2002年「JDジャーナル」8月号

2002年「JDジャーナル」8月号表紙 VOL.22-5 通巻NO.266
作 家 夢村(むそん)
作品名 わらべ
解 説  アートビリティでは、作品を登録する際、「何らかのメッセージが感じられる作品であること」を条件のひとつとしています。しかし、この作品はメッセージというよりも、音楽、そう童歌が聞こえてくるような気がしてなりません。
 「かごめかごめ」「七つの子」「赤い靴」など…。耳をすますとかわいい子どもの歌声が聞こえてきませんか?
 “生”を感じる作品とは、このような作品のことなのかもしれません。

(東京コロニー・アートビリティ提供)

* Contents *

巻頭言 後世に恥じない新基本計画を
・・・JD常務理事 藤井 克徳
特 集 障害者権利条約制定にむけた議論はじまる!
−「国連・障害者権利条約特別委員会」傍聴団からの報告−
T.国連委員会で、初めてNGOの参加が認められる!−A班報告−
・・・ 「アジア太平洋障害者の十年」推進NGO会議(RNN)事務局長 丸山 一郎
U.第2回特別委員会は来年春、ニューヨークで−B班報告−   
・・・国際リハビリテーション協会(RI)副会長 松井 亮輔
障害のある人の権利及び尊厳の保護及び促進に関する包括的かつ総合的な国際条約に関する特別委員会の報告書案 
訳/川島 聡
団体の動き 10 日本福祉のまちづくり学会・第5回全国大会 
・・・福祉のまちづくり学会幹事/JD広報委員 八藤後 猛
Information 12 団体・地方・行政の動き、トピックス、お知らせ
小野 隆
加盟団体紹介 15 難病対策の拡充をめざす 
・・・全国難病団体連絡協議会事務局長 坂本秀夫
16 次号予告・活動日誌(6月)

* 巻頭言 *

後世に恥じない新基本計画を

JD常務理事 藤井 克徳


 新しい障害者基本計画と障害者プランの策定が大詰めを迎えている。年の瀬には発表になるとのことである。障害者基本法によって政府に基本計画の策定が義務付けられてからは初の長期計画となり、また21世紀の障害者施策の行方を占うという点からも、この時期の基本計画とプランは特別の意味があるといえよう。

 気になるのは出来栄えである。この先10年間に及ぶ長きにわたる計画であり、扶養義務制度や障害認定・等級制度の改正といった真髄的な政策課題については、少なくとも計画期間中の着手を明言すべきであろう。また前回のプランの策定経緯を想い起こす時、数値目標が当初のスケルトン(骨格)案よりだいぶ縮小させられたこと、旧厚生省所管施策のみに終わり障害者プランというよりは「障害者保健福祉プラン」となってしまったこと、これらの轍を踏むようなことがあってはならない。

 輪郭が固まりつつあるこの時期ではあるが、あえて注文をつけたい。策定にあたっての目安、構えについてである。「4つの尺度」として掲げることにする。第一は、サミット参加国など欧米の関連基本施策と比較しながら国際水準に近づけることである。第二は、我国における高齢者施策や児童施策との整合性を確保することである。例えば高齢者対象のグループホームとの比較で、支弁される工費の差異に合理性があるのかどうか、厳格にチェックしなければならない。第三は、過去と比較して好転の度合いを推し測ることである。我国における障害分野の恥部と言われて久しい精神障害者の社会的入院問題などは、ほとんど固定化の様相にある。有効策には、速度感や変化感が伴わなければならない。第四は、当事者ニーズとの適合性についてである。基本計画やプランの主人公は、あくまでも障害のある人々なのである。くれぐれも霞ヶ関ペースであってはならない。

 「もし」とか「たら」「れば」は歴史学の禁句とされている。しかし、障害者施策を顧るとき「もしあの時の制度改正がこうなっていれば」、おう思いたくなることが多過ぎる。10年後、20年後に、「もし2002年の計画策定がもう少しこうなっていれば」、未来の後輩たちにこう言わせてはならない。歴史の評価に耐えられる計画・プランとしていくために、政府関係者はもとより、関係団体においてももう一段の奮起が求められよう。


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