「障害者自立支援法」に対する政府与党の補正に関して
日本障害者協議会
代表
与党は12月1日、障害者自立支援法に関連し、補正予算を組み、3年間
にわたって約1200億円規模の利用者負担の軽減措置や事業者への激変緩和
措置を行う方向性を固めた。
日本障害者協議会(JD)はこれについて、まずは評価していきたい。それは
今年4月からの「障害者自立支援法」の影響により障害のある仲間や家族が大
きな打撃を受けており、生活の圧縮等不安の深刻さは増すばかりであるからで
ある。また、これまでの私たちの市民を巻き込んだ幅広い運動と、障害のある
人々の深刻な状況に対し行動を起こされた理解ある国会議員や関係者の強い働
きかけの結果、今回の暫定的な措置が行なわれたからである。
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この10月”出直してよ!「障害者自立支援法」10.31大フォーラム”には全国
津々浦々から1万5千人という史上最高の人々が集まった。この大フォーラムは
全国の障害のある人々の怒り・憤りをさまざまな観点から強くアピールし、運動
の連帯を確認するという、歴史的な集会となった。JDや10.31大フォーラム
実行委員会の基本的な立場は、応益負担を核とするこの「障害者自立支援法」の
早急な出直し、すなわち抜本的な見直しを具体化することである。
そういう立場で考えると、今回の与党の方針は根本的な解決には至らないこと
は明白である。所得が低い障害者に対して一律的な応益負担制度を導入したこと
自体、制度設計に無理がある。また日中活動の場など、多様な社会資源の整備こ
そが急務であるにもかかわらず、作業所や通所施設の運営費を削減させてしまう
計算方法を導入し、それらの運営を行き詰まらせてしまっていることは、障害者
の地域支援という理念と、まさに逆行するものである。
「障害者自立支援法」ができてきた背景には、社会保障給付の抑制という政府
の基本的政策方針が根底に横たわっている。しかし、日本の障害者関連予算は、
OECD(経済協力開発機構)加盟国の中で、対GDP比では最低水準に位置して
いるのである。障害者関連予算の見積もりを根底からやり直すことこそが今求め
られている。
今回の政府与党の決定は裏を返せば、「障害者自立支援法」に大きな問題と矛
盾を孕んでいることの証明でもある。
私たちは本日12月12日、法の見直しを強く求める43万8004筆の署名を厚生
労働大臣に提出した。この署名はわずか2週間余りの短期間のものであり、驚異的
といえる数である。政府与党はこうした声に真摯に応えるべき責任がある。
私たち日本障害者協議会(JD)は、応益負担の中止を含む、抜本的な出直し以外
に道はないと考える。これから更に本質的・抜本的出直しへとつなげられるように、
この運動のうねりと連帯をより強め、大きなものにしていく決意を明らかにし、引
き続き関係者の皆様のご協力とご理解を心よりお願いする次第である。
以上