●最新のニュース20051018

障害者自立支援法案に対する国会行動を行いました

障害者自立支援法案は、参議院での審議を終え、衆議院の審議にはいることになりました。衆議院の審議を控えた昨1017()午後、日本障害者協議会では、衆議院の厚生労働委員に対して、日本障害者協議会としての同法案に対する意見を伝え、慎重審議を要望いたしました。

 同法案は、今月中には成立する見通しとはいえ、日本障害者協議会として、同法案に対する意見を、粘り強く訴えていくことにしており、今後も行動を重ねていく予定です。


          JD発第05−46号 
2005年10月17日

                     日本障害者協議会  
                       代表 勝又 和夫

障害者自立支援法案に関する緊急要望書

                       

平素より障害者政策に深いご理解をいただき、心より感謝申し上げます。
 さて、特別国会に再提出された「障害者自立支援法案」についてですが、精神障害者施策の身体障害者施策等との一元化や地域生活支援策の推進など、いくつかの点で積極的な側面が見受けられます。しかし一方で、利用者への原則1割の応益負担の導入など、障害問題の本質に関わる問題点を内包しているのも本法案の特徴です。また、本格的な所得保障制度の確立や障害定義の改訂など基幹的な政策課題が省かれている点についても、強い不満が残ります。

 私たちは、「障害者自立支援法案」をより良いものとしていくために、また障害者政策を飛躍的に増進させていくためにも、@障害のある人びとの生活水準を、現行水準より後退させないこと、A障害保健福祉関連予算のパイを増額すること、これらを法案審議にあたっての基本的な視点とすることを強く望みます。大詰めを迎えた法案審議ですが、とくに下記の諸点について法案に反映していただきたく、また、はっきりとした方向性を示していただきたく、ここに要望するものです。歴史的な意味を有する本法案の審議であり、重ねて特段の配慮をお願いいたします。

  1.応益負担制度(原則1割の定率負担制度)等の再検討を

 いわゆる「応益負担制度」(原則1割の定率負担)の導入については、たとえ一割負担であっても、「障害」を本人負担で解決しなければならないという本質的な問題を含むものである。また、所得水準の実態からみて、支払える状況に無いのが現実の姿である。もし、応益負担制度に応じるとすれば、実質的には障害基礎年金の目減りということになろう。少なくとも、本格的な所得保障制度が確立するまでは、導入を見送るべきである。


2.「所得保障制度の確立」、「障害者の範囲の見直し」の具体化を

 本法案に付された「所得保障の検討」ならびに「障害者の範囲の検討」について、その展望を明確にすべきである。今国会中に、おおよその目標水準、対象範囲、検討日程、検討体制などをはっきりさせていただきたい。


3.サービス基盤整備に関する時限立法を
 
 障害者が地域社会で生活するための社会資源は、一向に好転の兆しがなく、貧寒な状態が固定化している。先に政府が示した来年度へ向けての「骨太方針」でこの点が触れられたことは歓迎するが、これだけでは十分ではない。これを実質化していくためには、何らかの法的な手段が求められる。具体的には、関連の社会資源、サービス基盤を増量していくための「臨時措置法」(時限立法)が計られるべきである。



4.すべての「障害」を対象とした総合的な福祉法の制定を

 今回の法案には、その対象に難病や発達障害、高次脳機能障害などが明確には含まれてはいない。早急に、すべての「障害」を網羅した、文字通りの総合的な障害者福祉法を制定すべきである。法案の審議を通して、立法化の展望を明示すべきである。


5.現行の障害者医療制度の存続を

 現行の更生医療、育成医療、精神障害者の通院公費負担制度を利用している人びとの医療を受ける権利が損なわれないよう、現行水準を維持すべきである。なお、医療と福祉の法的な関係については慎重でなければならず、機械的な一元化は避けるべきである。


トップのページに戻る