●最新のニュース20050107-2な触法行為をした精神障害者の処遇に関する法律案(仮称)の概要」に関して、要望書を提出

「改革のグランドデザイン(案)」に対する緊急意見書

20051月7日

厚生労働大

尾辻 秀久 殿

日本障害者協議会

代表 河端 静子

「改革のグランドデザイン(案)」に対する緊急意見書

 本協議会は厚生労働大臣に対して、既に「改革のグランドデザイン(案)」に対する意見書を提出しているところです。 

このグランドデザインの中では、「障害福祉サービス法」の創設がうたわれ、本協議会が長年提言し続けてきた“総合的な障害者福祉法”の成就かと淡い期待を抱きました。しかしその後の折衝の中で、質的に違うものであることが明らかにされ、残念の一言です。そして新しい法律名称は「障害者自立支援給付法(案)」となることと新聞報道がされています。本協議会としても、支援費全体が裁量的経費から義務的経費へとしていく方向性については、大きな前進と受けとめています。

さて本協議会をはじめ多くの障害者団体が障害の重い人たちの家族の依存からの独立を政策の重要課題として掲げて運動を進めてきた結果、障害基礎年金の創設、そして施設や支援費の費用負担の範囲から親兄弟をはずすなどの施策が実現されてきました。さらにそれを通して障害者団体と厚労省との間でこの課題についての共通認識化が深められると同時に、家族から自立・独立できる制度的な基盤の確立は、中長期的な課題ともされてきたことは周知のことと思います。ところが、今回の高齢者施策との整合性を図る名目によるサービスの応益負担の提案は、障害の重い人たちを再び家族の扶養の中に閉じ込めさせかねず、さらにこれまで障害者団体と厚労省が築いてきた蓄積もご破算にしかねないグランドデザインの名に値しないものといえます。障害者の家族からの独立という重要課題を考えた時に、まず所得保障政策の充実が先決課題です。

 また障害者プランの着実な実行をすすめていくには、障害のある人の希望やニーズに応えられるよう社会資源を多様に整備し、人材育成等、地域生活の支援と自立を支えるシステムを実質的に確立することが求められています。 

上記の認識にたち、本協議会として以下の通り「改革のグランドデザイン(案)」に対して意見をあらためて申し上げる次第です。

1.障害者本人はもとより、家族の負担を強める応益負担を撤回すること

2.「谷間の障害者」を生じさせることがないように、全ての障害を包括する定義を確立し、等級制度、手帳制度を見直し、社会的自立や社会参加などに個々のニーズに対応するサービスを提供できるシステムをつくること(総合的な障害者福祉法あるいは社会サービス法の創設)

3.本格的な所得保障制度を確立すること(基準額は、生活保護制度における生活扶助、障害加算、住宅扶助を合算する額相当とすること)

4.精神障害者の社会的入院の解消、地域社会での生活の具体化を早急に図るため法制度および社会資源の整備に努めること。また医療費の自己負担の導入については、障害者自身にとって過度な負担となりかねず、当事者・関係団体と十分な協議を重ね、万全に慎重を期すること

5.障害者の就労支援については、労働・福祉の分野が連携し一体的に進め、障害者雇用政策の全体的な見直しの中で位置付けていくこと

6.地域生活への移行を着実なものとするため、個々のニーズに対応しうる社会資源の整備、人材育成を強力に進めていくこと

7.サービスの決定にあたっては、環境を考慮した上、社会参加など個々のライフスタイルに基づいて、総合的なニーズを反映させる仕組みとし、介護保険の障害程度区分は導入しないこと

8.サービスの認定・決定に際して、利用者参加を保障すること

9.認定審査会の中に障害当事者団体の参加を保障すること

10.市町村のサービス認定基準については、公開するものとすること

11.地域活動センターについては、障害者の日中活動の重要性に鑑み、財源面での配慮が十分になされること

12.個別性が高い全身性障害や知的障害に対する移動支援は個別給付とすること

13.希望する障害者に対し、介護費用を直接支給するいわゆるダイレクトペイメント方式を導入すること                                                                                                                                         以上


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