●最新のニュース20030127-2

厚労省の提案、4団体受け入れる
明日の統一行動、報告集会に
−日比谷公園で−

(文責:政策委員長 太田 修平)

 1月27日(月)、本協議会、日本身体障害者団体連合会、全日本手をつなぐ育成会、DPI日本会議の4団体は、この間のホームヘルプサービスの上限問題で、厚生労働省社会・援護局と交渉をもった。厚労省側は、河村社会・援護局長、上田障害保健福祉部長、足利企画課長らが出席した。

 この席で、今回の交付基準は、「個々人の支給量の上限を定めるものではない」、「現在提供されているサービス水準が確保されるよう…(中略)…従前の国庫補助金を下回る市町村については、移行時において、原則として、従前額を確保するものとする」、さらに「ホームヘルプサービスを含めて地域生活支援のあり方の検討会を早急に設置し、委員に利用当事者の参加を求める」との回答を示し、4団体は基本的に了解した。

 本協議会は、この日の午前、緊急の理事会を開催し、前日非公式に示された厚労省の案を検討、28日(火)の課長会議を前に、厚労省としてギリギリの譲歩を行ってきたと判断、回答を受け入れることを決定した。

 正直、厚労省の回答は完全に満足できるものではない。国が交付基準を示す以上、自治体の支給量決定に影響が出てくる心配はまだある。しかし、国のホームヘルプ総予算280億円の一割相当を調整金としてプールし、従前の補助金を下回る市町村については調整金をもちいて「従前額を確保する」とした。東京都の場合、削減額が7億円との報道もあるが、「東京都が二つ三つあっても対応できる額」と厚労省は説明する。少なくとも移行時においては、今までのサービスを低下させない方策がとられたと考えられる。

 また、交付基準も2001年度一人当たりにおける平均利用状況の1.5倍の額としている。これは、まだホームヘルプ事業を実施していない市町村も多いことから「全体の底上げにつなげていきたい」と厚労省は説明している。

 利用者参加の検討委員会が設置されることも大きな意義がある。ホームヘルプサービスのあり方、地域生活のあり方、財源とそのシステムが利用者参加のもとに行われることとなった。その委員会で見直しも考えていこうということである。

 これらの提案を検討したときに、これ以上の対立は好ましくなく、正常な関係へと修復し、本協議会を含む障害者団体は厚労省との窓口を開き協議を再開していく必要がある。

 そうは言っても、この厳しい経済情勢のもと、決して油断はできず、上限問題だけではなく、支援費全体の問題を団体としては検証していかなければならない。不安を払拭しきれていない仲間たちがまだまだ多い。生活がかかっているからである。本協議会をはじめ各団体は、この仲間たちの生活実感に根ざす不安などを共有し、今後厚労省への働きかけを継続していく必要があることは言うまでもない。理事会でも、そのような意見が出た。

 27日(月)の到達点は、運動の一つの節目であり、今後につなげていくものである。この日の交渉の冒頭、河村局長は「今回皆さんに大きな不安を与え、コミュニケーションが不足していたことを反省している」と述べた。坂口厚労大臣への会見も落ち着いたら実現したいと答えている。すぐに会えないことは残念だが、正常化への道筋となる。今後の厚労省の姿勢を私たちは注視したい。

 今回の行動は、本協議会、日身連、育成会、DPIの日本の主要な障害者団体が史上初めて協力して取り組むことができた。今後の障害者運動のあり方を考えるときに、大きな財産となった。これからも一致できる課題については緊密な連携をとっていきたい。

 したがって、上限問題は一定の到達点を得ることができたとの認識に立ち、28日(火)予定していた厚労省前の統一行動を、日比谷公園での報告集会とし、皆さんへの報告の場としていき、今後の運動を考えていく場としたいと考えている。


<報告集会>

1.日 時 1月28日(火) 午前10時半〜

2.場 所 日比谷公園 草地広場(厚労省正面に本協議会要員を9時30分から配置するので案内を受けてください)


※2003年1月27日、ホームヘルプサービス上限枠設定問題での厚生労働省社会・援護局との交渉会場にて、厚労省より提示

今回の障害者ホームヘルプ事業国庫補助基準に関する考え方

1.今回、新たに適応される障害者ホームヘルプ事業の国庫補助基準は、市町村に対する補助金の交付基準であって、個々人の支給量の上限を定めるものではない。

2.今回の国庫補助基準は、現在の平均的な利用状況を踏まえて設定するものであり、今後、支援費制度施行後の利用状況等を踏まえ、見直すこととする。

3.国庫補助基準の設定に当たっては、現在提供されているサービス水準が確保されるよう、現状からの円滑な移行を図ることとし、従前の国庫補助金を下回る市町村については、移行時において、原則として、従前額を確保するものとする。

4.検討会をできるだけ早い時期に設置することとし、支援費制度下におけるホームヘルプサービスの利用や提供の実態を把握した上で、在宅サービスの望ましい地域ケアモデル、サービスの質の向上のための取組等、障害者に対する地域生活支援の在り方について精力的な検討を行うこととする。
  また、国庫補助基準については、支援費制度施行後のホームヘルプサービスの利用状況等を踏まえ、検討会において、その見直しの必要性について検証するものとする。
 なお、検討会の運営等については、利用者の意向に配慮し、利用当事者の参加を求めるとともに、公正な運営が確保されるよう、適切な委員構成とする。

5.今後とも、ホームヘルプサービスについては充実を図るとともに、そのために必要な予算の確保につき、最大限努力する。


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