はじめに
1.新たな組織構築と財政危機打開のための特別対策の実施
2.調査研究及び障害者施策への提言、要望活動の実施
3.社会啓発活動の実施
4.情報収集及び提供活動の実施
5.国際交流事業の実施
6.各障害者団体等との連携及び新規会員の加入促進
7.設立20年記念事業(2000年度事業)の継続実施
8.会務の運営
設立20年の記念事業を終え、新世紀に入った本協議会(JD)は、さまざまな意味で大きな節目を迎えている。
具体的な課題として集約すると次のようになろうが、これらの一つひとつを如何に達成していくか、あるいは達成にむけての基礎的な条件をつくっていくか、このことが今後のJDの存在の意味に影響することになろう。新たな段階での課題を基調としながら、事業計画の詳細について吟味していただきたい。
その第1は、障害分野に関する法律や制度、施策の実態と問題点を整理し、21世紀の初頭を目標とした重点課題を明確にすることである。本協議会が1998年度にまとめた「障害者に関する総合計画提言」をベースとしながら、とくに@本格的な所得保障制度の確立、A家族制度・扶養義務制度(民法877条〜881条)の改正、B障害関係福祉3法(身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律)の一元化(「障害者福祉法(仮称)」)、C障害の定義と認定・等級制度の見直し、D障害者差別禁止法(条項)の制定等については、今日的な論拠の構築を含め再提言する必要がある。また、2003(平成15)年度より実施される第3次障害者基本計画ならびに設定が予想されている新・障害者プランについて、その策定に効果的な影響を及ぼすよう準備体制をとらなければならない。この他当面の課題となるが、省庁再編(審議会のあり方を含む)やIT(情報技術)促進政策と障害分野との関係についても集中的に対応していく必要がある。
第2は、関係団体との連携を強化し、障害者団体の新たな方向性の模索と運動・民間活動の高揚を図ることである。とくに関係団体との連携については、国内・国際関連の重要テーマを通してこれを推進していきたい。具体的には、新・障害者の十年推進会議の構成団体として来年の「アジア太平洋障害者の十年」最終年記念フォーラムを成功させていくことであり、また国連総会での「障害者の権利条約」の採択にむけても情報の収集を含め積極的に対応していく必要がある。こうした重要テーマについて共同行動をとりながら団体相互の信頼関係を深め、わが国における障害分野の将来像を模索し合う関係を発展させていきたい。
第3は、JDの機能の強化ならびに組織・財政基盤の安定を図っていくことである。設立20年の節目を越え、また新たな関連動向の下で、JDの現状と近未来について検討を加えていく必要がある。なお、懸案となっているJD組織の社団法人化については、これらの検討課題に位置づけながら、新たな選択を含め法人化の方向を探っていかなければならない。とくに財政事情は極めて深刻なものがあり、活動の維持に支障をきたしかねない状況にある。正会員(個々の団体)の多くがそれぞれに財政面の課題をかかえながらのJDの財政問題であり、また折からの低金利情勢下での民間助成団体活動の不振ともあいまって、いよいよ厳しいものがある。現状と問題点を明らかにし、正会員の知恵と力を結集しながら好転の道を探っていかなければならない。
以下、本年度事業計画の詳細を記す。
財政は極めて深刻な状況にあり、@当面の打開策、A中長期的な見通しの設定、この2つの観点で理事会及び総務委員会が中心となり、正会員の協力を求めながら次の活動を行う。
この間の経過を踏まえ、既定方針(社団法人化)の再検討ならびに「特定非営利活動法人」(NPO法人)の認証を視野に入れた法人化の検討と推進を図る。
(1)当面の活動
@新規会員(正会員、賛助会員)の獲得
A「JDジャーナル」購読会員の飛躍的な増
B民間助成団体への特別助成の依頼
Cその他緊急策の実施(復刻版(1980〜2000年度)「JDジャーナル合本」の販売促進など)
(2)中・長期的な活動
@独自事業の研究・開発
A委託事業の検討
政策委員会及び政策委員会内に設けた研究会、また、情報通信委員会及び情報通信ネットワークプロジェクトを中心に、関係者や関係団体等の協力を得ながら、次の課題について調査研究や提言、要望活動等を行う。
