●最新のニュース20021220-1

「伝える」ための工夫や当事者参加等を要望
−内閣府「公共料金情報公開推進検討会」ヒアリング−

 18日午前、内閣府において「公共料金情報公開推進検討会」(座長:堀部政男中央大学教授)が開催され、参考人として本協議会から薗部情報通信委員長が出席し、事前質問への回答を提出するとともに、情報を「伝える」ための工夫(「週刊子どもニュース」を事例に)や、情報公開に係る検討の場への障害当事者の参加やモニタリングの実施、ホームページのアクセシビリティの徹底等を求めました。

   参考人には、本協議会の他に、全国消費生活相談員協会、日本生活共同組合連合会が出席、消費者関連団体の立場からそれぞれ意見が述べられました。

   当検討会(事務局:内閣府国民生活局物価調整課)では、約2年前に取りまとめた「公共料金分野における事業横断的な情報公開ガイドラインに関する報告書」のフォローアップ作業を行っており、今回のような各分野の有識者等へのヒアリングを踏まえ、情報公開の進捗状況に関する報告書案を作成し、2003年春頃を目途に物価安定政策会議に提出することとなっています。

   なお、事前質問への回答作成には、正会員や理事、委員会関係者に協力をお願いし、お寄せられた意見等を基に作成しましたが、ご意見等をお送りいただいた関係者の皆さまにはこの場を借りてお礼申しあげます。


公共料金情報公開推進検討会
障害者団体に対する質問への回答

T.公共料金分野の情報公開に関する一般的な質問

   【論点1:ワンストップサービス】
   【論点2:減免制度・優遇制度等】
   【論点3:バリアフリーと情報公開】
   【論点4:デジタル・ディバイト】
   【論点5:双方向的な情報提供】

U.障害者団体自身に対する質問

   【論点6:障害者利益の代表・擁護機能】
   【論点7:今後の課題】


T.公共料金分野の情報公開に関する一般的な質問

【論点1:ワンストップサービス】
   比較可能性や所在の分かりやすさの観点からは、公共料金事業者が公開した情報が1か所でまとめて公開されることが望ましいが、公共料金の各分野においてそのような取組みが十分なされていると感じられるか。

(回答)情報不足。全く不十分。

【論点2:減免制度・優遇制度等】
   公共料金分野で行われている障害者向けの各種減免制度・優遇制度(例えば、交通分野の割引運賃制度、視覚障害者に対する無料電話番号案内制度等)について、その適用が可能な障害者に対する周知が十分に行われているか。

(回答)「十分」とは言えない。新聞等マスコミ報道を通じて知り得ることもあるが、多くの場合は、障害者手帳交付時に市町村役場の福祉担当窓口でパンフレット類を手交することで済まされることが多い。
障害者やその家族は、新しい情報については個別に利用する公益事業者の情報を直接照会する以外に知る機会がない。


【論点3:バリアフリーと情報公開】
   交通分野におけるバリアフリーに関する情報について、関連施設の設置状況等の情報は、公共料金事業者間の比較対照情報を含めて十分に公開されているか。

(回答)個々の障害者団体が行っている「バリアフリー」に係る調査報告等で情報を入手することはあるが、公的に公開されている情報、とりわけ公共料金事業者間の比較対照情報は見当たらず、不十分な状況といえる。

【論点4:デジタル・ディバイト】
   インターネットによるサービスメニューや料金メニューの提供など、情報公開の方法としてインターネットを使ったパソコンや携帯電話による公開が普及してきており、さらには、インターネット利用者のみを対象としたインターネット割引も出現している。こうした中で、インターネットに不慣れな障害者に対する対応として、どこまでが公共料金事業者の役割であり、どこまでが障害者自身あるいは障害者団体の役割であると考えられるか。

(回答)公共料金事業者の役割は、すべての人(障害者も含まれる)に対してアクセスしやすい環境の提供である。インターネットのアクセシビリティの徹底や障害者向けのサービスや料金メニュー等の周知の義務付けが必要である。
また、インターネットを利用するためのパソコン等IT(情報技術)機器が、障害基礎年金を所得の中心としている多くの障害者には高価であることから、障害者団体としては、IT(情報技術)機器を含めた日常生活用具給付等事業の制度改善を求めている。


【論点5:双方向的な情報提供】
   行政や公共料金事業者に対する苦情、相談等への対応やその結果の公開について、公共料金の各分野で問題点はないか。

(回答)大いに問題がある。そもそも上記の苦情、相談をどこにもちこんでいいのかまったく周知されていないのが現状である。



U.障害者団体自身に対する質問

【論点6:障害者利益の代表・擁護機能】
   公共料金分野では、従来の独占的なサービスの提供から、参入規制や料金規制を自由化することにより競争が導入されたり、又は導入が検討されている分野が多い。自由化により家庭用のサービスの提供にまで競争が導入された場合、多様化した割引料金等について十分な情報提供がなされなかったり、質の悪い事業者によって契約を無理強いされたりするなどの弊害が、特に障害者などに発生する可能性もある。
   その中で、公共料金分野について公開された情報は、利用者が直接利用するほか、障害者の利益を擁護する組織が利用し、@障害を持つ利用者にも分かりやすく加工・評価した情報を提供する、A障害を持つ利用者の意見を形成し政策に反映させる、ということも考えられる。Bまた、そうした組織が障害を持つ利用者からの苦情を受け付け、苦情に関する情報の蓄積・利用を合わせて行うことも考えられる。

