●最新のニュース20030117

ホームヘルプサービス問題解決ならず
上限設定で、主要団体が緊急抗議行動を行う
−20日に障害保健福祉部は部長交渉を提案、最終的には応じないことを確認−

(報告:政策委員長 太田 修平)

 車いす使用者等1,000名が厚生労働省を囲った。

 
厚労省前の様子(AM10:30)

 1月16日(月)、本協議会、日本身体障害者団体連合会(日身連)、全日本手をつなぐ育成会(育成会)、DPI日本会議など、日本の主要な障害者団体が呼びかけ「もうがまんできない 1.16緊急の集い」と題し、4月スタートの支援費制度で、ホームヘルプサービス派遣の上限を定めようと厚労省が論議していることに対する、緊急抗議行動を行った。

 この問題が明らかにされてから1週間足らず。危機感をつのらせた地域で自立生活をしている障害の重い人たちが全国から集まった。DPI日本会議やJIL(全国自立センター協議会)の呼びかけによる抗議行動は、14日にも500名の参加で行われているが、厚労省のかたくなな姿勢は変わっていなかった。

 
40名の代表者による交渉団 
(AM11:00)

 午前10時から厚労省前で集会が行われ、午前11時から40名の代表団による障害保健福祉部交渉に入った。本協議会からは、河端代表、吉本副代表、藤井常務理事、太田政策委員長、勝又企画・障害者の日委員長、薗部情報通信委員長、福井広報副委員長らが代表団に加わった。 

 
厚労省関係者(PM1:30頃)

 厚労省障害保健福祉部からは、足利企画課長、郡司障害福祉課長、吉田障害福祉課長補佐らが対応した。

 その席で障害保健福祉部は、「従来ホームヘルプサービスには地域によって格差がありすぎた。公平・公正の観点で地域格差を是正するために交付基準を設けたいと考えている。これは一人ひとりの上限を設けるという意味ではなく、国が自治体に補助金を出す際の算定基準としての上限であり、一人ひとりの支給量とは関係なく、必要に応じた支給量を決定するように自治体に徹底させたい」と説明し、また「補助金が急激に減少する自治体については、激変緩和措置を検討したい」とした。要するに上限を超えた支給量を決定するのは自治体の自由であるが、超えた分については自治体の負担となるのである。全身性障害者の場合、1人あたりの上限は1カ月120時間、知的障害者の場合1カ月50時間という案が浮上している。

 これに対し、河端代表などは「重度障害者にとっては命にかかわる問題。心臓がはりさける思い」などと怒りをあらわにした。さらに「今までの施策は公平・公正ではなかったのか」「なぜ支援費制度が議論される際に事前に相談しなかったのか」また「制度開始を目前にあまりに唐突」といった批判が交渉団から相次いだ。

 交渉団は、「21日の全国部長会議にはこの上限問題については白紙でのぞむように」と強く要望。これに対し足利企画課長は、「障害者団体との議論の途中」ということで、明示しないが、新聞報道もあるので、「国としての方針は出していきたい」とした。交渉団は「それでは既成事実がつくられ、自治体が体制をつくってしまう」と猛烈に反発した。

 2度にわたる休憩をはさみ、部からの提案で、21日の「全国部長会議」の前日20日(月)に障害保健福祉部長との交渉を持つことで、その場は解散した。

 しかし、交渉終了後、日身連や育成会、DPI日本会議、そして行動の窓口となっている中西正司氏(JIL代表)との協議で、20日に交渉を持つことは無意味であり、今日の繰り返しとなってしまうという判断の下、(1)現行のホームヘルプサービスは、1年間現状のままとし、21日の「全国部長会議」では上限問題については言及しない、(2)委員の過半数が当事者である検討委員会を早急に設け、状況把握のための実態調査等を行い、ホームヘルプサービスのあり方について1年間検討を行う、(3)今回の混乱を含め、厚生労働大臣と面会し、言をもらう、の3点について、この日の夕方6時過ぎ足利企画課長に申し入れを行った。
 この申し入れに対する回答は、来週中に中西氏へ連絡をもらうことになった。

 今回の行動は日本のすべてといって差し支えない団体による共同行動となった。問題未解決はともかく、その意味では新たな歴史の1ページをつくったと言えよう。


※代表団に加わった薗部情報通信委員長の報告も、次のアドレスにて公開中です。
  http://www.nginet.or.jp/news/opinion/20030116action.html
 


トップのページに戻る