●最新のニュース 20060126
公明党からの申し入れにより1月26日(木)、JDの勝又代表など理事会メンバーは、障害者政策のあり方について下記要望に沿って懇談をもった。
公明党からは、同党の社会保障制度調査会・障害者委員会委員長の高木美智代衆議院議員、渡辺孝男参議院議員が出席した。
要望書の補足説明を行った藤井常務理事はその中で「自立支援法の施行に際し、各自治体が障害者自身や家庭に対して資産調査を行っており、人間としての尊厳を傷つけるものであり、大きな問題で、早急な立法府としての対応を求めたい」と話した。
高木議員は「親亡き後のため考え地道に蓄えている人も少なくないと思う。そういう観点で慎重に対応をする必要がある」と答えた。
所得保障問題を含めた附則や附帯決議等の取扱いについて「重要な課題ばかりと認識している。しっかり対応していきたい」と答えた。そして「真に障害者の自立支援させていくために党として頑張っていきたい」と付け加えた。
この日JDからの参加者は以下の通り。勝又代表、吉本副代表、東川副代表、藤井常務理事、太田理事、小野事務局長の6名。
要望内容は以下の通り。
障害者政策に関する要望
貴党におかれましては、日頃より障害者政策の充実に向けご尽力されていることに心より敬意を表する次第です。
さて、今年は障害者自立支援法のスタートの年で、多くの障害当事者は未知なる期待を感じる一方で、「今後生活はどうなるのか」という不安にさいなまれているのが実際の姿です。
障害者自立支援法の施行によって、従前の障害者の生活を後退させることがないように、それだけではなく積み残しの課題の解決に系統的かつ精力的に取り組んでいただきますように、改めてここに貴党のご高配をお願いする次第です。
記
【障害者自立支援法の施行に関わる緊急課題】
1.修正された附則ならびに国会での附帯決議等の完全履行を
障害者自立支援法が国会で審議・成立する過程で、与党の修正で附則が設けられ、また衆参両院で附帯決議がなされた。いずれも重要な内容であり完全な履行が求められるが、これを実質化していくために貴党として積極的な役割を果たしていただきたい。
2、施策水準の低下を避けるための緊急対応を
障害者自立支援法の施行が近づくにつれ、さまざまな問題点が顕在化している。改めて新たな利用者負担制度(定率負担)がいかに厳しいものであるか、また各種事業(施設制度)に対する運営費基準額の引き下げが懸念されるところである。貴党として、現時点での実態を速やかに掌握し施策水準が低下しないよう、政省令での対応を含め緊急の措置を講じていただきたい。
【障害者施策の中長期的課題】
1.障害の重い人の所得保障制度の早期確立を
障害者自立支援法によって、定率負担が導入され、障害の重い人の生活状況はますます厳しいものとなっている。家族から独立した生活ができる所得保障の確立は早急な課題。
2.社会資源の整備を計画的に推進するための特別立法を
ホームヘルプサービスや、小規模作業所など、社会資源が整備されなければ、障害者の地域生活は不可能。特別立法で強力な推進が求められる。
3.すべての障害を包括する総合的な障害者福祉法の制定を
いわゆる難病や高次脳機能障害など、障害の谷間におかれている人が多く、サービスが受けられない現実がある。必要に応じた十分なサービスが受けられる法の制定が必要である。
4.民法の扶養義務範囲の見直しを
二十歳を過ぎた成人障害者が親兄弟から扶養されることなく、一個の人格を有するものとしてみなされることが重要。北欧でとられているような法が求められる。
5.障害者差別禁止法の制定を
障害を理由にした差別を禁止し、もし被害にあった場合、救済を受けられる、個人としての尊厳が真に尊重された、実効性のある障害者差別禁止法の一日も早い制定が求められる。
6.貴党としての系統的な検討体制の強化を
以上の諸課題を探求していくためには系統的で専門的な検討体制が不可欠である。公明党として独自に、また立法府内の検討体勢について、具体的にお考え頂きたい。その際、関係する民間団体の意向も反映できるような仕組みとしていただきたい。
●最新のニュース 20051222
12月21日(火)日本障害フォーラム(JDF)は、厚生労働省の保健福祉部藤木課長らと懇談を持った。これは11月30日に提出した要望書に基づくものであった。JDから藤井常務理事と太田企画委員長が参加した。
冒頭、藤木課長はその日予算内示があったことを述べ、「高齢化の中にあって厚生労働省の予算は前年度比0.6%の伸びであるが、障害関係の予算は8.1%伸びている。省内的に見れば、様々な評価があることだろう」とした。
また「定率負担(応益負担)の上限額について当初”一般”については4万200円であったが、与党議員の強い働きかけによって3万7200円になった」と語った。
地域生活支援事業(来年10月〜)には半年分として200億円を付けた、とした。移動介護はこの事業によって行われることになるが、「国としてガイドラインを出す考えがあるか」との質問に対し課長は「ガイドラインを出すつもりはないが、各地で実施している”よい事例集”は出す考えである」と述べた。これに対して「どういう観点に立って”よい”と見なすのか」との質問に対し、「国としてはそういう判断規準は持てない」とした上で「モビリティを高める事例集としたい」と補足した。
自立支援医療について質問も多く出された担当者が出席していなく、答えはなかった。
補装具の自己負担については個別給付等の自己負担とは合算せず今まで通りそれぞれの自己負担額を支払う形となる。
いずれにせよ26日に全国課長会議がありある程度の詳細は明らかにする様子である。注目される障害程度区分についてはまだまだ詰め切れずにいる状況である。
この年末から年始にかけて私たちを取り巻く状況は本当にますます厳しくなってくるであろう。(「障害連事務局FAXレター」107より)
●最新のニュース 20051207
12月5日、厚労省は社会保障審議会障害者部会に「障害者自立支援法」による福祉サービス実施の前提となる新しい障害区分を提案しました。
それによれば、程度区分は、区分1から区分6までの6段階で、サービスの必要がない場合は「非該当」とされます。どの区分にするかは、本人の申請に基づき市町村が二段階の判定を経て決定します。
その判定は、106項目にわたる聞き取り調査で行われますが、そのうち79項目は介護保険の要介護認定で使われている項目と同一のものです。残りの27項目で障害の特性を反映する、としています。
106項目の調査データをコンピュータ処理して区分認定し一次判定とします。それに基づき医師の意見等を考慮して市町村審査会で最終的な判定を下すという二段階で区分認定をすることになります。
厚労省によれば、2006年1月から2月に一次判定ソフトの検証作業を実施し、4月から障害程度区分判定を一部で施行した上で、10月から完全実施する予定だとのことです。
問題は、この判定により、これまで福祉サービスを受けていた障害者が「非該当」となる恐れがあることです。家事に支援が必要な知的障害者とか、統合失調症で掃除や調理が自発的にできない精神障害者の人々がサービス対象から外されることが懸念されます。
詳細は、以下の独立行政法人福祉医療機構が運営しているホームページ「WAM NET(ワムネット)」http://www.wam.go.jp/
「行政資料」2005年12月7日「第29回社会保障審議会障害者部会資料」に掲載されています。