2002年「JDジャーナル」7月号

2002年度「JDジャーナル」7月号表紙 VOL.22-5 通巻NO.265
作 家 夢村(むそん)
作品名 われら海の子
解 説   近ごろの子どもはコンピューターゲームに夢中で、外で泥んこになるまで遊ぶということがなくなりました。
 昔はたくさんあった空き地が、今では高層ビルになってしまったからでしょうか。
 夏になると海に行って、真っ黒になるまでおもいっきり遊ぶ・・・。その姿は今では幻のようです。自然の中で育つ野生児をまたみたいものです。

(東京コロニー・アートビリティ提供)

* Contents *

巻頭言 道路交通法第88条欠格条項の改正に思う
・・・JD理事/全日本ろうあ連盟副理事長 黒崎 信幸
特 集 「アジア太平洋障害者の十年」最終年事業を主軸に
 −日本障害者協議会第10回協議員総会、開催
日本障害者協議会2002年度事業計画 
パラボラアンテナ きっかけを逃がすな
・・・ 花田 春兆
加盟団体紹介 社団法人日本理学療法士協会の活動概要
・・・ 日本理学療法士協会理事 工藤 俊輔
日本脳外傷友の会
・・・ 日本脳外傷友の会会長 東川 悦子
Information 11 団体・地方・行政の動き、トピックス、お知らせ
・・・ 広報委員 大野 智也
トピックス 14 いま輝いて生きること(下)
・・・ 第21期女流王将 石橋 幸緒
15 イベントのご案内
16 次号予告・活動日誌(5月)

* 巻頭言 *

道路交通法第88条欠格条項の改正に思う

JD理事/財団法人全日本ろうあ連盟副理事長 黒崎信幸


 

 財団法人全日本聾唖連盟は昭和30年代初頭から「ろうあ者にも運転免許を」と言うスローガンを掲げ、警察庁に陳情・要求を繰り返し、世論にも訴えてきました。

 ご承知のように、1998(平成10)年9月から2000(平成12)年9月まで「聴覚障害者を差別する法令の改正をめざす中央対策本部」で、聴覚障害者関係9団体で「欠格条項撤廃」の署名運動と、「早期改正を求める」地方議会請願運動を全国的に推進し、署名は223万人が賛同し、1030の地方議会が私達の請願を採択し「国に意見書を提出した」という結果を出しました。

 このような流れの中で昨年は、薬剤師法をはじめ大幅な法律の改正を見ましたが、正直なところ、道路交通法88条の欠格条項の廃止は「まやかし」でした。

 確かに欠格条項が記載されていた道路交通法88条の「耳の聞こえないもの」はなくなりましたが、補聴器をつけて「10メートル離れて90ホーンの音が聞こえる」こととした従来の省令の「適性検査」は残しているので、まったく耳の聞こえない人には、今までと同じに運転免許は駄目ということです。私たちろうあ者にとっては「なんだ!こりゃー法律が変わっても、現状はなにも変わらないじゃあないか。警察庁は今までなにをしてきたのだ!」というのが正直な気持ちです。

 警察庁は1973(昭和48)年に「補聴器を装着して適性検査に合格すれば自動車の運転はOK」とし、聞こえなければ駄目と言っていた頃より大きく前進しました。以来、補聴器を付けて運転免許試験に合格した聴覚障害者は2万人にのぼります。

 一方、1973年から今日まで、聴覚障害者を取り巻く状況は大きく変わりました。例えば、1973年頃、聴覚障害者は電話の恩恵を受けること等考えられませんでしたが、国際障害者年の1981(昭和56)年にはFAXが広まり、ここ5〜6年携帯電話のメール通信が普及し、健聴者並みに携帯電話を使いこなす世の中になったというのに、ろうあ者の運転免許だけは30年近く、全然進歩がないということはどういうことでしょうか。      

 耳の聞こえる人たちは「聞こえない人が自動車の運転をするなど『危ないことであり』とんでもないこと」と考えます。確かにクラクションや踏み切りの警報機は聞こえませんが、それでは「聞こえれば安全」と言えるのでしょうか。かくいう私自身、まったく聞こえない耳で40年間、毎日運転していますが、聞こえないために起こった事故はありません。

 先進国といわれる欧米諸国はもちろん、タイや韓国でもろうあ者に自動車運転免許証を与えていますが、日本のろうあ者に対する運転免許制度はどこから見ても後進国そのものです。私たち、ろうあ者が声を大にして訴える時代は終わりました。これからは社会全体がろうあ者の車社会への参加の道を開く時代に来ています。大きく扉を開くように、ろうあ者は扉の前で待っているのです。


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