(1)上記@の機能(そのための情報収集、開示請求等の活動を含む)を実際に行っているか。また、他の組織(障害者団体、その他の民間団体、研究者、中央・地方の行政機関等)でそのような機能を行っているところはあるか。そのような活動をどう評価しているか。

(回答)本協議会では、新聞等マスコミから入手した情報の範囲において、機関誌等に掲載することもあるが、極めて限られた内容であり、多くの障害者団体(障害種別毎の情報)でも同様の状況にある。 

(2)上記Aの機能(例えば、公共料金分野の制度改革・料金改定等に際して行われる各種審議会、パブリックコメント、公聴会等への参加)を実際に行っているか。また、他の組織(障害者団体、その他の民間団体、研究者、中央・地方の行政機関等)でそのような機能を行っているところはあるか。発言・提出した意見についてどの程度政策に反映されたと考えているか。

(回答)本協議会をはじめ多くの障害者団体では、今般の郵政事業民営化に係る郵便法改正での「心身障害者団体が発行する第3種・第4種郵便の認可を受けた定期刊行物」に対する割引制度の問題で、その存続を求めて、国会や総務省等に要望・意見を提出してきた。その成果として「廃止」は免れ、一定の成果をあげられたと考えている。しかし、それ以外の公共料金分野においては、各種審議会やパブリックコメント、公聴会等に係る情報が全く無いことから、この間、発言や要望する機会はなかった。また、そのような機能を行っている組織は見当たらない。
なお、研究者で「日本の障害者向け割引・減免制度についての一考察(研究ノート)/総合社会福祉研究第21号投稿論文」などがある。


(3)上記Bの機能を実際に行っているか。また、他の組織(障害者団体、その他の民間団体、研究者、中央・地方の行政機関等)でそのような機能を行っているところはあるか。そのような活動をどう評価しているか。

(回答)本協議会では行っていない。「人権」問題に関してはさまざまな人権擁護団体等が存在するが、公共料金分野の視点から上記Bのような活動を行っている組織は見当たらない。

(4)今後、上記@〜Bの機能を強化する必要性はあるか。あるとすればどのような手段が考えられるか。

(回答)障害者の情報保障という視点から、機能保持及び強化の必要性は高い。しかし、既存の障害者団体が当該機能を持つことは、扱う情報の範囲が広範であることや専門性・個別性・地域性が求められること、また、人的体制等から極めて困難である。

(5)英国では、公共料金の分野別に、各分野の事業法に基づいた消費者協議会が消費者の利益の代表・擁護機能を果たしている。また米国では、規制機関内や州政府内に消費者の利益を代表・擁護する機関が置かれている。その中には、障害者等の特定のグループの利益を消費者利益として明確に位置付けているものもある。日本において、このような組織を導入する際に問題となる点はどのようなものがあるか。

(回答)北欧の障害者団体では、公共的な責任を有する事業者の委託を受け、必要な情報をそれぞれの障害を考慮しながらわかりやすく情報提供をしている。ポイントは障害者団体の専門性とともに、安定した財源と人的体制である。
いうまでもなく「障害」は身体障害、知的障害、精神障害、てんかんや難病、自閉症、高次脳機能障害、重複障害等と広範である。それぞれ障害種別毎に当事者団体や家族の会、施設協議会、学会等がある。あらゆる「障害」の視点から公共料金分野をチェックし、その利益を代表・擁護していく機能を果たすには、障害種別を越えた当事者主体による専門機関が必要であろう。
その際、行政や公共料金事業者に対して発言力が担保できるよう、民間団体として設立することが望ましい。
なお、公共料金の割引・減免を最も必要とするのは低所得層であり、サイレントマジョリティの意見が反映されるような体制が求められる。


(6)上記の機能に関連して、比較可能性や所在の分かりやすさの観点から、公共料金事業者が公開した情報(減免制度・優遇制度等に関する情報、バリアフリーに関する情報を含む)を障害者団体が整理した上でまとめて情報提供するような活動について、これまでそのような活動を行ってきたか。また、今後そのような活動を行うことについてどう考えるか。

(回答)個々の障害者団体では、それぞれの障害問題に関する情報提供活動を行っているところもあるが、「ワンストップサービス」的な情報は無い。しかし、このような活動は公的責任において行われるべきであり、その活動への支援や補足を障害者団体が担うことが必要であると考える。


【論点7:今後の課題】
   公共料金分野の情報公開について、今後予想される公共料金分野における自由化の進展等を踏まえ、障害者団体としての今後の課題、やるべきこととしてどのような点が考えられるか。

(回答)本来、所得が十分であれば、「障害者」に特定した割引や減免は不要と考えている。しかし、現実は低所得や稼得の機会を奪われた障害者が多く存在している。また、障害に起因する日常生活上の支出の上乗せもあることから、各種の割引等を利用せざるを得ない。
一方、「価格破壊」という言葉があるように、障害のない人々に対する割引サービスも充実しており、航空割引運賃のように障害者割引をはるかに超えたものもある。このような状況下で、情報リテラシーの乏しい障害者にとって何を利用すれば障害者自身の利益となるかを示すような「わかりやすい」具体的活動が必要であると考える。




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