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「『障害者自立支援法案』改善運動の中間まとめと
新たな展開をめざす緊急フォーラム」 開かれる

自立支援法案についての中間まとめフォーラムに850人参加

 05年8月10日(水)、日本障害者協議会の主催で「『障害者自立支援法案』改善運動の中間まとめと新たな展開をめざす緊急フォーラム」が、日本消防会館・ニッショーホール(東京・虎ノ門)にて開催されました。関東エリアを中心に、各県の代表を含め、会場は850人余の参加者で埋め尽くされました。

 勝又和夫代表による主催者あいさつのあと、藤井克徳常務理事から40分間にわたって基調報告が行われました。1年半余にわたる経緯や「廃案」についての評価に加え、今後の展望についても言及がなされました。

 このあと、佐藤久夫政策委員長ならびに石渡和実政策副委員長のコーディネーターによって、シンポジウムが行われました。シンポジストは、竹田 保(北海道・ホップ障害者地域生活支援センター)、高井博之(大阪・障害者自立支援法を考える大阪のつどい実行委員会)、水谷幸司(全国心臓病の子どもを守る会)、中村文子(日本自閉症協会)、太田修平(JD企画委員長)の5人で、それぞれの立場から内容面の評価や運動のまとめがなされました。地方の代表として、また「谷間の障害」を代表してのやりとりということもあって、今後の運動を進めていく上で参考となる意見が多く出されました。後半のフロアからの10人余の発言と合わせて、盛り上がったシンポジウムとなりました。 

 最後に緊急フォーラムをしめ括るかたちで、「アピール」が読み上げられ宮永恵美(全国腎臓病協議会事務局員)、参加者の拍手で採択されました。東川悦子副代表より、閉会のあいさつが行われ、4時30分過ぎすべてのプログラムを終了しました。 

(以下、アピール全文)


アピール 

 8月8日、郵政法案の参議院本会議での否決による衆議院解散に伴って、「障害者自立支援法案」が廃案となりました。私たち日本障害者協議会(以下、JD)は、この法案の真髄である応益(定率)負担制度の問題を中心に、全国の障害当事者や家族、関係者の声を束ねながら、一貫して「慎重審議を、徹底審議を」を求めてきました。

 今回の廃案という事態をどうとらえるのかということですが、衆議院解散に至るまで法案採決がなされなかったことに、先ずは重要な意味を見い出すことができるのではないでしょうか。

 そもそも厚生労働省(以下、厚労省)は、6月19日までの国会会期中に成立させることを想定していました。「私たちのことを決めるのに、私たち抜きで決めないで」「拙速に採決しないでください」「応益(定率)負担は納得できません」、こうした訴えは、市民の共感を得、全国的なひろがりを見せたのです。JDを含む障害団体の存在と運動は、これからの障害者政策づくりのあり方にも、少なからず影響していくものと考えます。

さて私たちは、わが国の障害者政策について、全体的かつ早急な改革が必要であると考えます。また2年連続の予算不足等にみられる支援費制度の「破綻」は、厚労省による障害者施策関連予算の見積もりの誤りに原因していることを再三にわたって指摘してきました。とくに、今年度の支援費予算は10ヵ月分のみの計上で、残り2ヵ月分の支援費予算をいかに埋め合わせるか、加えて来年度予算をいかに確保するか、これらが喫緊の課題となっています。当面の混乱を回避し、また予算の積算を正確に行うよう、厚労省の誠実かつ責任ある対応を切望します。

なお、障害者施策に関わる費用負担の基本的な考え方についてですが、私たちは、収入に応じた支払額が定められる「応能負担制度」が妥当であると考えます。収入の認定に際しては、あくまで障害当事者のみの収入とすべきで、「家族丸抱え」の政策思想からの脱却が求められます。また、働く場での利用料負担も容認できません。

 JDは、改めて「障害関連8団体」など、関係団体との連携と協調を模索し、厚労省や国会(各政党)などとの調整や意見交換を重視しながら、とくに下記の諸点の実現に向けて尽力していく所存です。引き続き、市民の皆さんのご理解とご支援を心から呼びかけます。

1.今年度計上されていない2ヵ月分の必要な支援費予算、並びに来年度予算の確保に向け、政府・厚労省は全力をあげてください。

2.すべての障害を包括した「総合的な障害者福祉法」を早急に制定してください。

3.障害の重い人びとを中心とした、本格的な所得保障制度を確立してください。

4.社会参加と地域生活支援を目的とした基盤整備に関する時限立法を制定し、働く場や住まい、人による支えなどの社会資源の飛躍的な拡充を図ってください。

5.立法作業を含む障害者政策の策定あるいはその遂行にあたっては、「当事者参画」を実質的なものとしてください。とくに、審議会のあり方については、根本的な見直しが必要です。

2005810

『障害者自立支援法案』改善運動の中間まとめと新たな展開をめざす緊急フォーラム 

参 加 者 一 同  


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