去る21714時より、公明党・国土交通部会、同社会保障制度調査会、同厚生労働部会、同障害者福祉委員会の各会長・部会長による懇談会が衆議院第1議員会館第4会議室で開催されました。

 「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律案(新バリアフリー法)」が近々国会に提出されるため、JDはじめ日本盲人会連合会、全日本聾唖連盟等8団体との懇談会が持たれました。

 JDでは14日の第10回理事会で、この招きに応ずるに当たって、東横イン問題とも関係して、「ハートビル法」と「バリアフリー法」の改定の時期でもあり、以下の要望書を提出することとし、当日手渡しました。

 

 

2006年2月17日

 

公 明 党 様

 

日本障害者協議会

代表 勝又和夫

 

東横イン問題の再発防止を求め、

バリアフリーの権利化の実現等を求める要望

 

 貴党におかれましては日頃より、障害者施策の充実、ならびに、社会のバリアフリー化・ユニバーサルデザイン化にご尽力されていることに心より敬意を表する次第です。

 私たち日本障害者協議会(略称JD)は、全国70に及ぶ障害当事者・関係者等の団体で構成されています。「完全参加と平等」をテーマにした1981年の国際障害者年前年の1980年に、国連の行動計画の推進を目指し創立されました。

 今回、障害のある人が使いやすい客室や、駐車場、トイレ、そして点字ブロックなどの設備を申請段階では整備しておきながら、実際には無許可でこれらを他に転用するなどの、ビジネスホテル東横インの不正改造問題が発覚し、私たちは大きな衝撃を受けております。

1994年画期的なハートビル法(高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律)が施行されました。これは国際障害者年のテーマである「完全参加と平等」の実現を求めていた私たち障害者団体が、アメリカにおいて障害を持つアメリカ人法(ADA)の成立に大きな励みを受け、全国各地で“福祉のまちづくり” 運動を繰り広げていった成果でした。2000年には交通バリアフリー法(高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律)も施行され、バリアフリーの流れは確かなものになり、加速していきました。

そのような中で全国展開をしているビジネスホテルチェーンの東横インの不正改造は悪質なものであり、障害のある人の社会参加を、法的にも、理念上も、そして何よりも実態的に阻む行為といえます。

JDはこの問題の原因について、企業倫理にあり、責任の所在は東横インという企業そのものにあるとは考えます。しかし、既存のハートビル法の中に事業者に抜け道を与える問題点があることは否めません。

その第一は障害者の権利や差別禁止という視点の欠落です。2004年に改正された障害者基本法第3条第3項では「何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない」としており、更には、第18条では、公共的施設のバリアフリー化が謳われています。

政府はハートビル法と交通バリアフリー法を一緒の法律にした改正を行おうとしています。この機会に障害のある人の“利用する権利”または“移動する権利”をまず法の中に位置づけ、これを犯した場合は、罰則規定を設けることなどが検討されるべきであると考えます。

東横イン問題の再発を防止し、障害のある人の社会参加が権利として保障されるバリアフリー社会の実現をめざして、下記の諸点につきまして国会の場などを通してご尽力いただきたくお願い申し上げます。

                  

1 不正改造を行っている対象建築物はまだ他にもある可能性もあり、総点検を行うこと。

2 現在検討されているハートビル法と交通バリアフリー法の改正において、障害者の“利用する権利”及び“移動する権利”を明記し、それを基点とした法体系と政策を築くこと。また、「特定建築物」の規模の面積をより小さなものにしていくと同時に、その規模に満たない小規模な建築物においても、可能な限りバリアフリーに向けた整備が進められるような誘導策を講じること

3 ハートビル法等の法令に違反した事業者に対して、罰則規定を強化させる等、法の強制力をさらに高めること。

4 建築物等の監視体制の中に、当事者からの視点を重視し、障害者団体を組み入れること。

以上


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