VOL.22-6 | 通巻NO.267 | |
作 家 | 飯田弘道(いいだひろみち) | |
作品名 | 初秋・風一陣 | |
解 説 | 百日草のお花畑はカラフルでそれだけで十分絵になります。 でも、平凡過ぎて面白みに欠けるので、風を吹き込んでみました・ すると、どうでしょう。絵に活気が生まれますね。 画家の作家たる由縁もきっとそこにあるに違いありません。 しかし、絵は変化球でなく、直球で勝負すべきと常々肝に銘じているのですが。 (東京コロニー・アートビリティ提供) |
巻頭言 | 1 | 「10月15日」という日 |
・・・JD理事 太田 修平 | ||
特 集 | 2 | 障害者差別禁止法への展望 |
3 | T.世界の障害者差別禁止法の現状と課題 | |
・・・ 東京アドヴォカシー法律事務所弁護士 池原 毅和 | ||
5 | U.「国連・障害者権利条約特別委員会」傍聴団の報告 | |
・・・DPI日本会議事務局長 三澤 了 | ||
V.障害のある人の権利法、差別禁止法への取り組み | ||
7 | 「障害者の権利法、差別禁止法の取り組み」について | |
・・・財団法人全国精神障害者家族会連合会専務理事 江上 義盛 | ||
8 | 障害者差別禁止法−要綱案の作成にむけて | |
・・・DPI障害者権利擁護センター所長 金 政玉 | ||
9 | 聴覚障害者の基本的人権の回復をめざす取り組み−ろうあ運動の足跡− | |
・・・財団法人全日本聾唖連盟副理事長 黒崎 信幸 | ||
10 | 障害者差別禁止法への取り組み−視覚障害の立場から | |
・・・社会福祉法人日本盲人会連合理事 時任 基清 | ||
11 | 差別禁止法と知的障害者 | |
・・・社会福祉法人全日本手をつなぐ育成会権利擁護委員長/毎日新聞記者 野沢 和弘 | ||
12 | 日本弁護士連合会における「障害のある人に対する差別を禁止する法律」の制定を求める動きについて | |
・・・日本弁護士連合会 障害のある人に対する差別を禁止する 法律に関する調査研究委員会事務局長 野村 茂樹 |
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Information | 13 | 団体・地方・行政の動き、トピックス、お知らせ |
小野 隆 | ||
16 | 次号予告・活動日誌(7月) |
「10月15日」という日
JD理事 太田 修平
北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)による拉致事件の被害者が10月15日一時帰国した。急展開である。同じ10月15日「アジア太平洋障害者の十年」最終記念フォーラムの第1段として、DPI世界会議札幌大会が始まった。国内外から約3,000名の障害者及びその関係者が集まった。拉致事件報道がなければもっと大々的に新聞・テレビで取り上げられていたかと思うと、少し残念である。
しかし、人権問題という観点に立つならば拉致事件と障害者問題には多くの共通点を見出すことができる。開会式でDPI世界会議前議長のジョシュア・マリンガ氏(ジンバブエ)は障害者権利条約の制定の必要性を訴える中で「障害者問題は人権問題であり、貧困や飢餓の問題であり、人種差別問題でもあり、あらゆる差別や人権の問題に通じるひとりひとりにとって重要な問題である」と力説した。
ともすれば私たちは障害者の問題ばかりに目を奪われてしまう。支援費の問題や、新障害者基本計画や新障害者プランの問題など、障害者施策をめぐる政府の動き自体があまりにも早く、それに追いついていくのも精一杯なのだからしかたがない面もある。しかしマリンガ氏は「それを乗り越えなければならない」と言っているのである。
私たちの問題は山積している。国際的には障害者権利条約の制定であり、国内的には障害者差別禁止法やサービス法としての総合的な障害者福祉法の制定などである。これらの目標を勝ち取っていくにはまさに障害者問題を人権問題や差別問題と捉え関連づけながら、他の人権団体や多くの市民とともに行動することが重要となる。
ところで、「アジア太平洋障害者の十年」最終年を飾る記念フォーラムは「大阪宣言」を採択し大成功に終わった。今後、国内的には組織と運動の協力関係の強化が求められる。私たちの真価が問われるのはこれからだろう。その成否は複眼的な視点を持てるかどうかに大きくかかっている。
それにしてもマリンガ氏の言葉には重みがあった。アフリカという地で障害を持ちながら、貧困や飢餓、さまざまな政治的な争いの中で、人権や人間の尊厳について単なる理念ではなく、生と死の間にいる現実の厳しさから発せられたメッセージであった。