2002年に終了する障害者プランの評価と「新・障害者基本計画、新・障害者プラン」の展望を探るため、企画・障害者の日委員会を中心に企画・運営を行い、次の日程等で開催する。
(日 程)2001年12月8日(土)
(会 場)全社協・灘尾ホール(東京都千代田区)
障害者のパソコンの利活用を支援するボランティア(パソコンボランティア)の研修や全国的交流をはじめ、広く市民への啓発を目的として、情報通信ネットワークプロジェクトを中心に企画・運営を行い、次の日程等で開催する。
(日 程)2001年12月8日(土)、9日(日)
(会 場)全社協・灘尾ホール(東京都千代田区)他
会員や関係団体・機関、企業、協力者をはじめ広く市民を対象に、本協議会の活動状況や障害に関する各種情報を提供するため、広報委員会を中心に企画・編集を行い、毎月1回、5,000部を発行する。
会員ならびに関係機関等での保存を図るため、昨年度発行した「JDジャーナル」を合本として発行する。
正会員、理事を対象に、理事会や委員会活動、国会・行政の動向等に関する情報を簡易にまとめ、Faxにより適宜送付する。
広く市民を対象に、本協議会の活動状況や活動記録等に関する情報を掲載する。
事務局内に専門の相談員を配置し、パソコンの利活用に係る障害者や関係者からの相談やパソコンボランティアの派遣コーディネートを電話やEメールにより行うとともに、専用のホームページ(http://www.psv.gr.jp/)を通じて、パソコンボランティアに関わる各種情報の提供を行う。
障害に関する各種資料を入手し、会員を中心に提供する。
2000年6月に開催された国連・アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)で採択された「107の項目」について、新・障害者の十年推進会議との協調により、本協議会の正会員をはじめ関係団体に広く啓発を行う。
国際委員会を中心に、新・障害者の十年推進会議(本協議会、日本身体障害者団体連合会、全国社会福祉協議会、日本障害者リハビリテーション協会)を通じて役員等を派遣し、会議の成功に協力する。
(日 程)2001年12月11日(月)〜14日(金) (開催地)ベトナム・ハノイ
(主会場)ジアンボ国際展示場
昨年12月に発足した「アジア太平洋障害者の十年」最終年記念フォーラムの主唱団体として、2002年のフォーラム実施にむけて、正会員の協力を得ながら、積極的に推進する。
<主唱団体>
日本身体障害者団体連合会、日本障害者協議会、全国社会福祉協議会、日本障害者リハビリテーション協会、2002年第6回DPI世界会議札幌大会組織委員会、アジア太平洋障害者の十年最終年記念大阪フォーラム組織委員会
<事業計画>
(1)「アジア太平洋障害者の十年」最終年国際会議
@2002年第6回DPI世界会議札幌大会
A第12回RIアジア太平洋地域会議
B「アジア太平洋障害者の十年」推進キャンペーン大阪会議
(2)「アジア太平洋障害者の十年」最終年国内推進キャンペーン
@欠格条項総点検キャンペーン
A市町村障害者計画の策定推進キャンペーン
B情報バリアフリーとIT環境の整備推進キャンペーン
構成団体の協調により、各種活動を積極的に展開する。
本協議会を含む18団体により構成する「障害者放送協議会」に参画し、障害者の放送に関する諸制度・施策について調査研究等を行う。
正会員以外の関係団体とも積極的に連携し、諸活動に協力する。
正会員をはじめ関係機関・団体が主催する会議、研修会等に、必要に応じて役員等を講師や委員として派遣する。
広報委員会内にプロジェクトを設け、国際障害者年日本推進協議会設立時から今日までの活動記録を中心に、障害問題を広く社会に啓発する内容で編集・出版する。
定款に基づき、協議員総会、理事会を必要に応じて開催し、また、定期に監事の監査を受け、適切な会の運営を図る。
委員会設置規程に基づき、常設委員会(@総務、A政策、B企画・障害者の日、C広報、D国際、E情報通信)及び常設委員会内に設けられた小委員会(研究会、プロジェクト)を定期的に開催し、各種事業の推進を図る。
諸規程を見直し、必要に応じて新たな規程を整備する。
※法人格略