコミ各機関の冷静で精神障害問題の本質に迫る報道を、そして市民のみなさんの精神障害問題を含む障害分野に対する正しい理解を心から訴えるものです。

以上

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文書名

ハンセン病国家賠償請求訴訟一審判決の受け入れを求める声明

日 付

2001年5月22日

発 番

JD発第01−12号

発信者

日本障害者協議会 代表 調一興

宛 先

内閣総理大臣 小泉 純一郎、法務大臣 森山 真弓、厚生労働大臣 坂口  力

 


 ハンセン病者(回復者を含む)に対する不当な長期隔離政策に対して、熊本地裁は、憲法違反であり、国と国会はその誤りを認め、謝罪と国家賠償金を支払うことを内容とする判決を下しました。当然すぎる判決であります。
 ハンセン病に関しては、すでに1940年代に特効薬プロミンが開発され、50年代には、その薬効が顕著であることが、わが国でも証明された時期であります。
 このような実情を知る東京のある民間授産施設では、1970年に、併設する低額住宅にハンセン病回復者を入居させ、障害者等と共に生活しながら就労することを始めており、その後、10名余を受け入れてきたという事実がありますが、その同じ時期に、厚生省(現厚生労働省)は、ハンセン病患者自治会の役員が陳情に訪れるなどの際、多数の衛士が一階フロントに詰め、必要な場所以外は通行させないよう綱を張るなど、ものものしい警戒が実施されておりました。当時もまさに偏見差別の総本山の感があったのであります。
 国のハンセン病対策の所管庁がこのような姿であり、この頑迷固陋さがハンセン病に罹った本人および家族を悲劇に至らしめた張本人であることは明白であります。
 また、1959年に、ハンセン病患者の猛反対と国際的動向を無視して、らい予防法を制定したことは、国会の責任であり、犯罪的行為といわなければなりません。
 ハンセン病に対してとられてきた国の施策は、よく吟味するまでもなく、その誤りは明白であります。
 一審判決を否認して上告し、控訴審に持ち込み、問題解決をさらに先送りすることは、国による犯罪の継続を意味し、高齢化している原告にとっては、判決を無にするものとなりかねません。
 国は、一審判決を受け入れ、速やかに問題の決着を図られることを強く求めます。


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