2002年「JDジャーナル」5月号

2002年「JDジャーナル」5月号表紙 VOL.22-2 通巻NO.263
作 家 夢村(むそん)
作品名 鯉のぼり
解 説  高層ビルなどに“囲まれた街”ではなかった頃、ネオンの光で“眠らなかった街”ではなかった頃、日本は、昔ながらの祭事を大切にしていました。
 端午の節句では、空を自由に泳ぐ「鯉のぼり」に、自分たちの夢と希望を込めて、高く高く上げる・・・。今では忘れられている“たいせつなこと”が、たくさんつまった時代だったのです。

* Contents *

巻頭言 アジア太平洋障害者の十年:ネットワークの形成と発展
・・・JD理事 佐藤 久夫
特 集 障害のある人に係る権利擁護を考える
T.解説/人権擁護法案について
・・・法務省人権擁護局付 中俣 千珠
U.人権擁護制度の国際動向
・・・獨協大学法学部国際関係法学科 専任講師 高佐 智美
V.障害のある人に係る権利擁護とは?−人権擁護法案の内容にふれて
・・・法政大学名誉教授/JD政策委員 高藤 昭
JDの動き 教育懇談会の開催報告
・・・ 全国/LD親の会事務局長/JD政策委員 山岡 修
パラボラアンテナ 10 SSKよ・きえるな・消されるな
・・・俳人 花田 春兆
アジア太平洋障害者の十年 11 ・第6回DPI世界会議札幌大会、参加受付はじまる
・「アジア太平洋障害者の十年」継続決定−第58回ESCAP総会
Information 12 団体・地方・行政の動き、トピックス、お知らせ
・・・JD広報委員 大野 智也
15 正会員のイベント予定
16 次号予告・活動日誌(3月)

* 巻頭言 *

アジア太平洋障害者の十年:ネットワークの形成と発展

JD理事 佐藤 久夫


 昨年秋に来日した香港市立大学のジョセフ・コック先生が強調していたように、今年で終結する「アジア太平洋障害者の十年」の成果の1つは「ネットワークの発展」であろう。

 この10年間、第1に、新たに各国でろう者の組織ができ、昨年12月のハノイでの「十年」キャンペーン会議では800人もの障害をもつベトナム人が全国から集まるなど、「各国内での障害者を中心とした民間団体の連携」が強まった。第2に、こうしてできた国内障害者組織がまとまってDPI(障害者インターナショナル)に加盟したり、障害者作業施設関係者がアジア太平洋ワークセンターネットワークを立ち上げたり、RNN(アジア太平洋障害者の十年推進NGO会議)が発足・発展するなど、「アジア太平洋地域での障害当事者団体・民間団体のネットワーク」が強まった。

 第3に、国連ESCAP(アジア太平洋経済社会委員会)が事務局を務めるTWGDC(障害問題作業グループ)にはこの地域の主な障害関係組織が参加しており、「官・民」の連携がかなり確立し、習慣化した。現在RNNは13の課題別国際タスクフォースを立ち上げて「十年の評価と今後への提言」を作成しつつあるが、ESCAPは各国政府へのアンケート調査の結果をRNNに提供するので活用してほしいといっている。

 これら3種類のネットワークのすべてで、日本の人的・資金的貢献が極めて大きな役割を果たしたと思われるが、どなたかにきちんとまとめてもらいたいものだと思う。

 このようなネットワーク、とくに第2のそれをベースに、上記の13のRNNタスクフォースが作られた。13は教育、雇用など「十年の行動課題」の12領域に女性障害者問題を加えたものである。障害当事者を中心に、各国から、また各団体から4月20日現在で約90人が参加しており、やがて200名程度になると予想される。すでに補助機器タスクフォースでは、「107の目標」をより細分化したアンケート用紙を各国政府などに送付しはじめた。

 ネットワークを一層強化すべく、IDA(国際障害同盟)のアジア太平洋版(APDA)をという声が高まっている。これができれば13のタスクフォースはその調査研究部会へと発展するのであろう。しかし「十年」の最大課題の1つは地域の偏りであり、南太平洋や中央アジアではほとんどタスクフォースに参加していないし、「十年の宣言」の首長署名もほとんどしていないということに注目しなければならない。


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